課題も期待の表れ

ランクアップした日本代表

ミゲル・ロドリゴ新監督が就任して国内で最初の試合となったイタリア代表との親善試合。イタリアも昨年のワールドカップのメンバーの大半は今回来日しなかったものの、それでも世界3位の名に恥じないハイレベルなチームで、試合の主導権はほとんどイタリアが握っていた。

昨年までなら日本代表は格上の相手と対戦すると、劣勢を強いられて痺れを切らしたところで失点を許すケースが多かった。今回の初戦を振り返ると、イタリアにやられる場面はあったものの、ベタ引きするわけでもなく、最後までコンセプトを崩さず、痺れを切らす場面も以前と比べれば格段に減っていた。

これはミゲルがこれまでの合宿で守備練習に時間を割いてきた成果といえよう。

前線の守備が鍵

2-1-1で守る日本の守備のコンセプトは明確だった。「奪いに行くのではなく、ミスを誘う」守備は、チャンスや体制が整っているときは前線の2枚が積極的にプレスをかけ、次の“1”は中盤に出てくる敵やボールをケアする。最後尾の“1”は相手のピボにボールを持たせないように場所取り合戦のような守備だった。逆に、プレスをかけるのが難しいと判断したときは、ハーフラインまで下がっての守備に変えていた。

奪いに行く意識が強い選手からするとミゲルの戦術は難しいらしく、高橋健介も「日本にいた頃のやり方と違っていたから、セゴビアでは頭で理解しても、どうしても体が従来の動きをしてしまうことがあったので大変だった」と語っていたが、前線の守備が初戦でも課題が浮き彫りになった。

課題の原因はコミュニケーションと臨機応変さ

2-1-1で守る日本に対して、イタリアは当初ピボを1人前におく形を取っていたが、タイミングを見計らって後ろからもう1人が上がり、2-2の形を取った。これによって日本の2-1-1の前の“1”は上がってきた相手につくため、日本も2-2の形になる。そうなると、2-1-1では通るはずのない中央のパスが通ってしまう。これによって、イタリアは後方から前線の2人の選手に縦と斜めの2つのパスコースができあがる。日本の一番後ろの“1”を担うフィクソはピボにボールを持たせないように前でカットするのが目的だが、パスコースが増えてしまうと、パスカットが難しくなる。

「前の2人がもっと厳しく行ってコースを切らないといけない。そのためにももっと全体の連携を良くしないと」

上澤貴憲が語るように、彼をはじめとしたフィクソ陣が一回り大きな相手に屈せずに、体を張って守ったから露呈されなかった課題があった。

さらにイタリアは日本の弱点をついてきた。2-1-1のもう1つの穴は中盤のサイドにある。前線に1人ピボを置く戦いを続けたイタリアは、前半の途中から、ゴールクリアランスの際に、中盤の右サイドにアラを1人おき、変形した3-1の形をとる。日本は前の2人が前線へのパスコースを切り、2列目の“1”は中央で網を張る。そのおかげで前線へのパスは減るが、サイドのアラをフリーにしてしまう場面が多くなり、後手にまわってしまう。イタリアはこのポジションに1対1に強い選手を置き、果敢に日本ゴールを狙う。日本は、フィクソが1対1で抜かれた味方のカバーに入るなどして何とか無失点で切り抜けたが、あわや失点と言う場面も多くあった。

ポジティブな課題

「(2-1-1は)まだ機能していない。最後の最後で踏ん張っただけ」
初戦を終えて上澤は課題を持ち帰った。日本が世界を目指すには、個々の力だけでは絶対に勝てないため、総合力で勝負しなければならない。そのために今後は技術的な部分はもちろんだが、コミュニケーション能力を高めなければ、彼らの力を最大限引き出すのは難しい。

0-0という結果だけ見れば満足できるものだが、内容はそうではない。新生代表のベストメンバーとして最初の試合で、相手がイタリアということを考えれば、結果だけでなく内容まで求めるのは欲張りすぎかもしれない。

しかし、上澤のように選手自身が欲張っているのは、今後の日本代表に期待ができそうだ。