vol.21 シーズン中盤でチーム減少という危機に直面するスペインリーグ

文■座間健司

「日本とスペイン、どっちが好き?」
 いつからか、僕はそう質問されると決まってこう答えるようになった。
「どの国にも長所も短所もあると思う。日本のいいところはね.........」
 全ての物事と同じように、それぞれの国には長所と短所がある。

 スペイン1部リーグは9節を消化した。リーグの折り返しとなる15節終了時点で上位8チームがスペインカップに参加できる。その大会への出場権を懸け、各チームが1試合の勝ち点の重みを実感する時期になった。

 しかし、1チームが自動的にその争いから脱落する可能性が高い。テネリフェだ。大西洋に浮かぶカナリア諸島のひとつ、テネリフェ島を本拠地とする。昨シーズン2部で2位となり、プレーオフを勝ち抜き、1部昇格を決めた。1部でも9節終了時点で3勝6敗で9位、スペインカップ出場も十分可能な位置につけている。個人を見てもゴールランキング1、2位をテネリフェの選手が占める。16得点で首位に立つコルボ、13ゴールで2位のロロ・スアソ。優秀な選手を抱えており、1部のリズムに慣れた今後はさらに勝ち点を積み重ねただろう。

 チームが消滅の危機に陥っているのは、アンドレス・フェルナンデス会長が逮捕されたからだ。テネリフェの自治体機関の障害を持つ人々の振興費用を横領し、そのお金を自身が会長を務めるクラブに回していた。クラブは突如運営費が消えた。11月16日に10節アウェーでバルセロナ戦が予定されているが、遠征出発の目処は立っていない。12日の時点ではロロ・スアソら3選手は退団を決め、ゴールランキング首位のコルボもイタリアからのオファーに耳を傾けるようだ。

 ロロ・スアソは地元紙『ラ・オピニオン・デ・テネリフェ』で「ここを苦悩と共に出て行く。ここにいれたことはよかったし、僕らはいいグループだった。この時期に出て行かなければならないのは、とても残念だ」とコメントを残している。

 スペインでは財政難により、チームが降格や消滅を余儀なくされている。2000年、2001年にリーグ連覇を達成したカステジョンはメインスポンサーが離れ、今は地域リーグで戦い、1999年の優勝チームでミゲル・ロドリゴの古巣セゴビアは資金難で降格し、2部での2シーズン目を戦っている。木暮賢一郎が所属したカルニセールは消滅し、高橋健介、星翔太が所属していたグアダラハラは2010-2011シーズンの終盤に財政難により、降格した。

 経済危機の影響をフットサルはもろに受けている。スペインは欧州王者バルセロナや名門インテル、エルポソを中心に世界で最も競争力が高いリーグだ。代表チームもメジャー国際大会で結果を残している。しかし決していいことばかりではない。シーズン途中にチームが消滅という信じられないことも起きている。

 フットサルも例外ではない。それぞれいいところもあれば、悪いところもある。




プロフィール

座間健司
1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして"フットサルマガジンピヴォ!"の編集を務め、卒業後、そのまま"フットサルマガジンピヴォ!"編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。2011年フットサルマガジンピヴォ!休刊。2012年よりフットサルを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。ブログ(http://blog.zamakenji.com)でもスペインフットサルの情報を発信中。電子書籍『スペインフットサル 2013-2014シーズン総集編 戦術・戦略・セットプレー徹底解説』好評発売中。また有料メールマガジン(http://www.worldfutsalmagazine.com)も配信中。twitterアカウントは『@KenjiZama』。

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