幻想に終わった、大阪の"名古屋越え"/大阪×名古屋１

Fリーグ 2009 第12節シュライカー大阪×名古屋オーシャンズ

日時：2009年11月７日(土)
会場：大阪市立中央体育館

　先制したのは大阪。前半全体を見ても、どちらかというとゲームを支配していたのは大阪だった。
　しかし後半、30.松宮のドリブルがカットされて逆転のゴールを許すと、時間を稼ぐための名古屋のパワープレーに対し、ボールを取りに行かざるを得ない大阪の守備が決壊して痛恨の３失点目。同点とされてからのチャンスメイクのできなさ、パワープレーに出てのラストプレーの精度の低さ、抱え続ける決定力の無さに、名古屋との大きな実力差を感じざるを得ない結果と内容だった。まさに力負け。まさに完敗。ホームゲームの連勝も止まり、今季初の連敗を喫した大阪は５勝５敗２分で勝率も５割となり、首位・名古屋とは勝点差は『10』に開いた。
　期待された大阪。ボールはこの日も回った。しかし･･･。3,684人。ホームゲーム断トツの最多入場者数を更新した大阪だったが、集まったサポーターたちの前で"死闘"を演じることも無いままに、名古屋の背中、Fリーグ優勝の目標は、今年も遥か遠くまで離れて、薄く、薄く霞んでしまった･･･。

　立ち上がり。大阪が奇襲に出る。前半残り「18:49」９.奥田をゴレイロに入れてパワープレーに出たのだ。いま思えばこの"奇策"がすでに名古屋とまだまだ"差"があることを暗示していた。実力が互角以上なら、奇をてらう戦い方は必要ないのだから。
　前半残り「17:48」ホームの大阪が先制ゴール。10.岸本のシュートのこぼれ球に反応した14.林が、名古屋ゴールに叩き込む。パワープレーは関係なく、起点となったのはイゴールのゴールスロー。このイゴールの"アシストのアシスト"が無ければ、大阪の貴重な先制ゴールは生まれなかった。この日のイゴールは名古屋戦で気合いも入ったか？守備でも抜群の反応で、出色の出来だった。

　大阪のパワープレーは先制ゴールを奪うための作戦だったのだろう。１点を先行するとピタリとパワープレーはやめてしまった。

　その後もお互い前からプレスをかけるハイレベルな攻防が続く。大阪は14.林、７.エビーニョらがシュートチャンスを掴む。キックインから24.村上も惜しいシュートがあったが、わずかにコースをそれる。

　前半残り「13:31」大阪は自陣のキックインで、７.エビーニョが前に抜けようとする９.奥田を呼び止めてキックイン。奥田は戻って再び前に抜けてスペースを空けたが、エビーニョはそのまま奥田が居たポジションに出してしまう。これを名古屋10.木暮がさらってチャンスになりかけたところを、奥田が後から引っ張ってイエロー。フリーキックは事なきを得たが･･･、７.エビーニョは名古屋相手にも自信満々・冷静にプレーする分、判断の甘いプレーもあった。

　前半残り「09:13」大阪は10.岸本のシュートがバーに嫌われる。カウンターから、後から来るディフェンダーをブロックしながら放った好プレーが実らず。名古屋も「08:53」９.森岡が２人をひきつけて、８.丸山に送ったが丸山のシュートは１.イゴールがセーブ。

　「08:41」どこかチグハグな名古屋は自陣中央で固まったところ、小さくつなごうとしたボールをさらわれて、30.松宮にシュートを打たれてしまう。名古屋ゴレイロ21.川原は大きな声をあげて怒りをあらわにする。

　前半残り「04:44」大阪は左から７.エビーニョのシュートは21.川原がセーブ。右に３.吉成が走っていたが･･･。「04:15」名古屋は11.ブルノが粘って、反転からシュートに行くが、これも大阪ゴレイロ１.イゴールがセーブ。残り「03:50」名古屋は18.シジネイがドリブルで駆け上がって、"例の"重たいミドルを放てば、大阪も１.イゴールが反応して、外に逃がす。緊迫した中、攻めの主役と、守りの主役がお互いの技術を披露し合ったところで名古屋のタイムアウト。１－０。ロースコアながら、適度な緊迫感の中、繰り出される好プレーの連続に、見入ってしまうゲームとなって行った。
　ただ１点、実力伯仲の"熱戦"には、相手へのリスペクトの気持ちが欠けていたのではないか？お互い負けられない一戦。敵意剥き出しに戦うのも悪くない。ただその中でぶつかり合ったり、もつれ合ったり、時には激しく行き過ぎたり、意図せず接触してしまったとき、お互い手をパチンと合わせたり、親指を立てるサインで相手のプレーも認めたり、許す余裕があれば、観戦者はさらに気持ちよくこのゲームに惹きこまれたと思う。

　タイムアウト直後のコーナーキックで名古屋は最大のチャンスを掴む。ニアに走り込んだ12.ウィルソンがトラップから、ヒールに流すと、走り込んだ３.北原は全くのフリーに！ボールを撫でて中に進んだところで、１.イゴールが遅れて反応してきたところ、脇を抜いたシュートはポストに跳ね返る。

　１－０。前半は大阪が、１点のリードを守って折り返す。

※後半レポートへ続く

レポート：北谷仁治