vol.11 フットサルKOBEフェスタに参加するカタルーニャ州選抜のみどころ

 5月30日からグリーンアリーナ神戸で開催される「フットサルKOBEフェスタ2013」。この大会にカタルーニャ州バルセロナ選抜が参加する。元スペイン代表ハビ・ロドリゲス。今季26試合44得点を決めたスペインリーグ得点王のダニ・サルガド。残念ながら当初召集されていた2人の名手はクラブの契約、負傷により来日できなくなった。ただそれでもカタルーニャ州選抜にはまだまだ注目すべき選手がいる。

 ハビ・ロドリゲスに代わって背番号7をつけるアドルフォに注目していただきたい。20歳のアドルフォは今季サンタ・コロマの攻撃の軸としてプレー。21得点と結果を残すなど文字どおり大活躍。スペインで将来を嘱望される若手のひとりだ。アドルフォはまるでゴム鞠のようコートを駆け回る。運動量が豊富で人にも強くスキルも高い。豪快なシュートも魅力だ。

 アドルフォと共にカタルーニャ州選抜の軸を担うのがピヴォ-アラのエクトルだ。2010年に日本が参加した4か国トーナメントの時にスペイン代表としてプレーしたアタッカーだ。2009-2010シーズンにサンタ・コロマでシーズンで36得点を記録。2011-2012シーズンからイタリアのアクア・サポネに移籍し、昨季は28ゴールを決め、今季も19得点を記録している。前線で起点となるピヴォというよりそのプレースタイルはまさに生粋の点取り屋だ。
「なぜリバウンドが彼にこぼれてくるだ?」
「なぜあそこにエクトルがいるんだ?」
 ゴール前での予備動作は逸材だが、ストライカーの"嗅覚"を体現するアタッカーだ。その"嗅覚"はイタリアに行き、さらに磨かれているだろう。

 今季アラとして活躍し、所属チームを1部に押し上げたディエゴ・ブランコも名を連ねている。昨季は鈴木隆二の同僚であり、マルトレールの1員として2部リーグの得点王になった。38歳のベテランは身体も小さく身体能力が優れているわけでもない。スキルはあるが、そんな彼がここまでずっと第1線でプレーできたのはインテリジェンスと戦術眼、高い個人戦術があったからだ。ディエゴ・ブランコのボールのないところで動き、駆け引きに注目していただきたい。なぜスペインが全く違うスタイルで個に勝るブラジルに勝利できたのか。彼のプレーにはその答えが凝縮されている。

 カタルーニャ選抜のディフェンスの要はルベンだ。サンタ・コロマのキャプテンである彼は上背もあり、対人に強い。また後方から的確なパスでゲームをコントロールする。ルベンのパスをする時のボールの持ち出し方、視野の広さ。どの瞬間もパスの出し手であるルベンと受け手である同僚はディフェンスを欺こうとしている。コートの至る所で行われる駆け引きにも目を凝らしていただきたい。

 スペインのフットサルはコレクティブで組織的だと言われるが、各選手の特徴はゲームを見ればすぐに理解できるはずだ。彼らは同僚のストロングポイントを引き出し合うように有機的に絡み合う。パスが得意な選手がラストパスを出し、決定率の高い選手がシュートを打つ。ゆえに各々がどんな特徴をもった選手なのか自ずとわかるはずだ。味方の長所を引き出し合うコレクティブなスペインフットサルをカタルーニャ州選抜をとおして、神戸でぜひ楽しんでいただきたい。きっと素敵な40分を過ごせるはずだ。


サンタ・コロマの攻撃の軸アドルフォ。まるでゴム鞠のようにピッチを駆け回るアタッカー。迫力のあるドリブルとシュートが持ち味。将来を期待されるスペイン人選手のひとりだ。


サンタ・コロマのキャプテン、ルベン。上背もあり、対人に強いフィクソだ。彼のパス出す時の持ち方、構え方、視野を見ていただきたい。




プロフィール
座間健司(ざまけんじ)
1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして"フットサルマガジンピヴォ!"の編集を務め、卒業後、そのまま"フットサルマガジンピヴォ!"編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。"2011年フットサルマガジンピヴォ!"休刊。2012年よりフットサルを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。

 

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