日本、レバノンからのプレゼントを受け取り、辛勝スタート

　逸見ラファエルの第２PKは「良く決めた！」とは言え、日本は"勝ち取った"と言うより、"勝点３をプレゼントしてもらった"ような勝利であったと言える。第２PKを得るまでの一連の流れを見て、そう思った。
　とはいえフットサルは「質の高いフットサルを40分間通じて、展開したチームが勝つスポーツ」だと個人的には思う。そういう意味では、日本の勝利は必然だったとも言えると思う。

　※注意：以下のレポートは、USTrokuというツールを使って、Ustreamのライブ配信を録画したものを見てのレポートです。残念ながら、前半の大部分と、後半のレバノンの得点のシーンは映像が受信・録画されず。様子は伺えませんでした。

　録画が成功していたのは、前半残り「01:08」から。スコアはすでに２－１。ゴレイロ川原の右への(足での)パスを、６.小曽戸がトラップしそこなったシーンから始まった。

　レバノンがパスを回す。ボールを足裏で引いてスナップでアウトサイドでパスを出す、(古典的)と思えるパスも目立つ。Fリーグだとプレッシャーが早いから、(時間のかかる)このパスの出し方はつかまりどころになるだろう。レバノンのパス回しは動きが多いわけでなく、日本の守備が大きく崩されることは無い。
　
　前半残り20秒、カウンターとなって逸見が中央を進んだが、フェイントが足元につかず、相手ボールとなる。先ほどの小曽戸といい、逸見といい、やはり初戦の固さがあるのか･･･。レバノンはゴレイロがすぐに最前線にフィード。カウンターが狙いとしてある様子が伺えるワンプレーだ。スライディングで止めた小曽戸が大きくの息をしている･･･。
　
　残り「00:30」右サイドからゴール前へのボールを拾った日本のカウンター。右の小曽戸に渡して、小曽戸の左ななめ前への大きなサイドチェンジのパスはディフェンダーにひっかかる。しかし詰めた仁部屋が拾って、２人に囲まれながらも強引にサイドを破る。しかしゴールへの突進は飛び出したゴレイロに止められてしまう。セットを組んでいるのは、３.北原、15.逸見ラファエル。

　左からのコーナー、仁部屋のシュートはミートせず。レバノンのカウンター。しかし日本がうまく対処し、レバノンがボールを回し、右サイド縦に出したボールが切れたところで前半が終了した。２－１、日本リードでの折り返し。チャンスをフイにしたのか、逸見が両手で顔を覆い、仁部屋も下を向いて何かを考えているよう。表情は明るくない。思い通りのゲームはできていないないようだ―。
　
　観客席にはサムライブルーのユニフォームを着た、日本サポーターの姿も見える。ありがたい限りだ。ハーフタイムの時間を利用して、Ustreamでハイライトが流される。日本のキャプテンは木暮。試合前にペナントを交換している。日本の得点が映し出された。カウンターの場面か中央やや右を進む逸見をレバノンディフェンダーが後ろから、追走している。倒れこみながら、左足で、右サイドななめ前の星へ。受けた星は飛び出してきたゴレイロを良く見て、空いている逆サイド下へ。インサイドで速いボールを流し込んだ。飛び出したレバノンゴレイロは、必要以上にニアに寄ってしまっている。その分、逆サイドのスペースは空いていた。星は見逃さず。強烈なシュートを打つことなく、冷静に流し込んだ。
　
　レバノンのゴールは左コーナーから。ニアに近づいた味方にパス。足裏で止めて返したボールを中央に蹴り込んだ。ボールは村上に当たり、こぼれ球を村上がクリアしきれず。中央につながれたボールを８.カッセム・カウサンに右足で強烈に叩き込まれてしまう。北原が瞬時にマークを捨てて体を投げ出したが、フットサルのセオリーどおり、上に浮かせたボールは北原の体の上を通過。川原が反応しきれない、距離とスピードだった。ベンチで日本(シャークス、花巻)でもお馴染みのパコが両手を広げてガッツポーズ。
　
　
　後半開始。明るく、キレイな会場のようだ。スポーツコートの模様。ブルーのコートの周りはやや淡いオレンジ。コニカミノルタ、EPSON、TOTO、サムソン、Fly Emirates、ポカリスエット、ING、朝日新聞、TOSHIBA、NIKE、ファミリーマート、ヒュンダイ、makita、Nikonなどの看板広告が見える。プレス席から見て左側には、大きな日の丸のバナーが４つ並んで見える。レバノンの大きな国旗は中央やや左に１つ。
　
　後半はレバノンのキックオフ。左サイドで執拗なキープから短いピヴォ当て。ただリターンパスの精度が低い。重厚な攻撃は無さそうだ。
　
　19:15、左サイドで北原がきれいに抜かれる。背負った状態から、反転して股下を通された。やはり個人技は高い。ただしその後のゴール前へのボールの精度がやはり低い。将来的に、戦術を覚え、ボールを大事にすることを覚えたら相手となるかもしれないが、"組みしやすい"印象。サイドで受けた選手が前を向いて仕掛けるのが攻撃の形のよう。狭いスペースを抜いて前に(短い)ピヴォ当てもしてくる。ボールを回して、ポゼッションして守備の綻びを待つ・狙う感じはないので、日本にとってはある意味、恐さは無い。
　
　18:08 レバノン右コーナーから強烈なニア上へのシュートは川原がファインセーブ。続けてのコーナーでレバノンがブロックの際、ホールドしたとしてファウルが取られた。
　
　16:58 日本の前プレがはまって、後ろからインターセプトした村上が左サイドからのシュートはゴレイロがはじいてからキャッチ。
　
　15:43 レバノンはなかなか前に進めない。またも日本が奪って、右から村上のシュート。ショートコーナー、下げて回して、パラから右村上のシュートはスライディングブロックにあう。稲葉、星、木暮、村上のセット。
　
　カウンター、中央木暮から右で受けた星が浮かせて中央・木暮に返すも、シュートに行けず。一つ前の場面といい、個人的には星に、もっと仕掛けて欲しかった場面だ。
　
　13:44 右キックイン。セットプレーから小宮山のシュートはわずかに左にそれる。場内からはユースケコールも聞こえる。
　
　13:41 レバノン17番キャプテンのタカジが気持ち悪いくらいの足技を見せる。ただ最後尾でこうして個で"持ってくれる"のは、繰り返しになるが、日本としてはありがたいくらい。
　
　12:42 キックインからのセットプレー。北原がブロックファウルを取られる。さっきはレバノンの選手が取られたが･･･、ブロックについて、今大会は厳しく吹かれているようだ。この場面、北原は何もしていない。抜けていこうとしたのを、逆に相手がブロックしていただけだ。
　
　12:20 カウンターで(ようやく)日本陣地に押し込んだレバノン。またも17番タカジが魅せる。が、攻撃としては効果的でない。あっさり高橋のディフェンスにつかまる。
　
　12:00 逸見、前線へのパスがつながらず。少し苛立っているように見える。この試合、ヒーローとなる逸見だが、プレーがうまく行かないとき、メンタルコントロールを失う場面が見受けられる。日本にとって、"大きな逸材"であることは誰の目から見ても明らか。コンスタントに活躍できるかは、気持ちのムラを無くすことだと、個人的には思い、期待している。
　
　11:45 レバノンがバックパス。何故かパコが怒っているが、明らかにバックパス(味方に怒っているのか･･･)。５枚並ぶ壁を初めて見た。しかもキーパーが間に入っている。壁のつくり方として合っているのだろうか･･･。壁の外側に出せば、間の選手は横に動けないが･･･。稲葉が何か気づいて逸見に告げたが、ホイッスルが鳴って、逸見は普通に蹴った模様。
　
　10:42 右キックインから、こぼれ球、稲葉の左足・弾丸ライナーはゴレイロがはじく。08:22 レバノンゴレイロが傷んだところで、映像が途切れた･･･。　
　
　映像復活は「05:45」から。しかし映像が途切れた間にレバノンに１点が加わっている。何があったのか･･･。後半、攻撃らしい、攻撃は見えていなかったのだが･･･。
　
　04:04 逸見が前方で相手から奪ってカウンターからのシュートはゴレイロに阻まれる。コーナーから稲葉がシュートに行くが、１本目はゴレイロがブロック。２本目は枠外。比較的、フリーでシュートまで行けている。打っているポイントは遠いが･･･。
　
　02:27は、非常に危ないシーン。左サイドから切り込んだ17.タカジのシュートは枠を捉えず。前が空いてしまっていたので、日本としては救われた場面。生で見ていた日本人は肝を冷やしたことだろう。ただしスローを見ると、日本の１点目(レバノンゴレイロ)とは違い、川原はきちんとコースを切り、シュートにも反応している。シュートは脇をそれ、サイドネットをかすめた。ゴールに収まるコースなら、川原の体にぶつかっていたと思う。
　
　先に日本がタイムアウト。残り時間は「01:34」ぐらい。twitterで状況を見ていた僕は、ハラハラしていた時間帯だ。ミゲルはどういう指示を出したのだろう･･･。パワープレーは行わず。送り出した４人は、北原、木暮、逸見ラファエル、小曽戸。タイムアウト前からで言うと、稲葉が抜け、代わりに木暮を投入している。
　
　00:43ぐらいに、今度はレバノンがタイムアウト。
　
　試合終了直前。20秒を切って、レバノンに致命的なゲームコントロールのミスがあった。日本はそれで救われた。
　
　00:13 左サイド、逸見へのファウルで、レバノンが５つ目のファウル。センターライン付近のまだ高い位置、逸見が体を入れたところ。無理に行く場面でもファウルが必要な場面でも無い。00:07(公式記録では残り８秒のよう) 続けて右サイド小曽戸へのファウル。突破されかかっていたが、これも必要の無いファウル。ましてや５ファウル溜まっている状態で。この連続ファウルは、日本なら、都道府県リーグのレベルのチームでも犯さないエラーだろう。ベンチのパコの様子は映し出されなかったが、頭を抱える思いだったろう･･･。
　
　日本は第２PKを、逸見ラファエルが右・中段にきっちり決めて、値千金の勝ち越しゴールを挙げた。
　
　ただその第２PKは、レバノンがもう少しだけでもフットサルを知っていたら、転がり込んでこなかったプレゼントだったと思う。
　
　運も実力の内。日本はついている。星翔太がケガをしたようで、気になるが、レバノンの攻撃は淡白で、守備にカウンターに走らされることも無かった。"辛勝"には違いないが･･･、ワールドカップに向けては、上々の滑り出しと言ってもいいと思う。

レポート：北谷仁治