vol.19 30秒で何ができるか?フットサル選手の精神状態

文■座間健司

 かつてバルドラール浦安を率い、現在はハンガリー代表監督を務めるシト・リベラと話す機会があった。当然ながら、話題はフットサルだ。彼が率いたスペインのカルタヘナ、日本の浦安、イタリアのナポリ、ルーマニア代表の話など各国のフットサル事情を教えてくれた。そんな会話の中で、経験豊富なスペイン人監督がとても面白いことを言っていた。

「フットサル選手には、サッカー選手とは全く違う精神状態が求められる。サッカーをプレーしていた選手は、コートに立つ時間が短いと物足りない、と感じる選手はいると思う。私もサッカーをしていたから、フットサルですぐに代えられたりした時はそう感じていた。長くコートにいないと満足感を得られなかった。だけど、フットサルはサッカーとは違う。室内競技だ。選手たちは『出場時間が短い』と考えるのではなく『自分が30秒で何ができるか』と考えるべきだろう。『30秒で全てを出す』『30秒で点を奪う』そういった精神状態がプレーする上で必要だと思う」

 フットサルはサッカーと同じように足でボールを扱う競技だ。だが、この2つの競技は似て非なるものだ。戦術、戦略は室内競技でプレーヤー数も同じバスケットボールが、サッカーよりも共通するものが多い。

 選手の心構えもそうかもしれない。フリーキックの場面でコートに出てくる選手がいる。第2PK、PKのスペシャリストもいる。彼らはその数秒間で結果を出さなければならない。選手の精神状態も、何度でも交代ができるバスケットボールやハンドボール選手のような精神状態、考え方がよりフットサル選手には必要なのかもしれない。

 フットサルは新しいスポーツだ。室内競技として歴史がより長いバスケットボールやハンドボールからは戦術、戦略だけでなく、選手の精神状態などまだまだ多くの参考にすべき点があるのかもしれない。

 

プロフィール
座間健司(ざまけんじ)
1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして"フットサルマガジンピヴォ!"の編集を務め、卒業後、そのまま"フットサルマガジンピヴォ!"編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。"2011年フットサルマガジンピヴォ!"休刊。2012年よりフットサルを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。

 

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