北信越リーグ５節カベーラ×ビークス戦レポート

北信越フットサルリーグ第５節・第３試合 cabella niigata F3×VEEX KIMURA FUTSAL CLUB

日時：2009年９月27日(日)
会場：南長野運動公園(長野県)

ジョナスの戦術を急ピッチで吸収しているビークス

新潟にカベーラありを強烈に印象付けた。今年の全日本選手権も楽しみになったきた

　３試合目(この日の最終戦)には更なる劇的ドラマが待っていた。大げさに言ってしまえば、北信越で語り草となる一戦になるのではないか。時に、地域リーグにもFリーグを超える感動と充実感を味あわせてくれるゲームがある。やはり地域リーグも捨てたモンじゃない。上下のレベルに差はあるが、北信越はいま急速にレベルを上げている地域だと思う。２試合目、３試合目は、それを改めて実感させてもらえる試合だった。

　ビークスと対戦するチームは『打倒・ビークス』を目標に、「常に100％の力をぶつけてくる」(ビークス・木村代表)と言う。加えてこの日のカベーラは13.清水が大阪に転勤となるようで、ラストゲーム。その清水にキャプテンマークを巻かせて、ラストゲームを飾ろうと、カベーラはいつも以上に気持ちの入る一戦。

　対するビークスは、選手登録も済ませながらもジョナスはケガ。「選手たちに任せた」とこの日はベンチ入りはおろか、会場入りもなし。ベンチワークは若い三田コーチに一任されていた。

　先制は３分にビークス。10.山口が左サイドから、フワリと浮かせたシュートで、１－０。こう着状態の後、12分には、こぼれ球を拾った27.久保リカルドが押し込んで２－０。この前に、カベーラはビークスにファウルがあったと思って、セルフジャッジでプレーを止めてしまった。

　これ以上点差を広げられては困るカベーラは直後にタイムアウトを取って仕切り直し。13分にはビークスの５ファウルが溜まって、フリーキックの惜しいチャンスもあったが、ディフェンダーのブロックにあい、ゴールはならず。

　カベーラの反撃弾は16分。21.近藤が左サイドに振ったボールを６.野寺が軸足の裏で合わせるトリッキーなシュートを決めて、１－２。しかし、18分、18.河田がヘディングでゴールを奪ったビークスが３－１として、前半を折り返した。

　後半も球際の激しい攻防が続きながらもスコアは動かない膠着状態が続く。

　試合が動いたのは残り５分あたりから。35分、カベーラは左からのコーナーキックを11.長嶋がダイレクトシュートで決めて、２－３と一点差に詰め寄った。その後も鋭いカウンターで、ビークスゴールを脅かす。

　38分、ビークスはまたも５ファウルが溜まる。際どい判定も多く、笛が鳴るごとに、両チームベンチから抗議の声が上がる、緊迫した展開が続いていた。

　ビークスの耐える時間帯が続いて、残り30秒を切る。ビークス逃げ切りかと思われたが、ゴール前の混戦のボール、カベーラの選手が３人ぐらい詰めて、ボールをゴールに押し込んだ。ラグビーのスクラムで押し込むような力技のゴール。まさに気迫のゴールが決まったのは、残り13秒。試合終了直前で、カベーラが試合を振り出しに戻した。

　ビークスは４.大藪がすぐさまパワープレーに出たが、及ばず。試合は３－３の引き分けに終わった。

　「前半の３点はバタバタと入れられてしまった」と振り返ったのはカベーラの名物ゴレイロ12.坂田。「後半は自分たちのフットサル(前プレ、カウンター)ができた。負けなくて良かった」と胸を撫で下ろした。「リーグ戦(優勝)の可能性は低いので、全日本選手権に向けて頑張りたい」というカベーラ。選手権でもまた熱いゲームを見せてくれそうだ。

　インテリジェンス溢れるクレバーなプレーが光った６.野寺は、ハーフタイムで「ディフェンダーがしっかり真ん中を対応していたので、アラは(広がって)サイドでもらおうと話した」と言う。追い上げる場面では「気持ちが入った」と振り返る。

　「悔しい。それだけ」とは再三のピンチを救ったビークスゴレイロの12.塩嶋。「守りきる意識が強すぎたかもしれない。勝っているときももっと攻撃的にできれば･･･」と再び悔しそうな表情を見せる。
　木村代表は「弱点出た。守りに入るとダメ」としながらも「ジョナスが来てから、フィジカルや遠征試合などでいま疲れはピークに来ていると思う」と選手たちをかばう。「団結したカベーラは強いし、どこもウチに勝てば快感とばかりにぶつかってきている。でもそれで北信越のレベルが上がればいいのでは？と思っている。目標としてもらえるのはありがたい」と話す。
　三田コーチは「前節、気持ち面ではベストとほど遠いなかで、なんとか引き分けた反省を活かしたかった」とした上で「気持ちはみんな見せてくれた」と評価した。「100％出すのは当たり前。他のチームは120％出してきている。全力より、さらに力を出さないと勝ち切れない。ということだと思う。優勝するには、勝ちきらないと･･･」と更なるパフォーマンス向上を求める。
　ジョナスを招いて「去年まで全くやっていたなかった」という戦術を急ピッチで吸収しているビークス。「まだ(ジョナスの戦術は)浸透していない。60％ぐらい。いまは"動きを覚えた"という段階。それでもこれだけ変わった。能力では全国でヒケをとらないと思う。組織の部分の差が一番だと思うので、(いまやっていることを)続けていればいい戦いができるようになると思う」と自信を見せていた。