決定力の作り方

得点力のある選手がいる事が大事

これまでのFリーグの上位を振り返ると、今シーズンの名古屋には森岡薫、大阪にはヴィニシウス、2010シーズンの名古屋にはリカルジーニョ、2位の神戸には山田ラファエルユウゴ、2009シーズン2位の町田には本田とそれぞれ得点力がある選手がいた。

森岡やリカルジーニョは1対1に強く、山田は強烈なシュート力を持つ。本田は相手の隙をつくのが上手く、ヴィニシウスは右サイドからカットインによるシュートと、GKイゴールからのスローに合わせるのが上手い。得点力のある選手はパターンは違っても個人で勝てるポイントがある点で共通している。

個で勝てないなら組織で勝負

個人で勝てるポイントがあれば良いが、それが無い場合は勝たなくても点を取るケースを作るしかない。

その典型的な例が今シーズン12得点の木暮賢一郎(名古屋)だ。森岡やラファエルサカイ、マルキーニョといった点が取れる選手がいるため、相手チームの守備の要と対峙する頻度は少ないというハンデはあるが、ドリブル突破をするわけでもなく、強烈なシュート力があるわけではない木暮が12点もとれるのは、木暮がタイミング良くゴールを決められる位置にいるからだ。

木暮が点を取れる理由について小宮山友祐(浦安)は、「(森岡)薫らがサイドで1対1になる瞬間に、木暮はゴール前ファーサイドですでに待ち構えている。タイミングにずれが無いので、守る側としては両方を薫と木暮の両方をケアしないといけない」とプレーの判断の速さを語る。

木暮自身は、「薫やサカイらが中央でプレーするときは、いかに良いボールを入れられるかがポイントだが、彼らがサイドに開いた時にはスペースを作ると同時に、自分がゴール前に入ればチャンスが生まれるはず」と4人が意思疎通をはかって動くのとは違うが、1人が動く事を予想して他の3人が応じて動く。つまり、木暮、森岡、サカイ、北原亘の名古屋の1stセットは結果的に連動していると言える。

連携とは意思疎通

2011シーズンのFリーグで浦安は、順位こそ5位で終えたもののシュート数は6位、得点数は8位だった。ポゼッションが高いながらも得点力が低かった原因は、シュート成功率の低さであり、ひとりで得点できる選手が少ないチームである事から、意思疎通に課題があると考えられる。

事実、「型にはめすぎるのは良くないが、型は1つ、2つくらいあった方が連携は高まっていたかもしれない」と振り返る選手もいた。

同じように終盤追い上げを見せた町田もスタートダッシュに失敗したが、当時、関野監督は「選手の考えを生かそうとあえてパターンを作らなかったが、それが逆効果だったかもしれない」と語っていた。

つまり、同じピッチに出ている選手間で意思疎通が取れるためには、味方の動きの選択肢を知らなければならない。そのためにも、まずはパターン化が必要だろう。

Fリーグを勝ち抜くポイントは攻撃のパターン化

シーズン開幕前、各チームは守備に重点を置き、攻撃はあまり手をつけられずにシーズンを迎える事が多い。練習していく中で身につけるために時間がかかるという理由もあるが、名古屋がいる以上、Fリーグはスタートダッシュに失敗すると優勝の可能性が非常に低くなるため、優勝するには開幕時までに攻撃パターンをどれだけ準備できているかが鍵になるはずだ。