1+1>2

4人でやる難しさ

「テレビゲームとは違うから」
浦安のシト監督は、試合での選手たちのコミュニケーションの難しさを知っている。1人でプレーするテレビゲームとは違い、それぞれ頭脳を持つ4人のFPがプレーするのだから、考えもそれぞれ異なって当然である。

誰でもこなせる連動

それでも浦安の選手たちの連携は見事だ。開幕の大阪戦では相手が浮き足立っているのを見逃さず、開始1分で川原永光から前線の稲田祐介を囮にして右サイドの藤井健太へパスが通って先制すると、その直後に今度は小宮山友祐と稲葉洸太郎の連携からゴール前の稲田祐介が押し込み、2分で2点を5人全員の力で奪った。
3節の湘南戦では、前半終了間際に稲葉洸太郎と平塚雅史が1秒も無い小休止の間にタイミングを計り、ワンツーであっさり同点に追いついた。「誰とでも連動」という言葉がふさわしいゴールが浦安にはある。
連携の良さは守備でも変わらない。大阪戦の後半では相手が15分間パワープレーをしてきたために守備に回ると、大森茂晴、平塚雅史、市原誉昭、小宮山の4枚のフィクソを同時に送り込んで守備の意識を高める。浦安はこの後半に22本のシュートを打たれたが見事に防ぎきり、逆に3本しかシュートを打たなかったものの1点を奪い突き放した。
2戦目の神戸戦でも同じで、相性が悪いだけでなくコンディションも良くなく運動量が少なかったため、あえて無理にハイプレスを仕掛けずに相手のスペースを埋め、接戦になると予想していたシト監督の狙い通りの1-0というロースコアに持っていけた。

負けないオーラの理由

湘南戦では4失点も喫したが、それでも勝てる強さが浦安にはある。リードされても、守らなければならない時間が長くても今の浦安は慌てないから、「負ける」という雰囲気を醸し出さない。その自信はこれまでの実績があるからであり、その実績は練習によって得られる。浦安の練習では監督は細かいことに指示を出さない。最初は指示の少なさに戸惑い、不安を感じる選手もいたが、今では選手間でコミュニケーションを取る事で、不安や問題点を解消している。市原と大森、稲田と川原、藤井と清水誠がジェスチャーを交えながら話し合い、あるときは藤井が大森に教える。選手間の入り乱れたコミュニケーションが浦安の実力を強靭なものにしている。

勝機は組織

Fリーグも2シーズン目が始まり、実力のある選手が地域リーグから現れてきた。今後も実力の無い選手は淘汰されていくのは間違いない。しかし、チームが強くなるためにはそれだけでは足りないし、そのやり方では日本のレベルも上がらない。浦安の個々の選手に実力はもちろんあるが、それに組織を加えてチーム力を向上させている。 「浦安は名古屋に勝てない」という予想が多い。ボラ、マルキーニョス、森岡薫にシジネイを加えた強烈な攻撃陣だけでなく、定永久男をはじめほとんどが代表経験者だけあり、個の実力はリーグ1である。しかし、フットサルは個の実力の足し算の勝負ではない。浦安の勝機はそこにある。