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2012/03/23 17:39:45 PUMA CUP 全日本選手権大会 決勝戦レポート１/本田 好伸
PUMA CUP 2012 第17回全日本フットサル選手権大会
2012年3月18日(日) 代々木第一体育館 ■決勝戦レポート（1/2） シュライカー大阪 3−1 バルドラール浦安 盤石の大阪と満身創痍の浦安 「2年ぶりの王者が誕生しました」 18日の大会表彰式、会場MCがそうアナウンスした。昨年の同大会は未曾有の大震災の影響で、決勝ラウンド初日に中止が決定。今大会は、再びフットサルの歴史を刻むためにも、重要な位置づけの大会だった。そして、王者が誕生した。奇しくも、プーマがオフィシャルスポンサーを務めるシュライカー大阪が、2010年に続き大会を制覇。昨年のあの日、あの時に止まってしまった時間を、再び動かし始めた。PUMA CUP 2012 第17回全日本フットサル選手権大会は、大阪の優勝で幕を閉じた。 大阪と決勝を戦ったのはバルドラール浦安。「昨年の大会で、僕たちは準々決勝を前に震災があり戦うことができなかったので、まず準々決勝に進んでそこで試合をする。ここで試合をして、それで去年止まった時間を動かせると思っていました」とキャプテンの小宮山は話す。今大会の彼らもまた、被災地を代表するチームとして戦い、大会を制覇した2008年以来となる決勝へと駒を進めてきた。予選ラウンド初日のミキハウス戦を辛勝した今大会序盤を見る限り、守備の甘さや決定力不足が目につき、さらにエース高橋健介をケガで失うという、不安材料ばかりだった。それでも、決勝トーナメント初戦の町田を延長戦の末に破り、ビハインドを許した大分戦でもPK戦へと持ち込み、キャプテン小宮山の大車輪の活躍で勝利をもぎ取った。気がつけば、予選から負けなしの「リーグ戦でもしていない5連勝」（小宮山）で決勝へと進出していた。 一方の大阪は、予選ラウンド初日のフウガ東京戦が、今大会もっとも苦戦した試合だったのかもしれない。Fリーグ勢のプライドにかけ、接戦を2−1でものにした大阪は、それ以降、盤石の試合内容で勝ち進んできた。こちらも5連勝と、大会を通じてチームの結束力を高めてきた。昨季途中から就任したドゥダ監督は、1年目にして日本一の称号を手にするチャンスが訪れた。オーシャンアリーナカップ2011も、リーグでも2位と今季無冠の大阪にとって、今大会にかける気持ちは強かった。 他を寄せ付けない強さで勝ち上がってきた2010年大会王者の大阪と、満身創痍ながらも勝ち上がってきた2008年大会王者の浦安。リーグでも名古屋に迫りながらの2位につけた大阪と、5位に終わった浦安。単純に考えれば、大阪の順当勝ちだろう。しかし浦安が今大会積み重ねてきた経験値と、研ぎ澄まされた集中力は、大阪を上回るだろう。そんな予想通り、試合は拮抗した展開を見せていた。 大阪の堅守を破った浦安も 試合の流れは大阪へと傾く ともにパス回しを主体にゲームを組み立てるチームの立ち上がりは、慎重なものだったが、試合は大阪のペースで進んでいく。守備力がリーグ随一を誇る大阪を相手に、浦安がとった策は「相手はハーフラインからの守備をしてきているので、いかに裏をねらうか。向こうもハーフラインからもプレスをかけてくるので、そのとき逆にそのプレスをかいくぐって数的有利を作ること」（岡山監督）。ただ、なかなかシュートチャンスを作れず、開始から5分が経過するまで、大阪の守護神イゴールが仕事をする場面は皆無だった。 互いに3分から4分でセットを交替し、消耗戦に備えた試合運びを進める。相変わらず試合は大阪優位が続いていた。しかしゴールは生まれない。そんな中、先制点を奪ったのは浦安だった。 14分、左キックインからゴール前へと放り込まれたボールを鳥丸が合わせ、先制。キックオフを得た直前のプレーでは、左サイドの狭いスペースで深津が勝負を仕掛けたことでゴールを呼び込んだ。累積で川股を欠き、高橋もケガの影響で前半は出場なしと、ピヴォを使った組み立てができない中、浦安はサイドを起点にチャンスメイクし始めていた。大阪に焦りの色は見られないものの、試合が動き出す気配が漂い始めていた。 セットプレーから浦安が先制したとは言え、大阪の堅守ぶりは健在だった。浦安が大阪ディフェンスを崩す場面は見られず、いかにこの1点を守るかが重要と思われた。ただ「まだ前半だったのでディフェンスに徹することは考えていなかった。まだもう１点取る気持ちでいた」（岡山監督）と、戦略を変えることなく攻撃的な姿勢を見せていた。だが浦安に追加点は生まれず、逆に前半終了間際、大阪に同点ゴールが生まれた。 20分、左コーナーキックから中央でボールを受けたエビーニョは、右へワンタッチしディフェンスをずらすと利き足とは逆の右足でゴール右隅へと流しこんだ。大阪にとっては反撃ののろしを上げる、浦安にとっては与えてはいけない時間でのゴールだった。ゴールを決めたエビーニョは、ピッチ上で得意のバク転パフォーマンスで喜びを表現。流れは大阪へと傾いて行くようだった。 後半、浦安が勝負を仕掛けてくる。ピッチには小宮山、稲葉、中島に高橋が加わる。「（高橋）健介のように前線で起点も作れ、パス回しにも対応できる選手を置いてリズムを変えたかった」（岡山監督）。予選ラウンドで負ったケガを引きずりながらも出場する高橋を長くは引っ張れない状況にあったが、しかし、決定的な形を作れない。 逆に大阪が決定機を迎える。25分、エビーニョのカウンターから左の瀬戸へとパスが渡り、ゴレイロとの1対1でループシュートを放った。決定的なシュートは、必死に戻ってきた平塚と岩本の足先でのクリアでかろうじてゴールを許さなかったが、浦安の劣勢は明らかだった。そして27分、大阪に勝ち越しゴールが生まれる。左サイドでボールをさらす松宮が、果敢に縦への突破を図ると、ディフェンスが足を出すよりも一歩早くファーへとシュートパス。これに走り込んだ村上がスライディングで合わせ、勝ち越し弾となった。 今大会、浦安のベンチには「頑張ろう浦安!」と書かれた日の丸の旗が敷かれていた。多くのサポーターやファンも詰めかけ、必死の応援を続けている。そんな様々な思いを背負って戦う浦安に、暗雲が立ち込めていた。残り12分、しかし浦安はまだあきらめてはいなかった。 （つづく） 文・本田好伸
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