スッキリしない

世界で学べたこと

スペイン代表に負けてから2週間が過ぎたが個人的にスッキリしない。1年半前のポルトガル遠征や昨年のインターコンチネンタルカップでの名古屋オーシャンズを生で見たときには、日本と世界の差を痛感してショックを受けたが、すぐにスッキリした。だが、今回はうやむやになっている感じがしてならない。
前回のポルトガル遠征では、若手主体のウクライナに逆転負けを喫し、決定力不足と試合の流れを読む必要性をそしてポルトガルからは、ピッチ上の4人の連動性の大切さを学んだ。

リスク排除で手ごたえは得られたのか

今回、正確なトラップ、慌てないボールコントロール、テンポの良いパス回し、強烈なシュートなど、スペインの上手さは嫌というほどわかった。だが、日本は何が出来て何が出来なかったのかがわからない。選手たちに話を聞けば、「このままではまずい」と不安を感じる選手もいれば、逆に手ごたえをつかんだ選手もいた。
6年前の0−16という大敗が頭にあったのか、今回は結果を意識するあまり、内容にこだわりが見られなかった。日本は攻撃を捨てた守備を続け、ゴールクリアランスからの攻撃も相手のプレスがかかるとすぐに前方へ確率の低いスルーパスを出し、リスクをとことん排除した。

笑われた試合

初戦後、「パスを急ぎすぎ」と敵将ベナンシオは自らの選手への課題をそう語った。スペインにとって今回の目的はW杯欧州予選の最終調整だったが、選手たちはここまで守備的な戦いを想定していなかったのだろう。だから、速く回しすぎてしまったのだ。日本は寄せたと思っていたのかもしれないが、ベナンシオからすればまだまだと感じていた。寄せきらないうちにパスを回しても崩せないし、スペースも生まれない。ただ、ボールは奪われず、主導権は握り続けられる。その結果、敵のゴレイロのルイス・アマドにとって危険を感じた瞬間は無かったため、外に出たボールを拾いながら笑みがこぼれていた。唯一、ハビ・ロドリゲスだけは執拗に1対1を仕掛けていたが、ほとんど突破された。彼らの余裕が見えたプレーだった。

高い授業料

守備的に戦って10回やって1回は勝てるかもしれない。しかし、今回は親善試合である。親善試合は結果がどうであろうと、記憶に残るだけでAFC選手権やW杯には影響しない。勝ち負けよりも内容と、現状の課題の洗い出しが目的だったはずだ。 2戦目の後、「昨日は集中力を欠いた時間があり、今日も何回かミスがあった」とサッポは最初に語ったが、ミスが最大の収穫だとしたら、スペインまでの21人分の往復航空券は高い授業料である。 だから、個人的にスッキリしないのかもしれない。