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2009/09/24 02:26:27

内容と価値のある0−0/日本×イタリア戦レポート


「イタリア相手でも戦い方は変えない」とミゲル監督が言う日本代表は、2−1−1、Yの形で、前からプレスをかける積極的なディフェンスが機能。攻撃でも、ピヴォに星が入るとひとつの攻撃の形ができ、何度かシュートチャンスをつくった。
 また「基本的に1対1なら、ドリブルを仕掛けろと言われている」という小曽戸や、ブルノ、上澤らのドリブルからもチャンスが生まれるなど、強豪チームを相手にした日本代表としては、これまでにない積極的な戦いぶりが、攻撃にも守備にも見られた。

 ミゲル監督が「嬉しくて、感激した」という国内デビュー戦で大金星とは行かなかったが、「『引けば負けない』は幻想」と言うミゲルが攻撃的な守備を実践し、強豪・イタリアと引き分けたことは、フットサル日本代表の"大きな一歩"となるかもしれない―。
 イタリアのような強豪チーム相手に、ここまで日本代表が前プレをかけ続ける試合は無かった。
 日本人選手にも積極的なプレスがかけられること、そしてイタリアのようにドリブルやパスの技術が高い選手が揃うチームでもプレッシングを嫌がることを目の当たりにしたことは、これまで散々強豪チームに成す術なくやられてしまう日本代表を見てきたメディアやサポーターにとってもも、大きな自信と活路を与える結果だったのではないか―。


名古屋・大洋薬品オーシャンアリーナで国内デビュー戦を迎えたミゲル・ジャパン


新生日本代表。この日はほぼ8人の固定されたメンバーで戦っていた


こちらも新しいチームつくりが始まったイタリア代表。6.ロシャことベルトーニはお馴染みの選手


●スペクタクルな0−0

 立ち上がり。ゴレイロの川原からブルノにパスが出て、ブルノがパスコースに詰まったところで、すかさずベンチのミゲル監督が指笛で、前線の選手を呼び、縦のサポートを促した。まだ自らのフットサル理論が浸透していないためかもしれないが、試合中にもミゲル監督の細かいコーチングが止むことはなかった。

 日本はバックパスをイタリア5.ジアソンに奪われるなど、危ないシーンもあったが、ゴレイロの川原を中心に、イタリアにゴールを許さず。逆に2分、左サイドを13.ブルノがドリブルで縦に破ってシュートまで行くなど、チャンスもつくる。

 日本の前プレに対し、イタリアも前から積極的にプレッシング。前半、特に立ち上がりは様子見と言った親善試合にありがちなゆったりペースとはならず、序盤からお互いギアを入れた、見応えのある立ち上がりとなった。

 日本のファーストセット(木暮、上澤、ブルノ、村上)は、上澤やブルノのドリブルからチャンスが生まれる。対するイタリアもコーナーキックから、2.エルコレッシのダイレクトシュートが際どいコースに飛ぶなど、チャンスを掴む。

 セカンドセット(星、小宮山、北原、小曽戸)の日本は、ピヴォに入った9.星にボールが集まって、チャンスが生まれていた。また序盤は川原からのリスタートを、前線にボールを投げ入れる場面がほとんど無く、後からパスやドリブルで押し上げようとしているのも、個人的には好印象だった。

 9分、イタリアは直接狙ったフリーキックが、日本ゴールの際どいコースをかすめる。日本はブルノがまた左サイドを破るが、シュートはゴレイロ正面。一進一退の場面が続く。

 14分、ゴール前のイタリアの波状攻撃を防いだ日本が、ゴールスローを投げ入れ、ディフェンダーと競り合った星が、前を向いた状態でボールを拾うが、シュートはイタリアゴレイロ12.マンマレッラがセーブ。

 イタリアは15分、7.ジュニオールが小曽戸をドリブルで振り切って、シュートまで持っていくがシュートはコースを外れる。この場面、ジュニオールは何度か左右に揺さぶった後、シュートフェイントで、小曽戸の体勢を崩した。その前のイタリアの波状攻撃の場面でも、7.ジュニオールは最後、飛び出して横になった川原をボールを浮かせてかわそうとしていた。2戦目も要注意人物のひとりとなりそうだ。

 前半はお互いチャンスを活かせず、0−0。スコアレスだが、見応えのあるゲーム展開だった。ちなみに日本は、菅原、松宮、渡邉、皆本が出場せず。8人でフィールドを回していた。


●後半はペースダウン。攻撃には迫力なし

 スコアレスでも見応えの合った前半。しかし後半は「お互いメンタル、フィジカル面が下がり、激しさ、レベルが落ちてしまった」とミゲル監督が語ったように、後半は、前半のように緊迫した場面が続く展開とはならなかった。

 後半、ゲームの主導権を握ったのはイタリア。立ち上がりに9.モレイラがピヴォの位置で受け、際どいシュートを放つと、5分にもコーナーキックを直接狙ったボールが日本ゴレイロ川原に当たり、あわやゴールへ…という危ないシーン。

 日本は15.皆本が9人目のフィールドとして登場したが、一旦下がった後は再びピッチには戻れず。終盤疲れが溜まって押し込まれる時間帯も、8人で回していた。

 日本は3.北原のインターセプトから、左にはたいて、9.ブルノがシュートに行くなど惜しい場面もあったが、前半と比べるとチャンスは少なめ。シュート数も後半は4本に押さえ込まれた。(前半は7本)

 28分、ディフェンダーともつれて倒れた9.星が、前を向いて起き上がってチャンスになりかけた場面も、イタリアがファウルで星を止め、決定的な場面をつくらせなかった。11分、6.小曽戸が右サイドタッチライン際、ボールを残して、反転ターンから前に抜け出しシュートを放つ好プレーも、イタリアゴレイロ12.マンマレッラにセーブされてしまう。

 30分、イタリアは、右から左に振ったパスを、6.ロシャ(ベルトーニ)が、うまく10.木暮の裏を取ってトラップ。追いかけてきた木暮をもう一度かわしてシュートに行くが、これは日本ゴレイロ川原が手で床を払うように前に弾き返す。

 このあたりから、イタリアはハーフに引いて守る場面が増えてくるが、日本は(後方で)ボールが回れど、シュートまでの形は見えてこない。攻撃のトレーニングはセットプレーだけという日本はまだまだゴールにつながる連携や形が無く、攻撃の方は迫力不足だった。

 27分、イタリアは金色のシューズを履く9.モレイラが反転シュート。28分も5.ジアソン → 9.モレイラとつないだシュートがバーの下を叩くなど、日本はヒヤリとする場面が増えてくる。
 39分、左サイドから、6.ロシャが、日本ディフェンダーをシュートフェイントで滑らせて、中に持ち直し、狙い済まして放ったシュートは逆サイドポストに跳ね返る。

 後半はシュート数16本。日本の4倍のシュートを放ったイタリアがペースを掴んだが、バーやポストに嫌われたこともあり、ノーゴール。試合は結局、0−0のスコアレスのまま、タイムアップを迎えた。


●ベストメンバー、ベストコンディションでなかったイタリア

 「いい試合だった」としながらも、「時差ボケもあり、着いてからの時間も短く、コンディションつくりが難しかった」とイタリア・ロベルト・メニケリ監督は話す。「イタリアとしては3度、4度あったチャンスをモノにしないといけなかった」と悔やむ。今回の親善試合については「とにかく勝ちに来た」としながらも、「若い選手を試したかった」と100%フルメンバーでないことを示唆。協会からのリクエストもあり、イタリア人選手を育てようという方向性もあるようで、今回のチームは「40%イタリア人」を入れていると言う。
 世界の強豪・イタリア相手に見せ場もつくっての0−0という結果は評価したいが、コンディション、メンバー選考の点で、イタリアはフル代表でない点は差し引かなくてはならない。
 それでもイタリア・ロベルト・メニケリ監督も「日本はいいチームで驚いた」とし、具体的には「スペースを潰してアグレッシブなディフェンス」を評価。「前半は最後まで自由を与えてもらえなかった」とコメントした。


●満足の行く前半、不満の残る後半

 対する日本のミゲル監督は、「試合の展開はスペクタクル。唯一足りなかったのはゴールで、お客さんに申し訳なかった」と第一声。「前半、偉大なチーム・イタリアに対しても、互角のチャンスをつくり、対等に戦い、満足している」としながらも、「後半は日本含め、メンタル・フィジカルが落ち、激しさ・レベルが落ちてしまった。それに比例して、イタリアのチャンスが増えた」と反省。それでも「自己犠牲・規律・助け合う心といった日本の特徴を出して、最後まで戦ってくれた」と選手を称えた。
 戦術に関しては「まだトレーニングが十分に積めていない」と前置きした上で、「足りないのは攻撃、特にプレス回避」と説明。特に終盤、押し込まれた時間帯で、ゴレイロからのロングボールが多くなった点については「ポゼッションを放棄しているように見えた」と不満気だった。

 日本の方もミゲル体勢がスタートして3ヶ月。攻撃に関しては「まだ赤ん坊のようなもの」という状態なので、攻撃の形が無く、無得点に終わったのもある程度は"やむなし"か…。逆にコンディション不良とはいえ、テクニックと迫力のあるイタリアの攻撃をシャットアウトしたディフェンス面を評価したい。

 ただ気になったのはやはりフィールドを限られた8人で回していたこと。後半イタリアに押し込まれた時間帯でタイムアウトを取り、選手から「疲れている」との声が出たと言うが、その後もフレッシュな選手を出場させることは無かった。この日の15人に加え、スペインで活躍する高橋、イタリアで活躍する吉田の2名を加えた17名を"基本ブロック"として、チームを築いていくという話もあったが、まだ"安心して使える選手"は限られている状態なのかもしれない―。

 親善試合なので、恐らく2戦目はこの日使われなかった選手たちもピッチに送り込まれることだろう―。守備や攻撃の連携、ミゲルフットサルの戦術理解度…、2戦目は現段階のミゲルジャパンの"総合力"が問われてくる。


●人格者・ミゲル

 記者会見では、記者からのひとつひとつの質問に丁寧に答えるミゲル監督。長い質疑応答が終わった後、「一言だけ…」とミゲルが言葉をつなげた。
 「今日の試合は私にとって、国内デビュー戦となりましたが、スペインと違う雰囲気の中、一生忘れることのできない試合となり、嬉しく、感激しました」そして、合宿から通ってくれたメディア陣や、協会、会場を提供した名古屋オーシャンズに感謝の言葉が続いた。「こういうご挨拶をすると、お別れ会のようですが…」と笑いを誘った後、「ここからが区切りです。まだまだピッチ上では一番になれない未熟な私たちですが、温かく見守ってください」と締め括った。

 感情的でない、丁寧な受け答え。詳しい回答。感謝を忘れない謙虚さ。言動・振る舞いから人格者であることが感じられるミゲル監督は日本人に好まれるタイプの監督だろう。この人なら、選手の信頼や人望も得やすいだろうと感ることができたし、短い時間ながら、接していて"尊敬の念"も自然と湧いて来た。ミゲル監督の謙虚な挨拶を聞いていると、彼の提唱するフットサルが、本当に日本人にマッチしたものならば、フットサル日本代表は確実に進化を遂げて行ってくれるような気がしてきた。

 日本フットサルの未来が、またひとつ、楽しみになってきた―。


得意のドリブルで見せ場を作った6.小曽戸。日本に無くてはならない存在となっている


堂々としたプレー振りを見せた9.星。頼もしいピヴォの登場だ


タイムアウト中のイタリア。オーシャンアリーナの電光掲示板に興味津々


存在感を放っていたイタリア6.ベルトーニ


試合中に細かく指示を出し続けたミゲル監督


試合後、サポーターに挨拶する日本代表。スコアと勝利をプレゼントすることはできなかったが、強豪・イタリアと好ゲームを演じた


レポート・写真:北谷 仁治





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