名古屋の行き先

名古屋 10-1 花巻

リーグ戦王者と最下位との対戦は、結果は昨年の順位どおりの大差となったが、今シーズンを予想できるほどの状態ではなく、どちらもまだまだこれからという感じだった。名古屋も守備のコンセプトをこちらも新任のアジウ監督が、ようやく選手に伝えた程度で、攻撃に関してはほとんど手をつけていない。さらに今大会のための調整もしていないので、選手の体が重く、動きが鈍かった。それでも圧勝してしまうのだから、「名古屋の個の強さは今年も健在」と言える。

得点の確実性

ヨーロッパでは、普通にボールを回して相手を崩せるほど楽な試合は無く、わずかなミスやチャンスをどれだけ確実にモノにできるかが勝敗を分ける。そのため、アジウ監督は選手たちに攻守の切り替えの速さを口が酸っぱくなるほど言い続けているようで、記者会見だけでなく、選手の口からも「カウンター」と「縦へ速く」というキーワードが頻繁に出てくる。その成果か、この試合もカウンターから3点奪った。

もう1つのポイントがこの日4点奪ったセットプレーだ。特にCKからのバリエーションはすでにいくつか用意してあり、昨年のインターコンチネンタルカップで、当時アジウ監督が率いていたベンフィカに名古屋が鮮やかに決められたCKも、すでに名古屋に取り入れている。確実に決められるときに決める、きれいな戦術やかっこいいプレーの前に、アジウ監督はフットサルに必要な事をしっかり叩き込んでいる。

連動した守備

アジウ監督が考える名古屋のスタイルは、ピッチ上の4人が連動した攻守の切り替えが速いフットサルだと考えられる。守備のベースはハイプレスだが、ピッチ上の選手がプレスのかけ具合を4人が考えながら連動しなければならない。きちんと連動すればすぐに攻撃に移れるものの、プレスをかける場面とかけない場面など、4人の考えが一致しなければそこから崩されてしまう。練習を始めてまだ3週間と短いため、ほころびが随所で見受けられた。花巻がゴールクリアランスの練習をしており、ハイプレスを回避する術を持っていたので、花巻にパスの精度の高さと積極的なボール運びがあれば、名古屋はあと2、3失点していただろう。

時間をかけて

名古屋は今は選手間で調節するのと同時に、アジウ監督は選手の組み合わせを見ている。この日出られなかった、テクニシャンのボラと野嶋倫、頭の良い丸山哲平、圧倒的な破壊力を持つシジネイらが復帰すれば組み合わせは豊富になる。前任、前々任はともに動くフットサルを掲げながらも、最後は個に頼った日本でしか勝てないフットサルに妥協してしまった。「すぐにできるものではないので、長い目で見て欲しい」と話すアジウ監督の新生名古屋オーシャンズはどこにたどり着くのか。名古屋への関心は高まるが、この試合だけではまだまだわからない。