首位と最下位の差

予想以上の開き

Fリーグ3連覇を狙う名古屋オーシャンズと今シーズンから参入し5位が目標の府中アスレティックFC。片やプロチーム、片やアマチュアチーム。そもそもの差があるものの、2順目を終えた時点で両者は首位と最下位。勝ち点は34の差がある。ここまで勝ち点差が開いた原因として、選手層、戦術浸透度、精神面の3つがあげられる。

計算できない選手層

メンバーを見ると、上澤貴憲をはじめ代表または代表候補経験者が8人いる。これはリーグでトップクラスである。それならば、上位に進出してもおかしくないのだが、この8人が万全で揃った事がこれまで1度もない。中心選手で万全なのは上澤くらい。小野も怪我明けで感覚が戻っておらず、小山剛史、皆本晃も怪我で欠場している。どうしても控えメンバーに頼らざるをえないが、彼らのミスから失点を喫する事が多い。この選手層の薄さが最も大きな問題である。ガルジェッリ監督は試合後の会見で「怪我人が戻ってくれば良くなる」と何度かコメントしてきたが、そう語るのも納得できるほどだ。

それに対して名古屋は多くの選手が怪我を抱えているものの欠場したのはシジネイやウィルソンら程度で、森秀太や平林輝良寛ら控え選手に頼らなければならない試合はほとんど無い。

実践できない戦術

2つ目は前述の選手層の薄さに共通することだが、戦術遂行度の低さがあげられる。17節の府中対名古屋戦で府中は、開始早々の名古屋のプレスに対してボールを持つ選手が前に出せないと他の3人も足が止まってしまい、フォローに入れなかった。そして、試合中にガルジェッリ監督が選手に丁寧に動き方の指示を出すシーンも多く見られた。

「練習ではできているけど、試合になると...」と上澤は語り、小野は「やりたいことが全然できていない」と嘆く。勝って自信を取り戻せば積極的になれる可能性もあるが、積極的にならなければ勝てる試合も勝てない。

戦いなれていないメンタリティ

「(戦ってみて)府中が最下位という印象は無いけど、点を取られる怖さは無い」と名古屋の選手が語った言葉が的を得ている。

この消極的なプレーを含めた精神面脆さが3つ目の原因である。常に消極的というわけではないが、ボールを持たない選手がそのまま後方で残っていたり、中盤でもパスを要求しなかったりという場面がよく見られる。その結果、相手からすれば守りやすいし、勢いで押される事もない。名古屋戦では終盤に追い上げを見せた。「負けているチームが攻め立てるのは自然の流れ。府中は監督のもと、よく頑張った」とアジウ監督も評価したように、これが最初からできていれば結果は違ったかもしれない。

どう変われるか?

リーグも後半戦に突入しているが、「ここからが府中のスタート。リーグが終わる頃には本当の府中が見られるでしょう」とガルジェッリ監督は語る。はたしてシーズン終了時にはどのようなチームになっているか?。大物選手の獲得も噂されるが、今のチーム状況ではそれも必要だろう。いずれにせよ、変われなかったら過去最低のシーズン成績で終わるだけに、変わることは必須である。