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2010/05/26 01:29:39 日本１位通過！日本 １−０ トルクメニスタン/AFC選手権速報
本日、５/25(火)に行われた、AFCフットサル選手権 2010 ウズベキスタン、日本×トルクメニスタンは、１−０で日本が勝利。
空白の３分間 「アンチフットサル」。 ミゲル・ロドリゴ監督は、試合後の記者会見で何度もこのフレーズを使った。予選リーグの最終戦、トルクメニスタン戦は日本代表にとって「フットサルをプレーしないチーム」との戦いとなった。 10−１で大勝したイラク戦後にミゲル監督にトルクメニスタンについて聞くとこんな言葉が返ってきた。「明日は今日とは全く違う試合になるはずです。トルクメニスタンはＧＫを前に上げる、パワープレーを多く使ってくるチームです」。 トルクメニスタンのフットサルは、アジアのチームの中でも唯一無二。何せ、40分間ぶっ通しでパワープレーをするのだ。攻撃時には常にＧＫが高い位置に上がってパス回しに参加する。４人で普通に攻撃することはまずない。 ＧＫタシュリエフは足元の技術が高く、ＧＫのままでパワープレーできるのが、この戦術を採用している最大の理由だろう。Ｆリーグでは、バサジィ大分が１年目にＦＰ出身のＧＫ青柳佳佑を使って「１試合パワープレー」をして話題を呼んだが、それの完全版という感じ。 ミゲル監督はパワープレーについて否定的な考えを持っている。現在のフットサルでは、パワープレーはリスクを冒して点を取るためだけでなく、１人多い状態で安全にパスを回してボールを失わないという使われ方をすることも多い。それでは、フットサルの魅力であるスピードやボール回しが失われてしまうという主張である。 また、彼らは日本ボールになれば、自陣に全員が引く。自分たちからボールを取りには来ない。常日頃から「引いて守っていてはレベルアップにつながらない」と、強豪相手にもアグレッシブなプレスをかけるミゲル監督にとって、トルクメニスタンの戦い方はアンチフットサルそのものと言っていい。 ゲームのハイライトは11分に上澤貴憲が左サイドからカットインして決めた決勝ゴール（３試合連続！）ではない。１−０で迎えた後半の開始から３分間だった。 ハーフタイムにミゲル監督は日本の選手に対して、「向こうは来ないから攻めなくていい」と指示。日本のキックオフで後半が始まると、やはり取りに来ないで引いているトルクメニスタンに対し、日本は３人が自陣でノープレッシャーでボールをのんびり回す。 30秒ぐらいが経ったところで観客席がザワザワし始める。攻めようとしない日本と、取りに来ないトルクメニスタン――。プレーをしないまま、刻々と時間がカウントされていく。ウズベキスタンのスポーツコンプレックスで行われた４試合目では、異様な光景が繰り広げられていた。 ミゲルはトルクメニスタンのベンチに対して、「ボールを取りに来い！」とアピール。トルクメニスタンの監督は「そっちが攻めて来い！」とやり返す。観客席からは大ブーイングが起こる。そりゃそうだろう。こんなの面白いはずがない。両者の我慢比べは約３分間続いた。 試合後、ミゲル監督が「醜い試合になってしまった」と話したように、観客にとってつまらない試合だったことは間違いない。それでも、ミゲル監督が後半の一連の行動を確信犯的に仕掛けたのは明らかであり、そこにはアジアフットサルの発展を願う真摯な気持ちがあることは理解できる。 もちろん、トルクメニスタンは日本という強敵に勝つための最善策として、パワープレー＋引いて守るディフェンスという「アンチフットサル」を選択したのだろう。彼らには彼らなりの事情があり、何よりもフットサルのルールを冒しているわけではないので、一方的に責めることはできない。 記者会見では地元記者から“空白の３分間”についての質問が集中した。ミゲル監督のメッセージはメディアを通じてアジアのフットボール界に発信されるだろう。「美しい試合」を好むミゲル監督があえて「醜い試合」をしたことが報われることを祈りたい。 「１−０」という日本とトルクメニスタンの実力差を正確に反映しているとはいえないスコアは、日本が決定機を何本も外したことはもちろん、前述のように特殊な試合になったことも大きな要因にある。 27日からは決勝トーナメントが始まる。グループＤを１位で突破した日本は、準々決勝でグループＣの２位キルギスと対戦する。「ここからが本当のアジア選手権」と木暮賢一郎が気を引き締めたように、予選を勝ち抜いたチームによる１発勝負のトーナメントには、予選とはまた違ったプレッシャーがかかる。 狭いコートでの中国のプレス、イラクの荒っぽいプレー、トルクメニスタンのアンチフットサルと、アジアの洗礼をたっぷり受けたミゲル・ジャパンは“本当のアジア選手権”でどんな戦いを見せるだろうか。 
レポート：北 健一郎 写真：橋本 健
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