御殿下スーパーカップ 2008 決勝戦レポート

並みいる強豪を抑えて優勝を果たしたのは、全員が大学生のGAZIL千葉だった。

前日の予選では関東２部のN.U.Funtersを含む３チームに３連勝したGAZIL。決勝トーナメントでも前回優勝の高島アントラーズに２対０、Artista埼玉/ボアコンブラスには３対２で延長Vゴール勝ちをおさめ勢いに乗っている。試合終了まで落ちない運動量と、攻守の切り替えの早さが武器。関東１部のFUGA MEGUROに名を連ねる７.宮内智弘、13.渡邉知晃も存在感を発揮している。

対するZOTTは前回準優勝の実績で前日の予選リーグが免除され、決勝トーナメントからの登場。リーグ戦と同じ陣容で、今大会２年連続準優勝の雪辱を晴らすべく揚々と御殿下に乗り込んできた。１回戦は関東２部のSELECTIVO de OHRAに５対４、準決勝はDel Arroz futsal clubに３対１と苦しみながらも、底力を感じさせる戦いぶりで決勝戦までコマを進めた。

２分にZOTT15.肥沼良治のミドルシュートで均衡が破れた試合は、前半から点の取り合いとなる。４分にGAZIL７.宮内智弘が左サイドからのシュートを決めて同点。しかしZOTTは６分に９.小笹祐介、７分に?松田啓佑が加点して３対１。決めるべき選手が決めたZOTTがペースをつかむかに見えたが、GAZILもこの日大活躍の７.宮内が右サイドからゴレイロの頭をループ気味に抜くゴールで１点差。このまま前半を終える。

　後半も最初のゴールはZOTT。後半３分に22米谷悟が自陣から中央突破し、右サイドで６.伊藤琢が合わせる。これで再び２点差。その後両チームさらに１点ずつを取り合う。ZOTTは常に先手を打っており、経験の差を見せつけてこのまま試合をリードするかに思われた。

　だが、後半９分ごろからGAZILの速攻が冴えを見せ始める。まずは13.渡邉が右サイドから強烈なシュートをたたき込み５対４。後半10分には７.宮内が左サイドラインぎりぎりのエリアを果敢に突破。相手ディフェンス２人を交わして、角度のない位置から同点ゴールを決める。勢いが止まらないGAZILは後半11分、CKからの13.渡邉の火の出るようなシュートパスを、左ポストに詰めた?山上康平が押し込み、５対６と逆転に成功する。

　たまらず?清野潤をゴレイロに据えてパワープレーにうって出たZOTTは、残り２分を切った時間帯でカウンターが炸裂。６.伊藤のヒールシュートで同点とする。しかし、この日大活躍のGAZIL７.宮内がゲームを締めくくった。残り25秒、自陣右サイドでボールを奪い、ライン沿いを縦に一直線。ほぼ独走状態で倒れこみながら放ったシュートは見事にゴール左に吸い込まれ、GAZILの勝利を決定づける７点目が入った。７.宮内はピッチに仰向けのまま、何度もガッツポーズ。結局このままタイムアップとなり、GAZILが初優勝。ZOTTは３年連続準優勝となった。なお、大会MVPにはGAZIL千葉・宮内智弘が、MIPにはZOTT13.垂脇誠が選出された。

GAZIL千葉・島田光太郎選手コメント：
　御殿下スーパーカップは（FUGA MEGUROなど）GAZILのOBたちが出て勝てなかった大会。優勝することができて嬉しいです。関東リーグのチームとの対戦もありましたが、負けるつもりはありませんでした。今季このチームはほとんど無敗できているので、どこと試合をしても勝てると思っていました。昨日の予選リーグで（OBが所属する）我汁、FUGA MEGUROが負けてしまって、GAZILのメンバーも全員飲み会に付き合わされまして（笑）。今日は正直きつかった。でもやるからにはきちんとやろう、とみんなで言っていました。今日はどんなにビハインドを背負う展開でも、選手一人一人があきらめずにやった。それが優勝につながったと思います。１対１、体力に絶対的な自信を持っているので、基本的に後半勝負。若さや勢い、テンションというのもありました。今日はそれがハマったのが良かったと思います。

GAZIL千葉・宮内智弘選手コメント：
　本当はシュートがへたくそなキャラなんですが（笑）、今日はぽんぽんと調子よくゴールが入りましたね。運が良かったんだと思います。このチームでは、勝負できると思ったらどんどん勝負していいと言われているので、思い切り良くできています。決勝戦はカウンターで何本もあぶないシーンありましたが、（ゴレイロの）揚石が頑張っていたので、何とか点を取りたいと思っていました。アラでどんどん勝負を仕掛けるのが自分の持ち味。本当はFUGAでもこれぐらいできればいいんですが。来年はディフェンディングチャンピオン。今３年生なので、来年はこのチームの中心になりたいと思っています。

GAZIL千葉・渡邉知晃選手コメント：
（１月18日の全日本選手権関東大会でFUGAMEGUROは１回戦でZOTTと対戦。今日の試合で何を感じたか）
　今日の試合でGAZILが勝ったので、選手権ではFUGAが楽に勝つと思われるかもしれませんが、僕自身はそうは思っていません。そんなに甘くないな、というのが今日の試合でもよくわかりました。ZOTTはパス回しも上手いし、スピードもかなり早い。厳しい戦いになると思います。今日、ここで対戦できたことは良かったと思います。

決勝トーナメント準々決勝第１試合はDel Arroz futsal clubが３対１でFC Pierrotに勝利。予備予選から勝ち上がった２チームの激突だったが、Del Arrozが後半３分に７.五十嵐亮が挙げた勝ち越しゴールを守り切った。

決勝トーナメント準々決勝第２試合SELECTIVO de OHRA対ZOTTは５対４でZOTTが勝利。ZOTTは前半に２点のビハインドを背負ったが、５.丸山淳の２ゴールなどで逆転。

決勝トーナメント準々決勝第３試合は関東２部優勝を飾ったArtista埼玉/ボアコンブラスが山梨県リーグ覇者のfunf spielerに大苦戦。前後半終了１対１からのPK戦で辛くも準決勝進出を決めた。ALPRUNUS FCの出浦知弘（29日のみ）、KASHIWA TOR’08の西澤幸祐ら強力助っ人を登録して今大会に臨んだfunf spielerだったが、一歩及ばなかった。

決勝トーナメント準々決勝第４試合は、前大会優勝の高島アントラーズが登場。昨季Fリーグ・花巻に所属していた９.戸津光謙ら、.前年とは異なるメンバー構成で大会に臨んだ。試合はGAZIL千葉が?中田典宏、７.宮内智弘のゴールを守りきり、２対０で勝利。

決勝トーナメント準決勝第１試合はZOTTとDel Arroz futsal clubの対戦。関東２部と東京都３部という所属カテゴリーの差を感じさせないDel Arrozの健闘が光り、試合は後半12分まで１対１のイーブンで推移。ZOTTは残り２分20秒に22米谷悟が勝ち越しゴールを挙げ、３対１で逃げ切った。

決勝トーナメント準決勝第２試合はArtista埼玉/ボアコンブラスとGAZIL千葉の対戦。２対１で前半を折り返したArtista埼玉に対し、後半はGAZILの勢いが勝る。残り３分30秒に７.宮内智弘が起死回生の同点ゴール。前後半５分延長戦もGAZILの勢いは止まらず。13.渡辺知晃（写真中央）のVゴールが決まり、激戦にピリオドが打たれた。

３位決定戦はArtista埼玉/ボアコンブラスとDel Arroz futsal clubの対戦。前半２対２と苦しんだArtista埼玉だったが、後半はゴールを量産。結局７対２で勝利し、今大会３位を決定づけた。

決勝トーナメント６ゴールでMVPを獲得したGAZIL千葉７.宮内智弘

MIPを獲得したZOTT13.垂脇誠

写真・文：橋爪充