好調町田の落とし穴

3連勝で勝ちパターンを確立

3連勝中で勢いに乗る町田が3連敗中の浦安に乗り込んだ。

町田の好調の要因は、ずばり堅守速攻につきる。ほぼマンツーマンで守り、ボールを奪ったらカウンターであまり手数をかけずにゴールを狙う。そして左右両キッカーを要するセットプレーも大事な得点源となっている。

主導権を握った前半

この日の町田は浦安の守備の穴をしっかり研究しており、積極的にプレスに来る浦安の裏のスペースを狙い、金山友紀が先制する。その後も前から来る浦安に対して、本田や永島が前へ走る事で彼らへのピボ当てだけでなく、彼らが浦安のフィクソを引き連れる事で、浦安の守備陣の間にスペースができる。町田はピボ以外の3人がこのスペースを使い、結果として浦安の守備を押し下げた。滝田学やGK渡辺新一のロングボールの精度が高く、本田真琉虎洲や永島俊が前線でロングボールをしっかりキープできるだけでなく、後方の篠崎隆樹や甲斐修侍らがボールコントロールに優れているからこの戦いが機能する。

ただ、今の好調の原因である、カウンターやセットプレーから追加点を奪えなかったのが痛かった。

以前に無い粘り強さ

浦安は前半終了間際にCKから中島孝のシュートで同点に追いついたが、後半途中まではプレスのかかりや縦パスの精度が悪く、主導権を握れなかった。そこで、基本に立ち返ってプレスのタイミングを統一させ、プレスをかけられないときは無理をせずにハーフラインまで戻るようにしたことで、町田に高い位置でボールキープをさせないようにできた。攻撃でも縦に急がずパスをつなぎ、サイドからワンツーで崩しはじめると、38分に高橋健介の芸術的なゴールで逆転に成功した。

「以前のうちならここでズルズル行ってしまったけど、最近はみんな最後まで試合を諦めない」(金山)と、これで試合が決まったかと思われたが、その直後に町田は自陣中央で滝田が前線へスルーパスを送ると、本田が円弧を描くようにDFの裏を取り、1対1になったGKを交わして同点に追いついた。

自らのミスで星を落とす

この試合の勝敗の決め手となったのはこの後に浦安が始めたパワープレーだった。

ここで町田は2つのミスを犯した。1つ目は、本来であればパワープレーでは原章展をGKにするはずだったが、渡辺をそのまま起用してしまった事。2つ目は浦安の後方の選手を自由にしてしまった事である。

1つ目は「自分のミス」と町田の関野監督も認めているが、2つ目も致命的なミスである。パワープレーで前2人、後ろ2人のボックス型(2-2)で守る方法では、中央に入れさせてはならない。そのために前の2人は中に入れさせないようにパスコースを切らなければならないが、それが出来なかった。さらに、ボックス型では基本、4人がボールサイドにスライドするように守らなければならないが、失点の場面ではマークがずれて、中央の高橋にパスを通され、高橋はGKとDFをひきつけて冷静に左へパス。ゴール左に詰めていた中島に押し込まれた。

その後、町田は甲斐をGKにパワープレーを始めるも、逆に稲葉洸太郎に追加点を許した。終了間際に浦安の6ファールで得た第2PKを横江怜が冷静に決めて1点返すも、あと一歩及ばなかった。

3連勝中はいずれも先制してロースコアに持ち込む展開で、この日もその流れに沿っていたが、自らのミスで今シーズン初の4連勝を逃してしまった。