vol.23 未来を変える大きなチャンス、第5回世界女子フットサルトーナメント

文■座間健司

 12月10日からコスタリカで第5回世界女子フットサルトーナメントが行なわれる。当初はロシアで開催予定だったが、コスタリカに変更された。日本はポルトガル、ロシア、ブラジルが同居するグループAに組み分けられた。グループBはコスタリカ、グアテマラ、スペインの3チームだ。各グループ上位2チームが準決勝に進出する。ホストカントリーが準決勝に進出できるように配慮されたことは容易に想像がつく。

 2010年から毎年行われている世界女子フットサルトーナメント。これまでの4大会はブラジルが全て優勝し、絶対王者として君臨している。そしてブラジルの決勝の相手は決まってスペインか、ポルトガルだ。スペインは2013年、2011年、ポルトガルは2010年、2012年のファイナリストだった。女子フットサルの勢力図も男子同様にはっきりしている。ブラジルが図抜けており、その背中をスペインとポルトガルが追うという構図だ。この3ヵ国に続くのがロシアや日本だが、ブラジル、スペイン、ポルトガルとの間には大きな差がある。

 在原正明代表監督が率いる日本は継続的にこの大会に出場している。今年はブラジル、ポルトガルと同居するグループとなった。ブラジルには2012年大会で1-5で敗れ、ポルトガルには昨年の大会で0-6で負けた。ブラジルとポルトガルのどちらかを蹴落とさなければ準決勝に進出できない。とても厳しいグループだ。

 いい結果は残して欲しいが、内容を吟味しなければ大切なものを見失う。結果は時々、多くのことをカモフラージュするからだ。後方で守備を固め、パスをつなげなければ、すぐにボールを大きく蹴り出すようなフットサルをしていれば、スコアボードの見た目はよくなるかもしれない。しかし、そんなフットサルに未来はない。

 だからといって、結果を度外視してもいいとは考えていない。代表だ。結果は常に求められるし、みんなが求めなければ強くならない。2010年大会で1-2、2011年大会で0-1で敗れたロシアには今大会は明るい未来が想像できるフットサルで、試合の主導権を握って勝利することを期待する。

 代表活動日数は少なく、日本には全国リーグもない。ブラジル、スペインに比べると選手の置かれている環境は恵まれていない。だが、スポーツは結果を残せば、環境は変わる。その勝利に見合うような環境におのずと改善されていく。新興国が結果を出すにはアグレシッブな戦い方では難しいだろうが、もし地球の裏側で行なわれる大会で、ブラジル、ポルトガルのどちらかを蹴落として準決勝進出となれば、12月20日に神戸で行なわれる国内初の国際試合に足を運ぶ観衆も増えるに違いない。神戸の親善試合では魅力的なプレーを展開すれば、女子フットサルへの関心が高まるだろう。アジアの絶対王者は今、その足で自分たちの環境を劇的に変えられる大きなチャンスを手にしているのではないだろうか。




プロフィール

座間健司
1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして"フットサルマガジンピヴォ!"の編集を務め、卒業後、そのまま"フットサルマガジンピヴォ!"編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。2011年フットサルマガジンピヴォ!休刊。2012年よりフットサルを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。ブログ(http://blog.zamakenji.com)でもスペインフットサルの情報を発信中。電子書籍『スペインフットサル 2013-2014シーズン総集編 戦術・戦略・セットプレー徹底解説』好評発売中。また有料メールマガジン(http://www.worldfutsalmagazine.com)も配信中。twitterアカウントは『@KenjiZama』。

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