2009年を動かす5人

日本代表の問題点

08年のフットサルワールドカップ(W杯)を振り返ると、日本代表に欠けていたものはいくつもあった。各選手のスキルやフィジカルはもちろん、戦術やメンタリティ、本番に向けた準備などなど上げたらきりがない。
中でも、選手不足には泣かされた。藤井健太や木暮賢一郎や金山友紀、小曽戸允哉、稲葉洸太郎とチャンスに絡むアラが多いが、逆に彼らを生かす攻撃の組み立てができて、かつ守備もこなせる選手が欠けていた。攻撃のリズムを作れない問題は以前から懸念されていたが、未解決のまま地球の反対側まで渡って惨敗して帰国する結果に終わってしまった。

ベテランの下り坂

「攻撃もできるフィクソ」というポジションは、フットサルを知っていなければこなせないためになかなか適した人材が出てこない。過去には難波田治という世界にもっと近い選手がいたが、「市原(誉昭)のように相手の嫌なところを突けるフットサルをわかっている選手は少ない」と評価する監督も多いように、今のところ彼や上澤貴憲あたりしか適する選手が見つからない。
しかし、市原も30才を越えて以前のようなキレは影を潜めた。Fリーグ1年目の昨シーズンはドリブラーにあっさり抜かれて、失点を引き金を作ってしまうこともあり、出場時間も徐々に短くなっていった。

復活の理由

もう終わったと囁かされた市原だが、Fリーグの2年目は今まで以上にトレーニングに励んだことで以前のキレの良さが戻ると、出場時間が延びるだけでなくパワープレーのメンバーとして起用されるなど、浦安に欠かせない戦力として復活した。
その影にはつらい生活があった。浦安はプロチームではないため、毎日練習が終わるのは23時。自宅に帰って夕食を終えると深夜1時を過ぎることが普通である。体調のことを考えると十分な睡眠をとらなければならないが、食べ物を消化する前に寝てしまえば脂肪が付いてしまい、プレーに支障をきたしてしまう。かといって食事を取らなければコンディションに影響が出る。究極の選択の結果、満足できるプレーをするために食事後2時間過ぎてから眠るようにして、睡眠時間を削っている。

誰にも負けない執念

サッカー選手が節制して40歳になってもプレーしているのを見て、自分も体調管理をすればまだまだ挑戦できると信じて取り組んでいる。それでもダメなら、「生活を考え直さないといけない」とフットサルに賭ける執念は若手以上に強い。
08-09シーズン、浦安があと一歩のところでリーグタイトルを逃したのも、日本代表がW杯で惨敗を喫したのも、彼のようなフットサルに賭ける執念がチーム全体に無かったからだろう。
「昔の選手たちの方が気持ちが強かった」とよく言われるが、それを伝承できる数少ない現役選手なだけに、09-10シーズンはプレーはもちろん執念も見せ、それが浦安だけでなくFリーグ全体に伝播してほしい。