4年後への不安

Fリーグの拡大

日本代表の2度目のW杯は健闘むなしく予選の4試合で終わった。その1週間後、同じ予選で日本が負けたブラジルとロシアが準決勝で対戦する6時間ほど前に、Fリーグの新規参入チームが発表された。府中と北海道にとっては嬉しい時間だっただろう。
Fリーグはこの2チームの加入により大きく勢力が変わる可能性がある。チーム数が増える事で、新しい人材が発掘される事と、北海道と東京というフットサル2大都市の参入で、地元出身者がUターンする可能性があるからだ。

生まれたてのクラブへの依存

また、チーム数が増えたことで、2試合ホームゲームが増えるが、それだけでなくセントラル開催が3節だけになるため、その分ホームゲームがさらに増えるため、8試合分の入場料収入が増える計算になる(ただしその分アウェイ戦も増えるため遠征費がかさんでしまうが)。その点を大仁CEOはメリットと考えている。
ただ、今回のW杯を観戦した大仁CEOが、「ブラジルに遊びがなくなり、ますます強くなった」とブラジルの凄さを改めて感じていた事に非常に気になった。

2003年に日本代表がブラジル代表に大敗した際もブラジルまで渡っていた大仁CEOは、その時に強化の必要性を感じてサッポ監督を招聘し、今に至っている。その以来、年2回の海外遠征や定期的な代表合宿など、それまでと比べると代表の強化費用はかなり増え、充実してきた。
しかし、それでも勝負にならなかった。そうなれば、今後はさらに強化していかなければならないのだが、今後の強化方針については、「我々が主導でやっていこうとは思っていない。まずはクラブがどう考えるか」と語った。

成長よりむしろ後退?

確かに、Fリーグができクラブも以前と比べれば練習量や質が向上してきた。とはいえ、昨シーズンは全クラブが赤字経営で、練習も万全とはいえない。8チーム中、個が成長したのが明らかにわかるのは名古屋くらいだろう。
代表の練習期間が少ない事などを考慮すれば大仁CEOのコメントも理解できる。だが、クラブが四苦八苦している中で選手の成長を望むのは少々酷な事ではないだろうか?それは今回のW杯を見れば一目瞭然である。
今回のW杯では、個の実力差に加えチームで戦えていなかった問題が浮き彫りにされたが、それは今に始まったことではなく、2年前のポルトガル遠征でポルトガルには1-11、ウクライナに1-4で敗れた時から個の差や決定力の重要性を身をもって経験しており、今年の3月のスペイン遠征ではチームワークの問題も既に出ていたが、Fリーグが始まってもその差が埋まる術が見つかっていない。

このままでは代表はいつまでたっても変わらないどころかむしろ、「アジアで勝つのも厳しい」と感じた大仁CEOの懸念は現実となってしまうのではないだろうか……。