2009年を動かす5人

次世代が出てこない問題

Fリーグというより日本フットサル界において次世代の台頭が大きな問題となっている。若手をどの年齢までに区切るかにもよるが、Fリーグが新しく設けたU-23を若手とするならば、これまで若手といわれ続けてきた稲葉洸太郎ですらもう26歳、ニューカマーとして代表に滑り込んだ小曽戸允哉や原田浩平らも25歳なので、実際は中堅になってしまう。

これまでのサッカーからフットサルへの流れとして、小曽戸のようにプロや社会人を経験してから転向するパターンと、原田のように大学サッカー部を経て始めるパターンが多く、大学以前からフットサルを始めて成功した例はほとんどいない。Fリーグがプロではないことや、認知度の低さなどさまざまな事情があるとはいえ、若手選手が出てこない大きな原因はここにあるといえる。

星翔太という成功例

そういった中で、星翔太はこれからのフットサル界にかすかな可能性をもたらしている。星は稲葉洸太郎や北原亘らBOTSWANA FC MEGURO(現FUGA MEGURO)の後輩にあたり、U-23枠にもギリギリだが対象になる。

BOTSWANAは当初、フットサルらしくないフットサルチームといわれてきたが、徐々にシフトチェンジしていきながら、先日のプーマカップ優勝や関東リーグ連覇など実績を残してきた。そういったフットサル純粋培養の中で星は成長しており、彼の活躍があったから佐藤亮や渡邉知晃など素質あふれる大学生がBOTSWANAに加入するきっかけになっており、そして彼らもFリーグに引けをとらないほど成長している。

若手に足りないメンタリティ

そんな星の最大の魅力は、技術やフィジカルではなくフットサルに賭けるメンタリティである。先のプーマカップの予選で名古屋オーシャンズ戦での事。結果にこだわり自分たちの戦い方を捨てて挑んだものの敗れたが、善戦を称えられたり、満足するチームメイトがいる中で星は、「今日は何も残らなかった。準々決勝に進めたとしても、この結果をどう受け止めるかで変わってくる」と先を見据えた考え方を持っていた。

浦安のシト監督やパコ前花巻監督など、外国人監督が口をそろえて日本人のメンタリティの弱さを指摘していたが、日本フットサルが停滞しているのは、上を目指す気持ちを持っている選手が少ないからであり、年齢や技術レベルにおける下克上がおきないから、ベテランと呼ばれる選手たちがいつまでたっても最前線で活躍できているのだろう。

星翔太らニュージェネレーションが藤井健太や金山友紀、木暮賢一郎らこれまでの代表の主力を脅かす存在となってくれる事を期待したい。