vol.12
3連覇バルセロナのストロングポイント

リーグ3連覇を達成したバルセロナ。2011年からスペインリーグ、カップ、国王杯と3年連続で国内3冠を達成している。
バルセロナが2シーズン連続で決勝でエルポソを破り、スペインリーグ3連覇を達成した。3連覇はリーグタイトルだけではない。2011年からスペインカップ、国王杯も3連覇を成し遂げている。ここ3シーズン、国内の主要タイトルのトロフィーはいつもカンプ・ノウのミュージアムにある棚にクライフの契約書やメッシのサイン入りシューズと共に飾られている。
彼らの勝因は何か?
まず語られるのが潤沢な予算だ。経済危機のスペインにおいてクラブから毎月の支払が遅れるというニュースはよく聞く。さらには3、4か月選手がサラリーを受け取っていないというニュースももう珍しいことではない。そんな中、バルセロナはライバルに比べると潤っている。エルポソ、インテルといった名門クラブが予算を縮小する中、バルセロナはその規模を保ち、スペイン代表やブラジル代表を補強している。待遇も他クラブに比べるといい。2010-2011シーズン、セゴビアに所属していたリンにはバルセロナとインテルが触手を伸ばしていたが、彼の選択はバルセロナだった。インテルの中心選手として黄金期を築いたガブリエルはクラブから契約延長を提示されたが2011-2012シーズン前にバルセロナに移籍した。現役であるかぎり、選手は自分を最も高く評価するチームに行く。
ただ、優秀な選手を集めただけでは優勝できない。ひとりひとりが機能しなければ全く意味がいない。ましてや個性の強いタレント集団だ。エゴとエゴがぶつかり、まとまるのは難しいと思われるが、バルセロナは結束が固い。ロッカールームでの団結、チームワークがバルセロナの最大のストロングポイントだ。
プレーオフ決勝4節、決着はPK戦に持ち込まれた。PK戦の途中、エルポソの4人目のキッカーに順番が回ってきた時だった。スタメンでプレーをし、延長戦では2度の第2PKを止めたパコ・セラーノからクリスチャンにバルセロナはゴレイロを代えた。クリスチャンはパコ・セラーノとハイタッチをして、ゴールマウスに向かう。そしてエルポソの4人目のキッカーのシュートを見事セーブした。このセーブにより、PKを全員成功させたバルセロナがプレーオフ決勝3勝目を挙げた。パコ・セラーノは試合後にPKを止めた同僚をこう讃えている。
「最後のクリスチャンのセーブ。彼はそれに値する」
昨季リーグ制覇した時に正ゴレイロとプレーしていたのはクリスチャンだった。今季はビッグゲームはパコ・セラーノが常にスタメンとして活躍した。フィールドプレーヤーとは違い、ゴレイロは試合中に交代するポジションではない。ましてや2人はスペイン代表歴を持つ。そんな日常のライバル同士が決戦後にまず讃える。パコ・セラーノのコメントにはバルセロナの最大の武器が如実に示されていた。
LNFSイベント・指導者講習会2013 7月11日から7月16日まで開催!!
写真: LNFS

インテルを指揮し、数多くのタイトルを勝ち取り黄金期を築いたスペイン人監督ヘスス・カンデラス。
世界初!!
LNFS(スペインフットサルリーグ)の公式イベント!!
世界最高峰のスペイン人監督が行う指導者講習会・クリニック。
戦術、戦略、トレーニング。
スペインフットサルの神髄が全てここに。
7月11日から16日まで「LNFSイベント・指導者講習会2013」が開催されます。今回はLNFS(スペインフットサルリーグ)のインテルで監督としてリーグ4連覇をはじめ、獲得可能なタイトルを全て勝ち取ってきたヘスス・カンデラスを招聘。ひとつの講習会、クリニックはそれぞれテーマをもって行われます。
スケジュールは以下になります。
ぜひ、ご参加ください!!
【スケジュール】
7月11日10時?12時
指導者講習(テーマ:下部組織のトレーニング)場所:FFC東川口
7月11日19時15分?21時15分
ビデオ講習(テーマ:ディフェンスシステム) 場所:墨田区総合体育館
7月12日20時?22時
クリニック(テーマ:頭を使うトレーニング) 場所:FFC東川口
7月13日 第1部09時30分?12時 第2部13時30分?16時
指導者講習(テーマ:ディフェンス) 場所:FFC東川口
7月13日18時?20時
ビデオ講習(テーマ:ディフェスシステム) 場所:埼玉スタジアム2002
7月14日 第1部09時30分?12時 第2部13時30分?16時
指導者講習(テーマ:オフェンスシステム) 場所:FFC東川口
7月14日18時?20時
ビデオ講習(テーマ:オフェンスシステム) 場所:埼玉スタジアム2002
7月15日 第1部09時30分?12時 第2部13時30分?16時
指導者講習(テーマ:総合トレーニング) 場所:FFC東川口
7月15日18時?20時
ビデオ講習(テーマ:トレーニング) 場所:埼玉スタジアム2002
7月16日09時30分?12時
クリニック(テーマ:トレーニング) 場所:FFC東川口
※各講義、クリニックは定員があります。早めにご予約ください。
※内容が変更される場合もございます。
お申込み・お問い合わせは以下になります。
Mail:lnfs2013@f-netweb.com
Web:http://www.f-netweb.com/2013/06lnfs.html
スペインを代表する名将
最もタイトルを獲得した男
ヘスス・カンデラス
LNFS(Liga Nacional de Futbol Sala=スペインリーグ)を語る上で欠かすことができない名将は何人もいるが、真っ先に名前が挙がる監督はヘスス・カンデラス以外にいないだろう。それは彼が獲得したタイトルをご覧いただければ一目瞭然だ。
2000年代初頭にはインテルビュー(現インテル)を率いて、リーグ4連覇。その4シーズンの間にカップ戦も3度優勝。その強さはスペインだけにとどまらず、欧州各国のリーグ戦王者が参加するUEFAフットサルカップでは連覇を達成。各大陸王者が集まるインターコンチネンタルカップも4連覇と文字どおり“史上最強”チームをカンデラスはつくりあげた。
当時のインテルは世界選抜と言える陣容で世界最高の選手が何人もいた。ゴレイロはスペイン代表のルイス・アマド。ピヴォには名古屋オーシャンズでも活躍したブラジル代表のマルキーニョ。前線にはスペイン代表のダニエルがおり、攻撃からディフェンスまでどのポジションでもこなすブラジル代表のシュマイケルがいた。彼ら以外にも2012年ワールドカップ決勝で劇的な決勝ゴールなど2得点を決めて、大会MVPを受賞したブラジル代表ネットやブラジル代表のガブリエル、スペイン代表のフリオ、アンドリュー、ジョアンらコートのどこを見てもスターばかりだった。カンデラスは個性が強いスター選手を掌握し、結束させ、“マキナ・ベルデ(緑のマシーン)”をつくりあげた。インテルビューが全くミスをおかさず、まるでロボットのようにプレーをして勝利を重ねていくことからこのようなニックネームがつけられた。
カンデラスは人心掌握が巧みなだけではない。選手たちのタレントを最大限発揮させることに長けている。たとえばブラジル代表のシュマイケル。180センチ以上で身体に恵まれたシュマイケルは対人に強いフィクソだった。カンデラスはそんなシュマイケルに攻撃の才能があることを見出し、フィクソではなくアラで起用する。ガブリエル、ネットにディフェンスは任せてもっと前線で動き回るようシュマイケルを促した。するとシュマイケルは攻撃のタレントを開花させ、リーグ得点ランキング上位に名を連ねるようになった。シュマイケルが攻撃でもディフェンスもでき、どこのポジションでもこなせる“ウンニベルサーレ(イタリア語で宇宙の意)”と呼ばれるようになったのはこの頃だ。シュマイケルは当時のインタビューで「カンデラスに言われて、ポジションをひとつ前に上げるようになった。自分を選手としてさらに成長させてくれた彼には感謝している」というコメントを残している。
カンデラスが率いたインテルビューは世界を席巻していた。それはタイトルだけではない。彼が率いてたインテルビューがゴレイロを頂点に2人のピヴォを使ったピラミッド型のパワープレーを始めるとその策は瞬く間に世界に普及した。それほどインテルビューのシステムは有効だった。カンデラスは戦術、戦略でも多くのアイデアと発想を持ち実用化させた。実際、カンデラスは何度もスペインの指導者ライセンスで未来の監督たちに戦術、戦略の講習を担当している。
人心掌握、選手のタレントを見出す眼、そして豊富な戦術、戦略の知識。
だからこそカンデラスは稀代のタイトルホルダーとなり得たのだ。
[プロフィール]
ヘスス・カンデラス・ロドリゴ
国籍:スペイン
生年月日:1957年10月07日(55歳)
・スペインフットサル指導者ライセンス・レベル3取得
[経歴・第1監督]
2012 イラン代表スポーツディレクター
2009-2010 インテル・モビスター(スペイン)
1998-1999?2007-2008 インテルビュー・ブーメラン(スペイン)
1996-1997?1997-1998 カハ・セゴビア(スペイン)
1992-1993?1995-1996 メホラダ(スペイン)
1989-1990?1991-1992 アルゴン(スペイン)
[経歴・第2監督]
1987-1988?1988-1989 マルサンスFS(スペイン)※第2監督
[タイトル]
LNFS優勝5回(2001-2002、2002-2003、2003-2004、2004-2005、2007-2008)
LNFSカップ優勝6回(1988-1989、1997-1998、2000-2001、2003-2004、2004-2005、2006-2007)
LNFSスーパーカップ優勝5回(2001-2002、2002-2003、2003-2004、2005-2006、2007-2008)
インターコンチネンタルカップ優勝4回(2005、2006、2007、2008)
UEFAフットサルカップ優勝2回(2003-2004、2005-2006)
UEFAカップウィナーズカップ優勝1回(2007-2008)
イベリアカップ優勝2回(2004、2006)
マドリッド州カップ優勝3回(2000、2005、2007)
[個人タイトル]
LNFS最優秀監督4回(1997-1998、2001-2002、2004-2005、2007-2008)
フットサルプラネット世界最優秀クラブチーム監督2回(2004、2008)
ロイヤルスポーツエリート・銅メダル(2009)
[出版・本]
「ハイレベルの戦術」(マドリッドフットサル協会)
「フットサルの注意点」(Unisport)
[クリニック・講習会]
2009 フットサル指導者ライセンスコース・レベル3/マドリッド州フットサル協会 マドリッド
2008 フットサル指導者ライセンスコース・レベル3/カタルーニャ州フットサル協会 バルセロナ
2008 フットサル指導者ライセンスコース・レベル3/マドリッド州フットサル協会 マドリッド
2001 フットサル指導者ライセンスコース・レベル3/スペインサッカー協会 マドリッド
2000 フットサル指導者ライセンスコース・レベル2/スペインサッカー協会 アルバセテ
1999 フットサル指導者ラインセスコース・レベル1/スペインサッカー協会 サラゴサ
※全てのコースで戦術・戦略の指導員を担当
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