上手なピボの使い方

ピボは大事

なんだかんだ言ってもピボは大事だ。
ピボがいれば、攻撃の幅が広がるのは言うまでもない。ブラジルのベットンは大きくて上手いという規格外な選手だが、スペインもブラジルから帰化したフェルナンダウをすぐに代表に召集したこともあり、ピボがいるにこしたことはない。
Fリーグでは森岡薫(名古屋)や稲田祐介(現町田)といった前で張るのが得意な選手もいれば、水上玄太(北海道)やジャッピーニャ(町田)、星翔太(浦安)のようにスペースを利用するタイプもいる。

ピボを使える選手の有無

昨シーズン、浦安は稲田というピボを擁しながらも彼にパスを送ることができる選手がいなかったために、浦安の本来の力を出し切ることができなかった。また、稲田と異なるタイプの星にいたっては彼を生かす方法をチームとして最後まで確立できなかった。
それに対し名古屋は、森岡薫やウィルソンら前線の選手が機能した。彼ら2人が典型的なピボであり、抜群のキープ力を持つから生かしやすいということもある。そして、彼らを生かすパサーとして木暮賢一郎らがいる。木暮の良さは状況や距離に合わせてパスの強弱やスピード、タイミングを変えて出せるため、受け手のピボとしてもやりやすいだろう。

ゲームを支配できる選手が必要

だが、木暮の真骨頂はパスだけではない。パスを出した後にはピボに対して次のプレーを要求し、攻撃を組み立てる。「ピボに任せるのではなく、ピボを使う」という表現がまさに適しており、ピボを使ってゴールまでの攻撃をイメージ、統率する事が、彼がスペインで経験した最も大きな要素だ。
今シーズンは終盤に得点を積み重ねて得点王となったボラを猛追したが、木暮からすれば自分がゴールを決めることよりも、チームメイトが決める場面を作り出すことの方が重要であり、「得点王になっても優勝できなかったら意味が無い」と語るのは常勝名古屋で求められることを理解している証拠でもある。

木暮だけでなく、藤井健太、甲斐修侍(町田)、岸本武志(大阪)らもゴールまでのプロセスを明確にイメージしてプレーできる選手であり、優勝するためにはこういった選手が欠かせない。