混戦脱出の鍵は先制点

チーム方針の確立が勝敗の分かれ目に

今シーズンのFリーグは早くも1/3を消化した。上位5チームと下位5チームとそれぞれが混戦となっているが、この原因となったのは、名古屋の予想外の低迷である。5年目にして初の無得点、連敗をしてしまった事で、オーシャンアリーナカップでは結果を残せなかった府中、浦安などが名古屋を倒して上位に進出している。

首位争いを競う上位5チームとスタートダッシュに失敗した下位5チームを比較すると、チーム内の方針の統一に大きな違いが見られた。

上位陣は選手間で若干の違いはあるものの、監督を中心にチームの戦い方が明確になっている。特に浦安、大分は大胆で大味な戦い方をするのでわかりやすく、府中も上澤貴憲ら主力の力を最大限生かすような戦い方でまとまっている。

その反面、下位のチームは戦い方が曖昧だったり、明確でも穴があるため勝てないという状況に陥っている。例えば北海道は守備では積極的なプレスをかけ、攻撃ではテンポ良くパスを回すスタイルが確立しているが、プレスを回避された場合やパス回しで点が取れない時の対処法が無いため、はまれば良いがはまらないと自滅と二択になってしまう。

町田もマンツーマンディフェンスを軸にした方針は決まっているものの、攻撃では約束事を決めずに選手の自主性に任せた事で選手間で考えがバラバラになり、そこから綻びてしまい試合に敗れるケースが多かった。

混戦の上位争いのポイントは先制点

混戦から抜けるには勝ち点3をとり続けていくしかないのだが、勝利のポイントとして先制点が挙げられる。

当たり前といえば当たり前なのだが、上位陣の多くが逆転勝利が少ない。上位5チームは1試合あたり3.2得点だが得失点差は1.2点しかなく、接戦が多い。

また、先制すれば無理に攻める必要も無く、自分たちのペースで戦える。例えば府中はリードした時間帯や守備の時間帯に主力を休ませる事も多い。

実際、1順目の首位府中から5位浦安までの5チームの逆転勝利はわずか9試合しかない。さらにこの5チーム同士の対戦では2試合しかない。

このことからも今シーズンは先行逃げ切りが重要であることがわかる。逆に言えば、しっかりと守り抜く事が必要で、そのためにも前述のチーム内で戦略が統一されていなければ、先制されて苦しい展開に陥ってしまうだろう。