名古屋から考える日本フットサルの方向性

Fリーグの君主、名古屋の戦略

4シーズン目の2010年Fリーグも3連覇中の名古屋が5節を残して優勝を決めた。圧倒的な強さを誇る秘訣は、チーム結成当初から変わらない、前後に実力ある外国人選手を中心とした戦い方だ。

日本人選手が彼らの良さを引き出しながら、外国人選手が日本人選手の負担を軽減させる、日本人と外国人の融合は時間が経過するにつれて円熟味を増してきた。さらに、所属する外国人も積極的な入れ替えを行い、ついには欧州最高とまで言われたリカルジーニョも獲得した。
(来シーズンに向けて大物を獲得するという噂も出ているが、これ以上誰を獲得してどうなってしまうのだろうか?)

昨年から始まったアジアクラブ選手権では初代王者の座を逃したが、「名古屋にしかできない戦い方を目指したい」を理想に掲げてきたチームができるだけ早く優勝するためには、外国人選手を中心にした戦い方は必然だ。

日本フットサルの方向性

多くのフットサル関係者が考えている「日本人のフットサル理想像」は何だろうか?

「日本人が持つ特長を最大限生かしたスタイル」というのが回答になると予想されるが、それが具現化されたモデルの1つがリカルジーニョやペドロ・コスタ、アンドレ・リマらのポルトガル代表やベンフィカであり、もう1つは現在ミゲル代表監督が作ろうとしている日本代表なのだろう。

しかしながら、純粋な日本人だけで理想のフットサルをわずか数年で実現させるのが難しいのは言うまでもない。

サッカーで言えば、FCバルセロナですら現在のようなカンテラ出身の選手中心で編成できるようなるまでに100年近くかかっている。(※過去にもカンテラ出身が中心になった時代もあったが)むしろ、世界ほとんどが他からの血を入れており、2008欧州選手権を制したスペインもブラジル出身のマルコス・セナを召集し、2010南アフリカW杯で活躍したドイツ代表もトルコや東欧からの移民を自国の代表に引き入れて成功につなげた。

となると、日本のフットサルの方向性としては日本人+外国人選手というのは避けられないのでないだろうか。

どこにゴールはあるのか?

フットサルのスペイン代表ですら、フェルナンダウなどブラジル出身選手を入れているのだから、多くの日本人が頭の中で描いている日本人“だけ”による日本のフットサルというのは、実現できても成果につながらないのかもしれない。

そう考えると、名古屋が推し進めている外国人選手中心の戦略はあながち間違っていない。ただ、1つ言える事は、今名古屋が敷いているレールは、今多くの人が考える日本フットサル界の目指したいゴールとは異なる方向に向かっている。

さて、どうなる事やら。