笑いのゲーム/Fリーグ大阪×大分戦レポート

　大阪が２点を先行しながらも、オーシャンアリーナカップと同じようが展開にはならなかった。
　12.小曽戸の"オソドリブル"シュートで、反撃に出た大分が２点を返して、引き分けに持ち込んだ。

タイムアウトを取って人差し指を立てるマリオ監督。このあと"衝撃のフリーキック"が･･･

　大阪は練習で肉離れを起こしたエース10.岸本が不在。７.エビーニョが代わりにファーストセットに入った。個人的には球離れの良いエビーニョのプレーは好みだ。ただ、この試合を見ると、大阪は10.岸本がキープすることで、タメができることが、ファーストセットの"リズム"になっているように感じた。林、一木、松宮、エビーニョだとボールが激しく動いても、リズムを変えるポイント、タメをつくるポイントがない。あるのは縦への突破だが、この日はカバーも早い大分ディフェンスにうまく阻まれていた。

　大分は６分あたりからゴレイロ20.青柳が上がってパワープレーに出ると、パワープレーをする時間が長かった。

　大阪は「セントラル男」24.村上が７分、左サイドから18mのミドルシュートがバーを叩く。８分、大阪はカウンターから、３対２となるが、右サイドの22.佐藤の折り返しはコースが悪く、つながらない。個人的に、今日の大阪はこの佐藤がブレーキとなったように見えた。
　
　15分、大阪は11.ドゥダがフェイントを入れて、うまく縦に突破。ニアサイドを狙うが、大分ゴレイロ21.青柳がセーブ。

　対する大分は16分に10.仁部屋がドリブルから、シュートまで持ち込むが、チャンスは大阪に比べて単発。大阪のパスミスをさらって、15.武石がゴレイロと１対１となるが、ここは大阪ゴレイロ１.イゴールがセーブする。前半は０－０、スコアレスで、折り返す。

　
　均衡が破れたのは後半26分、大阪13.一木のゴール正面からのシュートが決まって、１－０。

　28分、大分は10.仁部屋をゴレイロに入れ、パワープレーに出る。しかし29分、大阪は３.吉成がシュートを決めて、２－０とリードを広げる。前線で受けた吉成が前を向いて、タイミングとコースの良いシュートを決めた。オーシャンアリーナカップでの同カードのように、ここから大阪の一方的な展開になるようにも思えたが･･･。

　31分、大分は12.小曽戸が得意のドリブルシュートを決めて、１－２。11.ドゥダを振り切った後、逆サイドから懸命にカバーに来た19.瀬戸が滑るのを、横に流れてかわすと、逆サイドにシュートを突き刺した。

　緊迫した試合の空気が一変したのが34分だ。フリーキックでタイムアウトを取った館山マリオ監督が「１」と指を立てる。

　再開後のフリーキック、２.橋本圭悟がキッカーに走り寄ろうとしたところ、滑って"ビタンッ"とスポーツコートに倒れ込む。その間にフリーキックを再開した大分がシュート。ゴールはならなかったが、わざと橋本をこけさせて放った"館山マリオ劇場"に、場内からは笑いが起こった。

　その直後、大阪は７.エビーニョが肘打ちを取られて、一発レッドで退場。10.仁部屋を入れてパワープレーに出て、５対３の状況で攻める大分。35分、ピッチ中央から、ゴール横への縦パス。前の選手がスルーして、ゴール横に入っていたキーパー役の12.仁部屋にパスが通る。逆サイドに折り返したボール、角度が無くなっていたが、７.白方がシュートを決めて、２－２の同点に追いついた。

　追いつかれた大阪はゴレイロ１.イゴールが上がってパワープレー開始。残り38秒、イゴールからのパスを受けた30.松宮が、右サイド、フリーの13.一木にパスを送って、一木が無人のゴールに向けてシュートに行くが、枠を外れてしまう。試合はそのまま、２－２で終了した。

　館山マリオ監督の記者会見は、Fリーグ始まって以来の"爆笑会見"となった。

　わざと転ぶフリーキックへの質問に対し「お客さんの多い、代々木でやりたかった」と言って笑いを誘う。「ドラマと一緒･･･」作戦ボードを手にとって説明を始めると「橋本が転ぶと、ディフェンダーが見るじゃない。でもボールはここに入る」と説明すると、会見場は爆笑の渦となった。「橋本が倒れたら、ディフェンダーの注意をひきつけるよう、逆サイドの神が『倒れたよ！』ってアピールする」で、また爆笑。「どれくらいそのセットプレーの練習をしたのか？」という仁部屋選手への質問を、横取りしたマリオ監督は「仁部屋のセットはシラ(白方)が転ぶ。シラはキレイに倒れるよ」といって、また爆笑を呼んだ。

　マリオ監督のギャグのようなセットプレーはさておき、オーシャンアリーナカップで大阪に敗退したとき「細かいミスでやられた。修正すればいい試合ができる」と言っていたマリオ監督の言葉どおりとなった。ボックスで守る中へのパスの切り方など、細かい点を修正した大分。サイドでわざと縦に抜かせて、カバーリングに入る選手と、抜かせた選手、さらには逆サイドを見る選手が中に絞って三角形を作るディフェンスなどが機能した。

　一方の大阪はエースの岸本に加え、代役のエビーニョまでレッドカードで退場となっては、苦しい試合となるのも当然か。フットサルで２点はセーフティーリードでないだけに、この試合も３点目、４点目を奪える強さがなければ今年も、優勝争いに絡んでいくチームと呼ぶのは早いかもしれない。