高槻松原、パワープレーで３点差ひっくり返す/関西Lレポ

※１週間遅れて、７/26(日)に開催された、関西リーグのレポートです。

関西フットサルリーグ第４節・第６試合高槻松原×LIND BAROSAO

日時：2009年７月26日(日)
会場：京都八幡市民体育館

試合前、リンドバロッサからサポーターTシャツのプレゼントが投げ込まれる

お互い上位につける、高槻松原とリンドバロッサの１戦。熱戦になった･･･

　リンドバロッサの「パワープレーの守備に難あり」と説く玄人目もあったが、個人的にはこの日のベストゲーム。最後に「物凄い試合を見せてもらった」という感動が残った。

　試合を優位に進めたのは個とフィジカルを武器とするリンドバロッサ。５分、リンドバロッサは18.相井が中央から右に振って、キーパーが出てきたところを、受けた９.安光がニアを射抜いて、先制のゴール。その後もリンドバロッサが押し込んで、高槻松原にはなかなかシュートチャンスすら訪れない。意外にも内容に差のある(しかもリンドバロッサ攻勢の)展開が続く。

　17分、リンドバロッサは６.寺嶋がゴール前のシュートを確実に決めて、２－０とリードを広げる。その直後、高槻松原は85.八賀がスライディング気味のシュートで１点を返すも、19分、リンドバロッサはキーパーからのロングスローに10.土田が飛び込んで、３－１。２点のリードを奪って、前半を折り返す。

　23分、高槻松原は３.市場が左サイド、角度の無いところから１点を返す。しかしこれはおそらく中に折り返そうとしたミスキック。決めた市場は苦笑いを浮かべていた。しかしこの１点はある意味、高槻松原の大逆転の"布石"になったのではないか･･･。

　１点差に詰め寄られても、リンドバロッサに焦りの色は無い。29分、19.大谷純一が右サイドからの折り返しにファー詰めで合わせて、４－２。力づくで、関西リーグの実力者を押さえ込もうとしていた。

　21分、高槻松原は２.中西をキーパーに入れて、パワープレーを開始する。

　しかし22分、10.永山が奪われたボールを、リンドバロッサ10.土田がフリーでシュート。パワープレーも裏目に出て、５－２とリードが広がる。"勝負あった"かに思えた。しかし･･･。

　34分、リンドバロッサは６.寺嶋に一発レッド。ドリブルで持ち上がった10.永山のシュートのタイミングで後ろからブロックする形になってしまった。これで若干流れが変わる。
　高槻松原はこのフリーキックを横に流して、18.黒川が決めて、３－５。さらに１分後、高槻松原は左に振ったボールを、５.辻崎がニアを抜いて、４－５。１点差に迫るゴールを上げる。しかし"決めて当然"とばかりに５.辻崎が喜びをあらわにしない。『反撃はまだ終わりじゃない』という、高槻松原の固い意志が読み取れた。

　高槻松原は後方で回す、左サイド６.沼田と中央(キーパー役の)２.中西のパス抜群が抜群にうまい。前を向いて、ドリブルやシュート、深いところへのパスを狙う素振りを入れるので、ディフェンダーは追い込めないどころか、押し込まれて、ズルズルと守備ラインが下げられていく。

　36分、今度は右に振って、受けた18.黒川が逆サイドへ。これを５.辻崎がフリーで合わせて、５－５。ついに高槻松原が試合を振り出しに戻す。リンドバロッサは防戦一方になってきていた。

　なおもパワープレーを続ける高槻松原―。

　そして38分、ボールをキープし、溜めて、溜めて中央に折り返したボールを、高槻松原18.黒川が、ゴール中段に突き刺す。６－５！ついに高槻松原が、パワープレーからの４得点で、３点差を一気にひっくり返してしまった。

　その後もパワープレーを続けて、時間もうまく使った高槻松原が、リンドバロッサの反撃を抑えて、勝利。ゲームでは負けていたが、パワープレーだけでひっくり返した高槻松原が、勝点「３」を奪った。

　高槻松原18.黒川は「展開がちょっと･･･。前半、カウンターのチャンスを決めていれば、悪い立ち上がりではなかったと思う」と振り返る。パワープレーに関しては「去年からやっているので･･･」と磨きがかかっていることに自信を持ち、決勝ゴールについては「いいところにこぼれてきた。真っ白でボールしか見えなかった。とりあえず思い切り蹴らないと後悔すると思って蹴った」と振り返った。

　６.沼田は「疲れました･･･」とひとまずは安堵の表情。「カウンターを取られて決められたり、球際が強いので間に入ってパスを受けても潰されたり･･･」と戦いにくかったことを伝え、パワープレーについては黒川同様「練習でずっとやっている」ことで自信を持っている様子。すごいのは「相手の対応を見て、(パワープレーのやり方を)変えるという練習が活きた」とのコメント。試合の中で、相手のディフェンスを見て、パワープレーの攻め方を変えたのだと言う。

　試合後、フュンフの木村監督も同じ点をズバリ指摘したが、「前の１枚のディフェンスが疲れていた」と沼田は言う。リンドバロッサは前の１枚が２.中西と、６.沼田のパス交換にずっと一人で対応する時間が長かった。あとは「ずれて前に(カバーで)出ないといけない状況をつくればいい。数的有利な状況を、どれだけ効果的につくって、確実につけるか」とポイントを説明した。もうひとつ明かしたのがリンドバロッサのキーパーが中への折り返しを「読み過ぎた」点。ニアを抜いたゴールがあったが、そのゴールは偶然ではなく「狙っていた」ものだったと言う。その布石となったのは、２点目、３.市場のミスキックがニアを射抜いたゴールだったのかもしれない。

　リンドバロッサの10.土田は「やられちゃいけない負け方」と、この１戦を評した。「パワープレーについても、練習の中で意識してやってきたが、向こうが上だった」と高槻松原を称える。課題については「個では負ける気がしない。負けていない。ただチームとしてまだひとつになれていない気がする」という土田。持ち前の個だけではなく、チーム力も発揮できるようになったとき、リンドバロッサの"底力"が発揮されてくるのかもしれない。１敗を喫したリンドバロッサには早急に対処されるべき、重要な課題と言える。