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2012/03/24 22:10:58 PUMA CUP 全日本選手権大会 決勝戦レポート２/本田 好伸
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PUMA CUP 2012 第17回全日本フットサル選手権大会 2012年3月18日(日) 代々木第一体育館 ■決勝戦レポート（2/2） シュライカー大阪 3−1 バルドラール浦安 チームが80%、監督が20% 勝ち越しに成功した大阪は、なおもチャンスを作り浦安のゴールを脅かしていたが、一方の浦安もリズムのいい攻撃からゴールに迫った。緊迫感ある好ゲームのゆくえはまだまだどちらに転ぶかわからなかった。後半の33分、ヴィニシウスが左から中央に走り込みながら縦パスを受けると、体をねじるように放つ得意の形が炸裂する。そんな形がもう１度見られた後、しびれをきらした岡山監督がタイムアウトを取った。 ここで浦安は中島でのパワープレーを開始。「1、2点差ならパワープレーも、セットプレーもあるので勝てると思っていた」（岡山監督）と自信を持つパワープレーに望みを託した。すると35分にチャンスが訪れる。左サイドの高橋からの縦パスを小宮山がダイレクトで中央へはたくと、フリーの中島がシュート。惜しくもゴレイロにセーブされたが、大阪ディフェンスを崩した決定機だった。 しかしそれ以降、大阪の連動した守備の前に、決定的な場面を作れない。「寄せの早さもカバーの早さもそうですが、みんなが同時に動けているので攻めあぐねた」（岡山監督）と、リーグ随一のディフェンス陣はとにかく堅かった。そして勝敗が決する得点が生まれる。残り51秒、パワープレーのシュートをキャッチしたイゴールから左サイドの松宮にボールが渡る。2対1のカウンターの場面で、最後は右に走り込むエビーニョが合わせて3−1と2点差に。最後の最後まで攻め続けた浦安だったが、残り数秒、右サイドでボールを持った稲葉のシュートは無情にもディフェンスにブロックされタイムアップ。その瞬間、ベンチの選手や監督、スタッフがピッチ上になだれ込み歓喜の輪ができる。円を描きながら「チャンピオン!」の大合唱が始まる横でうつむく浦安の選手たち。日本一を決めるにふさわしい緊張感に溢れた試合は、大阪の2年ぶりとなる優勝で幕を閉じた。 「全員が持っているものをちゃんと出さないとチームはうまくいかない。世界のどこに行っても監督だけ（の力）では絶対にうまくいかない。チームが80%、監督が20%くらいだね」とドゥダ監督は試合後、興奮冷めやらぬ口調でそう話した。 この言葉の意味をもう少し噛み砕いてい考えてみる。「ピッチの選手は（疲労具合や交替のタイミングなど、自分での）コントロールが難しい。だからリーグ戦の最後や、今大会の予選でも、この決勝戦のために休ませる選手がいました。試合中も（交替の記録なども記録している）トレーナーと話をしながら、誰がいい仕事をしているとか、疲れているかをコントロールしています」と、試合をプラン通りに進めるためのハンドリングが監督には求められる。 さらにドゥダ監督は、約1年前まで選手としてプレーしていたこともあり、選手たちの気持ちをよく理解している。「例えば、ヴィニシウスのディフェンスはベストではありません。彼のディフェンスはマイナス面です。でも攻撃は何人分もの力になりすごいプラスです。それならば、みんなでヴィニシウスのために頑張ってディフェンスをしようと話をしました。（ヴィニスウスの攻撃的なスタイルは自分にもよく似ていて）僕には彼の気持ちがすごいわかる」。そんな声を掛けられるのはドゥダ監督ならではだろう。 大阪には、アドリアーノ前監督が築き上げたパスフットサルを継承する選手たちがほぼ全員残っている。そこにドゥダ監督の攻撃的な意図がプラスアルファされ、彼らはいま最高の状態にある。「監督が言っていることだけではなくて、選手たち自身の気持ちを（尊重しなければいけない）。監督はピッチには入らないから。だから僕の指示がないときは選手たち同士で意見し合わなければいけない。僕が（ベンチの選手に指示をしたりしていて）別のところを見ていることもあるし、その時のトレーナーの意見も大事なんです」。そうやってチームが結束し、うまく機能していたからこその日本一だった。 「チームが80%、監督が20%」とは、監督のプランニングはあるが、そこでプレーする選手、サポートするスタッフなどが感じていることこそ重要で、そこでの判断・決断が試合を決定づけるということだった。今大会で、名古屋との一騎打ちは実現しなかったが、オーシャンアリーナカップ、リーグと2位に終わった雪辱を果たし、シーズン最後に、最高のタイトルを獲得した。 負けはしたが、大きな経験を手にしたのが浦安だ。予選ラウンドから接戦続きの試合を制し、精神的な強さを見せてきた。「粘り強さと言うか、今まで足りなかった勝負への執着心と言うか、何が何でも勝つというものを今大会では出せた」と小宮山も、一定の成果を口にする。ベテラン、中堅勢が柱となる浦安において、川股や新造といった若手が確実に成長の跡を見せたこともプラス材料だろう。カップ戦の勝ち抜き方を熟知し経験値の高い大阪が優勝したように、今大会では経験がものを言う。セットプレーやパワープレーに活路を見出した浦安は、来シーズン、どんな上積みを見せてくれるだろうか。浦安は、来季へのそんな楽しみも示してくれた。 PUMA CUP 2012 第17回全日本フットサル選手権大会は無事に行われ、日本一のチームが誕生した。あの日以来、それが当たり前ではないと痛感した。フットサルができる、観れることに感謝し、喜びを感じた大会だった。来年もまた、熱い戦いをするためにこの場所へ帰ってこよう、選手もサポーターも、ファンもみな、そう思っているに違いない。 （了） 文・本田好伸
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