vol.3 プロフェッショナルの鑑、ディナモ・モスクワ

  プロフェッショナルとはなんだろうか?
 プレーをしてサラリーを得ている人はみんなプロフェッショナルなのだろうか?
 規則正しい生活をし、競技を第1に考えた生活をしているのが、プロフェッショナルなのだろうか?
 どれもプロフェッショナルなのだろうし、その定義は人によって変わってくるだろう。

 プロフェッショナルとは「自身の能力を絞り出し、100パーセント以上のパフォーマンスをゲームで、そして毎日のトレーニングでピッチで示す」と僕は今、思っている。そう強く思わせてくれたのはディナモ・モスクワのトレーニングだった。ロシアリーグの盟主ディナモ・モスクワは例年どおり、涼しいアンドラでプレシーズンのキャンプを張っていた。彼らはアンドラの地で2週間みっちり体をつくり、そして2週間の練習試合で開幕に向けて調整を進めていく。

 アンドラでのゲーム形式のトレーニング。その風景に僕は久々に感動を覚えた。ブラジル代表とロシア代表が激しく削り合う。ドリブル突破を許しそうになったら、ファウルも辞さない。さらには失点をめぐって、味方同士が怒鳴り合う。

 ディナモ・モスクワを指揮するスペイン人監督ティノ・ペレスはそんな光景を見てから、ピッチにいる選手にわからないように僕に向けて笑顔を送ってきた。こういう選手たちといっしょに仕事できることが楽しい。その笑顔にはそう殴り書きされていた。

 ディナモ・モスクワの選手たちの必死さは第3者である僕にダイレクトにも伝わってくる。そういう選手たちの気持ちが練習から目に見えてわかるのだ。

 選手たちのそういう姿勢はトレーニングの濃度もあげる。そして彼ら自身の能力も向上させる。毎日の練習で自分の持っている全てをピッチで出し切る。自分を限界まで追い詰める。そういうことが出来る選手がプロフェッショナルなのだと強く思った。



プロフィール
座間健司(ざまけんじ)
1980年7月25日生まれ、東京都出身。2002年、東海大学文学部在学中からバイトとして"フットサルマガジンピヴォ!"の編集を務め、卒業後、そのまま"フットサルマガジンピヴォ!"編集部に入社。2004年夏に渡西し、スペインを中心に世界のフットサルを追っている。"2011年フットサルマガジンピヴォ!"休刊。2012年よりフットサルを中心にフリーライター&フォトグラファーとして活動を始める。

 

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