館山マジック?

急激な進化

「最新のフットサルを教える」
名古屋オーシャンズの館山マリオ監督は就任当初からそう語っていた。人とボールが動いて相手を崩す。それが彼の理想とするフットサルなはずである。だが、ただでさえ習得するのに難しく、眞境名オスカー前監督の戦術とは大きく異なるために、選手たちは実践ではなかなか体現できず、四苦八苦している。昨シーズン大ブレイクした上澤貴憲も「自分の理解度は低いし、ブラジル人と一緒のセットに変わったのでまだ上手くいっていない」と新監督の采配に悪戦苦闘する。北原亘や丸山哲平といった出場時間の長い選手はある程度理解しているのだろうが、それでも「(習得できるのに)2年かかるのでは?」(北原)と一筋縄ではいかないようだ。それでも首位に立てるのだから、名古屋の強さは尋常じゃない。

なぜ名古屋が勝てるのか?

最新のフットサルといえば、誰もが同じようにプレーできて完全に崩しきって得点を奪う。そのような連想をする人も多いだろう。館山監督の理想はそうかもしれない。しかし、現実には違っている。実力が伯仲する浦安戦でみれば、ホームできれいに決まった得点はボラのカウンターだけで、北九州でのセントラル開催ではボラ、森岡薫、そしてセットプレーと予想できるパターンばかりだった。つまり、過程は違えど最後は個に頼るという、以前の戦い方とあまり変わっていない。

理想と現実の間の落としどころ

このように個に頼らなければならないのは、これは選手が館山監督の求めるレベルに達していないためであり、この話をするといつも、「もうちょっと待っててね」と苦笑いをする。館山監督もまだ期間が短いこととシーズン中という点を考慮に入れて、やむを得ないと我慢している。
とは言え、ホームの浦安戦では「今日はボラの日」と予言したように、試合展開を想定してもっとも活躍できる選手を考える。「あの予言は結構当たる」(上澤)と戦術眼が優れているのだから、個を最大限活かす術も考えている。

名古屋のスキ

08−09シーズンになれば名古屋の各選手の理解度も上がり、理想に近いフットサルが実現できるかもしれない。しかし、残り少ない07−08シーズンの名古屋対策とすれば、新スタイルということに惑わされず、眞境名前監督時代と同様にブラジル人や森岡薫を徹底的に抑える事に固執すれば、他のチームも勝ち点を奪える可能性は十分ある。

そうなればFリーグも先はまだまだわからない。