フュンフ優勝決まらずフォルサが金星！/関西リーグ10節

残り33秒。フォルサは18.森川がヘディングでゴールを奪い、首位・フュンフに勝利！！

　引き分けでもフュンフの初優勝が決まる、注目の一戦だったが、若武者・フォルサが"待った"をかけた。

　この日はどこか"受け身"になっているように見えたフュンフ。木村監督は否定したので『受けて立つ』つもりはなかったようだ。とすれば、フォルサの"積極的な姿勢"が、そう見えさせたのかもしれない。この日のフォルサは『一泡吹かせてやろう』という気概がプレーに見て取れた。守備の集中力がよく、ボールに対する出足に迷いがなく、速かった。自信を持っているからこそかもしれないが、この日のフュンフは球離れが遅く、パスコースに詰まって、フォルサディフェンダーに掴まる場面が目立った。

　先制はフォルサ。２分、コーナーキックから、５.小仲のゴール前への折り返しが、そのままゴールに吸い込まれていく。

　フォルサはこの日も16.東中が絶好調。キレのあるドリブルは、首位・フュンフにも通用していた。

　フュンフもチャンスはつくるが、ゴールは遠く、時間は過ぎていく。それでも「40分間で勝てばよい」という戦い方と自信を持っているフュンフ。まだ焦りはなかっただろう。
　しかし13分、コーナーキックから16.中村の渾身のシュートが、ゴール上に外れた後、守備への切り替え・戻りが遅れるなど、首位チームらしからぬ場面も見受けられる。

　前半残り３分、フォルサが取ったタイムアウトの後、フュンフも前から積極的にボールを奪いに行くが、結局フュンフは前半ノーゴール。１－０、フォルサが１点をリードして、前半を折り返した。

　後半もスコアが変わらないまま、時間が経過する。

　均衡が破れたのは、後半12分、フォルサは15.落がカウンターからドリブル。最後はシュートまで持って行ったが、これはフュンフゴレイロ・20.野上が抑えた。･･･かに見えたが、ファンブルしたのか、ボールはゴールに収まっている。見えた限りで言えば、ボールを押さえた後、押さえきれずにボールが横(体の左)にこぼれ、慌てて押さえに行った右手に当たったボールがゴール方向に跳ねてしまったようだった。

　２点差になり、フォルサ勝利が俄然"現実味"を帯びてきた･･･。

　それでもさすがに首位・フュンフは、やられっ放しでは終わらなかった。14分、６.綾見が反転シュートをゴール上に突き刺し、１－２と、１点差に詰め寄る。

　しかしその後が続かない。３分半経過して、残り２分30秒。フュンフは４.岩川がゴレイロに入り、パワープレーに出る。直後にフォルサはタイムアウトを取って、対応を確認。

　その後、２分間、フォルサはフュンフのパワープレーに耐える。残りは１分を切った。フォルサの逃げ切りかと思われた･･･。

　しかし残り47秒、フュンフが同点ゴールを奪う。右サイド、ゴレイロとして入っていた４.岩川が45度のパスをゴール前、ファーポストへ。ここに６.綾見が詰めて、キレイに合わせた。２－２、試合は振り出しに戻った。さすがはフュンフ、さすがは首位のチームだった。

　ところがどんでん返しはまだ残っていた。残り33秒、フォルサはキーパーからのロングスローが前線まで通る。これを18.森川がヘディングシュート。これがフュンフゴールを陥れる！３－２、フォルサが再び土壇場で勝ち越し。最後はフォルサがこの１点のリードを守り抜き、首位・フュンフから金星を上げた。

　フォルサ・北垣監督は「ずっと勝てなかった相手なので、嬉しい」と、喜び一杯の表情。ディフェンスが積極的だったことに関しては「ずっと下がって守っていても勝てないと思った」と説明。「追いつかれたときはどうしようかと思った。パワープレー対策もしてきたけれど、相手の方が一枚うわてだった。正直、勝点１でもいいと思っていたところで、ショウヘイ(18.森川)がよく点を取ってくれた」と、劇的ゴールを振り返る。

　森川は決勝ゴールが生まれた秘密を明かしてくれた。それまで、ゴールスローは(コーナーの)角を狙って投げてもらっていたら、「すぐクリアしてくれるので、競らなくても、(ボールが切れて)相手陣内に押し込めていた」が、この時は『最後やし』という思いもあり、競りに行ったところに、「ボールも(コーナーでなく)ゴール側に出てきた」と言う。好条件が重なって、森川がヘディングで捉えたボールが、首位・フュンフを破る、決勝ゴールとなった。
　「いつもの同点・逆転されるパターンがよぎった」という中で、首位のフュンフを破ったのは、全日本選手権にも出場するフォルサにとって、大きな１勝・大きな自信になったことだろう。"引いて守って、カウンター"というフォルサの一辺等な戦い方でなく、前からもプレスに行く積極的なディフェンスでリズムをつくっての勝利を収めたことで、もう一歩上の段階に上がるターニングポイントの１勝となるかも注目したい。

　一方のフュンフ・木村監督は「最後の最後は気持ちの差だと思う。フットサルはいろんなことがつながっている。ウチは引き分けでも良かったし、フォルサは(まだ降格の危機から脱しておらず)負けられない試合。どこかで心の隙があったのかもしれない･･･」と振り返る。「今日勝って決めようと、サポーターとも話していたので残念」"関西リーグ優勝"が、目の前からスルリと消えた消えたことで、まだどこか狐にでもつままれたような表情だったが、最後には「選手はがんばってくれた。フォルサは良かったですね。強かった」と、相手を称えた。

　これで２位・近鉄、３位・ジョイが残り２試合を連勝すれば、土壇場での"逆転優勝"という目も出てきた。

　それでもここまでに貯金をつくったフュンフは、残る１試合、引き分け以上で、自力で優勝を決めれる立場に居る。
　勝点１でも優勝は決まるが、ここはファミリーのようにチームを支え続けてくれたサポーターのためにも、勝ってスッキリ優勝を決めたいところだ。