クアトロへの可能性

リスクの少ない戦い方

Fリーグを4連覇中で、今年のAFCフットサルクラブ選手権を制した名古屋。アジウ監督体制は今年で4年目を迎えるが、過去3シーズンは、森岡薫をはじめ、マルキーニョス、ウイルソン、ルイス・ネゴン、ラファエル・サカイ、渡邉知晃とピボを務める選手が代わっても、ピボへ預けて相手を押し込んでからの攻撃を継続してきた。

前線でボールを保持できる選手がいれば相手ゴール近くで攻撃をできるだけでなく、カウンターのリスクも減るだけに、ピボを使わない手は無い。スペイン代表も強力なピボであるフェルナンダウがブラジルからの帰化が認められると早速召集し、ピボによる攻撃を強化させたことからも、ピボを使う攻撃はフットサルにおいて最も有効な戦術と言える。

クアトロの魅力

ピボ中心の攻撃は優れている反面、ピボをこなせる選手がいなければならない。実際、Fリーグや日本代表でピボをこなせる日本人選手は、高橋健介(浦安)、星翔太(グアダラハラ)、渡邉、小山剛史(府中)、原田浩平(神戸)くらいだろうか。

そのため、いないチームやピボが封じ込められた場合は別の戦い方をしなければならない。そこで出てくるのが4人がポジションにこだわる事無く動いて相手を崩すクアトロだ。

そのクアトロを積極的に推し進めてきたのが、ブラジル代表や以前のマウイィー、ポルトガル代表とベンフィカだろう。ベンフィカや当時のマウイィーは、日本人選手と身長があまり変わらない選手が多かったが、それでも世界の強豪と互角に渡り合っていた。というよりも彼らが世界の強豪の1つだった。

中でもベンフィカといえばアジウ現名古屋監督が以前率いて、昨シーズンに名古屋に所属していたリカルジーニョと今シーズンに名古屋に加入したペドロ・コスタが所属していたチームである。そして、ポルトガル代表の主力はベンフィカの主力である事から、ベンフィカの主力=クアトロと言っても過言ではない。

つまり、クアトロを知る人が名古屋にこれだけいるのだから、名古屋がクアトロを取り入れても不思議ではない。

クアトロをこなすために必要な「4」

「クアトロ」とはスペイン語やポルトガル語で「4」を表すことからもわかるように、4人がポジションに関係なく、動いて相手を崩す戦術を意味する。そのため、クアトロをこなせる選手が4人揃わないとできない、あるいみピボを使うよりも採用するのは難しい。アジウが名古屋に就任した当初、名古屋でクアトロをこなせる選手は少なく、日本国内でも経験者はほとんどいなかった。

しかし、今の名古屋ならばペドロ・コスタをはじめ、スペインでクアトロを経験した木暮賢一郎、ボールコントロールに長けた逸見ラファエル勝利、どこでもこなせるラファエル・サカイでこなすことも不可能ではない。

世界と渡り合うために必要な新たな挑戦

こなせる選手が限られるクアトロをアジアNo.1になった名古屋がわざわざする必要は無いかもしれない。新しい戦術を取り入れることでチームのバランスが崩れてリーグ戦で敗れる可能性もある。 しかし、名古屋が目指すのはFリーグ5連覇以上に、世界に通用するチーム作りでなければならない。残念ながら現状のピボを使った戦術だけでは世界に通用しない。そのためには新らしい何かを取り入れなければならず、今できる最適なのはクアトロなのだ。

クアトロの完成までには1年以上かかるかもしれないが、クアトロを習得できれば、名古屋もベンフィカのように世界と対等に渡り合える日が来るに違いない。