vol.9 今季の欧州ナンバー1クラブはどこだ? バルセロナが欧州連覇に挑む

 欧州最高の舞台、UEFAチャンピオンズリーグではスペインの2大ビッククラブがアウェーとはいえ、ドイツのチームにそれぞれ4点も決められて、惨敗してしまった。スペイン国内では「バルサの時代の終焉」「完敗」と見出しを立て、「ドイツ 8-1 スペイン」とまで表現されている。準決勝セカンドレグがあるとはいえ、フットボールの覇権が欧州の西の端から中心へと移行するという流れにある。僕の友人は自嘲気味に「経済だけではなく、フットボールもか」と言う。失業率が26パーセントを超えたスペインはEU(欧州連合)のリーダーであり、国内経済も好調なドイツを恨めしそうに見ていたが、ついにフットボールまでも彼らの手に渡りそうだと嘆いているのだ。

 フットボールの首都は変わるかもしれない。だが欧州におけるフットサルの勢力図は変わらない。それは今週末、また改めて実証されるだろう。4月26日から28日にUEFAフットサルカップ決勝ラウンドがグルジアで開幕する。決勝ラウンドは準決勝と決勝が同一地で集中開催される。

 準決勝の組み合わせは以下のとおり。

■準決勝 4月26日16時キックオフ(現地時間)
イベリア2003トビリシ(グルジア)×ディナモ・モスクワ(ロシア)
カリアト・アルマティー(カザフスタン)×バルセロナ(スペイン)

 決勝は4月28日18時30分に行われる。

 優勝候補は昨季の同大会の覇者であるバルセロナだ。スペインリーグを連覇し、スペインカップも連覇しているバルセロナは今まさに絶頂にいる。スペイン代表、ブラジル代表、イタリア代表を揃える陣容はまさに「世界選抜」。彼らのうち、昨年のワールドカップ決勝の舞台に立たなかった選手はイタリア代表のサージ、元スペイン代表のゴレイロ、パコ・セラーノ、ブラジル人アタッカーのイゴールくらいだ。ブラジル代表のアリが負傷のため欠場が決まっているが、怪我をしていたスペイン代表のトーラスはこの舞台に合わせて調整している。

 バルセロナの対抗馬はロシアのディナモ・モスクワだ。シリロ、グスタボ、プーラらロシア国籍を持つブラジル人3人などメンバーのほとんどがロシア代表で、指揮官はカステジョンで欧州王者に輝いた経験があるスペイン人のティノ・ペレスだ。

 ホームの大観衆の声援により、イベリアがディナモ・モスクワに大番狂わせを起こす可能性も捨てきれない。だが、よほどのことが起きないかぎり、決勝は昨季と同じようにバルセロナ対ディナモ・モスクワとなるだろう。

 欧州におけるフットサルの勢力図は変わらない。そのことがこの欧州最高の舞台でまた実証されるはずだ。




プロフィール
座間健司(ざまけんじ)
1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして"フットサルマガジンピヴォ!"の編集を務め、卒業後、そのまま"フットサルマガジンピヴォ!"編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。"2011年フットサルマガジンピヴォ!"休刊。2012年よりフットサルを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。

 

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