名古屋強し！神戸、名古屋の壁を破れず/Fリーグ６節

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　後半、神戸のキックオフ、ブルノがドリブルで仕掛けてシュートは、ブロックされる。

　22分、名古屋カウンターからボラのシュートは２.村山がセーブ。

　23分、神戸右サイド、11.ブルノのシュートパスは、１.定永がはじいて、後ろにボールがこぼれたが、ゴールは外れてコーナーキック。名古屋も９.森岡から、左10.ボラ → 右15.前田 → 中10.ボラとつながってシュートチャンスを掴む。

　そして24分、名古屋は右サイドから、７.上澤のシュートを２.村山がセーブしきれず、４－２と名古屋がリードを広げる。

　神戸は25分、左サイドで積極的に縦へのドリブル勝負を仕掛けていた７.原田がまたも左サイドを破ってシュートパス。これが逆サイドのポストに当たり、ゴール前に落ちるが、ファーに詰めた３.比嘉はつめれず。

　２点を追う神戸は前がかりになる。攻撃に枚数(人数)をかけ、ボールが奪われたときに守備が薄い場面が目立ってくる。リスクをかけた戦いを続けていた神戸は26分、左後ろから、15.伊藤がミドルシュートを押し込んで、３－４、再び１点差に詰め寄る。

　29分、神戸は右サイドで８.フランキがシュートチャンスを得るが、ゴールならず。30分、名古屋11.マルキーニョスのシュートは神戸４.山元がブロック。

　ここから名古屋の攻撃の時間が長くなる。神戸がボールを持つと、名古屋は前から激しくプレスをかけるため、攻撃がままならず、神戸の方は長くボールをキープできない。名古屋は８.丸山、神戸は13.廣瀬と前半、出場機会のなかった選手も出だし、試合は総力戦となってきていた。

　神戸は16.須藤、13.廣瀬、11.ブルノらが"個で打開しよう"積極的にドリブルを仕掛ける。しかし名古屋ディフェンダーに体を寄せられ、潰されてしまう。しかし後ろからすぐにもう一人がカバーに入ってくるなど、神戸は集中した戦いを続け、カウンターを招く非は受けない。

　34分、名古屋はゴール正面、９.森岡がキープ、ディフェンダーに寄せられたところを、うまく左前、フリーの７.上澤に通し、上澤がシュートを打ったが、ポストにはじかれる。

　36分にはカウンターの応酬。名古屋はカウンターから、最後は10.ボラが神戸ペナルティエリア内で倒されたが、ファウルはなし。神戸がクロスカウンターで、中央を進んだ15.伊藤はシュートのタイミングでブロックに入られてしまう。神戸は20.田中が左サイドをドリブルで破って、中７.原田への折り返しも、タイミングが合わず、ゴールが遠い。

　名古屋も同分、18.シジネイが右サイドから中央の11.マルキーニョスに折り返したが、マルキーニョスのシュートはバーの上。シジネイはコースをスライディングブロックに入ったディフェンダーを滑らせ切ってから、折り返すという、恐いくらい冷静なプレーだった。

　４－３のまま時計は進んで、残り26秒、名古屋はタイムアウトを取って、逃げ切り勝利への最後の確認。

　残り７秒、名古屋が左コーナーを得たところでほぼ勝負あった。

　そこから一度ボールが切れて、神戸陣内左サイド、名古屋のキックイン。蹴った瞬間、人に詰めようと、神戸ディフェンダー前３枚がグッと前がかったところ、空いたスペースにパスを通される。受けた11.マルキーニョスが確実に決めて、５－３としたとき、残り時間は３秒だった。

　試合後の監督記者会見、勝った名古屋のアジウ監督は「厳しい試合」を振り返り、「気持ちが入っていた」ことは称えたが、「戦術的にはオーシャンズに多くのミスがあった」と、前節のシュライカー大阪戦とは対照的に、厳しい評価を下し「これからの戦いは気持ちだけではだめ」「戦術の部分でも、冷静なプレーを、最初から最後まで続けれなくてはならない」とした。またそれができれば「もっと楽な試合ができたハズ」ともコメントした。

　アジウの言う名古屋の"戦術的なミス"とはカウンター時の判断。「全体的に、頭を使って動いていない」「ただ走っているだけ」「カウンターのカウンターになってしまった試合」と、熱戦を一刀両断。「ボールを奪ったときにどのコースに走れば良いのか、どう走らなければいけないか」と守備から攻撃への切り替えの動作に不満を漏らし、「頭がつかえていない分、冷静なプレーもできなくなり、基本的なプレーもできなくなっていた」と振り返った。
　厳しい試合、厳しい状況になればなるほどミスは付き物だと思えるが、アジウの考えではそういった状況でも"頭を使って"、"冷静なプレー"をすることで、"ミスは抑えられる"ということのようだ。

　具体的に、カウンターについては「相手ゴールに早く攻める」ために「重要なのはボールを早く動かすこと」と持論を展開。人よりもボールの方が速く動くのだから、ドリブルで駆け上がるのではなく「早い展開でボールをはたくこと」すなわちパスで素早くボールを動かすことが大切だと説明。「無理なドリブルや、縦へのパスが多かった」と、判断の悪さを指摘した。

　"カウンター"については、日ごろの練習メニューに組み込んでいるが、「ピッチに入ったら選手の判断」となり、「１番いいプレーが選択できるか」が鍵となると言う。ベースについては伝えてあるが「試合ではいろんな状況があって、それに応じた判断力が求められる」と、まだまだ名古屋のメンバーですら、冷静な判断、正しいプレーの選択が「できていない」とアジウには映っているようだ。

　面白かったのは「どうしたら冷静なプレーができるのか？」という記者の質問に対して、笑い声を漏らした後、「フットサルは個人競技ではなく、グループの競技」「今日は自分で仕掛けよう、"個"で仕掛けようとしすぎた」と、"個"による、無理な仕掛けを"判断の悪いプレー"としたことだ。(このコメントは神戸を意識したものではなく、自チームへの純粋な反省から出てきた言葉だと思われる)

　対する神戸の鈴木監督は「結果は負けたが、原因はハッキリしているので、修正して今後に挑みたい」とし、その原因については、「球際の強さが名古屋の方が上だった」ことと「最終ラインでのミスが失点につながった」２点をあげた。

　試合の終盤、神戸が１点を追う場面、確かに名古屋の球際の強さは目立っていた。神戸がドリブルで仕掛けても体で寄せられ、ブロックされてしまう。あそこで神戸が当たり負けしなければ、前に抜け、大きなチャンスを掴むこともできるだろう。

　でも"球際で負ける"のであれば、球際をつくらない、すなわち体をぶつけ合う前に、ボールをはたくという選択肢もあるハズだ。

　神戸の持ち味は"個"の強さだ。鈴木監督はそのストロングポイントを突き進めるために「球際に強くなる」道を選んだ。あながち間違いではないと思う。しかし今日のゲームを見る限りでは"個"で勝負する限界も見えたように思えた。

　昨シーズンは名古屋に居た３.比嘉は「名古屋の変わった点は？」という質問に対し、真っ先に「守備が良くなった」と答えた。
　「ドリブルで仕掛けようとしても、後ろにカバーリングの選手が居るし、逆サイドに展開しようとしてもコースが絞られている。あの状況だと個人で打開するのは難しいので、サポートの動きが必要になってくる」と比嘉は言う。

　神戸も"個"だけに捉われず、グループでの攻め方、戦い方も磨いていく必要があるのではないか？

　ゲーム終盤、こじ開けようとしても名古屋の守備に跳ね返され続ける神戸の攻撃を見て、このゲームは、神戸の今後の方向性を問う試合になるのではないか？と感じてしまっていた。間違った道を突き進んでしまうと、名古屋の壁はいつまでも、固く、高いままかもしれない。