高槻松原、AFC神戸が全国へ！/関西大会最終レポート

　１/12(月・祝)、大阪市中央体育館で行われた、PUMA CUP 第14回全日本フットサル選手権大会関西大会。
　関西代表の２チームが決まる、第３試合目は、どちらも"思わぬ展開"を見せた。

●不幸せな結末？/高槻松原×フュンフバイン
　１年前、ジョイとの代表決定戦。残り２秒、キックインから"触れたか、触れていないか"、微妙なゴールで夢破れたフュンフ。今年１年、この大会にかけてきた思いは相当なモノがあっただろう。メンバーが強い気持ちでフットサルに取り組んだことは、関西リーグの結果にも表れていた。「忘れ物を取りに来た」フュンフバインがこの試合、勝って１年越しの全日本選手権出場を決めればハッピーエンドと言ったところだが、スポーツは筋書き通りには収まらない･･･。

　フュンフにとっては初戦の引き分けがこの試合の伏線になった―。

　フュンフは勝たなければならず。引き分けなら全日本出場は高槻松原。という構図。
　立ち上がりからフュンフのボールが前線に入るが、先制したのは３分、高槻松原。今季での引退を示唆している10.永山が得意のドリブルで持ち込み、自らシュートを決めて、１－０。高槻松原は前プレをかけるなど、リード後も積極的な戦い方でフュンフにペースを与えない。
　勝たなければならないフュンフは前半、残り２分を切って、４.岩川をキーパーに入れて、パワープレー開始。23.吉川、９.三浦らがチャンスを掴むがゴールに結び付けられない･･･。

　後半、高槻松原も６.沼田のシュートがポストを叩くなど、惜しいチャンスを掴む。25分、フュンフはまた４.岩川を使ってパワープレー。これが勝負の分かれ目になる。

　フュンフが長い時間、高槻松原陣内に押し込むものの、ゴールが遠い。９.三浦が倒されてもファウルなしなどの不運もあったが、リスクを欠けずにゴールまでつなげるという意識の方が高過ぎたのではないか？「オレが決めてやる！」という気持ちが、特に前線の選手から感じられなかったのが残念。ボールの回し役に徹してしまっている選手が居たことも、意外性がなく、シュートまでの展開力に欠ける要因になってしまったように思う。(その前に、１点差という厳しい状況の中で、集中を続けた高槻松原のディフェンスを称えなければいけないかもしれないが･･･)
　31分、しびれを切らしたかのように、フュンフのエース10.山地がドリブルで仕掛けたが、これがブロックされ、カットボールを拾った高槻松原５.辻崎が自陣から、ロングシュートを無人のゴールに流して、２－０、リードを広げる。
　さらにフュンフはわずか15秒にもパワープレーに失敗。またも５.辻崎に決められ、３－０、リードが３点差に広がって、万事休す。フュンフは溜まりかねてタイムアウトを取るが、痛すぎる連続失点だった･･･。

　その後もフュンフが懸命に攻めるが、シュートが浮くなど、焦りの色がうかがえる。高槻松原は残り24秒、またも５.辻崎が決めて、ハットトリック達成で４－０。ベテランの復活祭と化した高槻松原が、フュンフバインを下して、全日本選手権出場を決めた。

●まさか、まさかの幕引き/AFC神戸×JOY

　Bピッチで対戦したのは神戸とジョイ。こちらは引き分けなら神戸。ジョイは勝たなければいけないという状況。
　しかし今年の関西リーグの戦いぶり、チーム状態から言って、ジョイの全日本出場は磐石。に思えた･･･。

　前半から試合を優位に進めたのはジョイ。左サイドから11.馬場の折り返しをキーパーの裏で受けた９.大谷純一が決めて、先制。17分にも追加点を上げたジョイが２－０。２点のリードを保って、前半を折り返す。

　しかし「２点差ならまだいけるという手ごたえがあった」という神戸が後半に入ると反撃。25分、右から９.水口がマイナスナナメに戻したボールを８.宮田が決めて、１－２。その30秒後には14.久保河内が決めて、２－２の同点とする。

　しかしここからジョイが持ち前の勝負強さを発揮。29分、９.大谷純一が角度のないところから、「オレが決める！」と言わんばかりに強引にシュートを決めて、３－２と勝ち越し。34分には14.成田が決めて、４－２。完全にジョイの必勝パターンと思われたが･･･。

　１点を返して３－４、１点差に迫った神戸が試合終盤に猛攻。そして、残り１分９秒、神戸ベンチが歓喜に湧く。同点ゴールで４－４！しかし審判が笛を鳴らして、手を挙げ、首を横に振っている。(反対サイドの試合を見ていたため、状況がよくわからなかったが･･･)無情にもこのゴールは取り消されてしまう。
　それでも気持ちが折れなかったのが神戸の"勝因"となった。残り９秒、攻めあがった神戸は11.森が起死回生の同点ゴール！再び、狂ったように騒ぎ立つ神戸ベンチ。崩れ落ちるジョイ。ジョイは残り９秒でもあきらめずに、再開に向かったが、ゴールならず。４－４、同点で逃げ切って、AFC神戸がジョイから、残り９秒で、全日本選手権出場の権利を奪い取った。

●高槻松原と、AFC神戸が全国へ

クロタロ奈良戦の決勝ゴール、フュンフ戦のハットトリック。この日神がかっていた高槻松原５.辻崎は「今日は落ち着いてプレーできました。クロタロ戦の決勝ゴールも、練習していた形なので、冷静に決めれた」と振り返る。全日本選手権ではFリーグとの試合もある。キャプテン山本は「今のままでは戦えない」とレベルアップを誓い、元名古屋オーシャンズで、Fリーグを良く知る沼田も「対戦が楽しみ。やれることをやって、勝ちたい」と腕を撫す。今年限りでの引退も考えている10.永山は「引退が伸びましたね」と嬉しそうな笑顔。３年ぶり出場の高槻松原。３年前はロンドリーナを破って名を馳せた。黒川、八賀ら面白い駒も加わっている今回は、Fを倒して、再び台風の目となるか。

一方の神戸は「リーグでふがいない戦いが続いていたので、この大会にかける思いはあった」と糟谷監督。14.難波幸樹は「Fはともかく、他の地域リーグのチームとは差がないはず。当たって砕けるだけ」と意気込みを話してくれた。