フュンフがドリームとの熱戦制す/関西リーグ４節

　壮絶な試合だった。「まるで優勝決定戦ですね」との問いかけに、フュンフ・木村監督は「ほんまですね」と笑顔で答えた。
　ドリームが３点を先行。フュンフも少しずつ得点を重ね４－４、５－４と逆転に成功するが、ドリームも負けじと５－５に戻す。しかしフュンフは15.北村が決勝ゴールで、この乱打戦に決着をつけた。残り16秒でのゴールだった･･･。

　前節、息を吹き返し、近鉄を４－１と破ったドリームの勢いは衰えていなかった。３分、10.坂口のゴールで、開幕から負けなし、首位をひた走るフュンフから、ドリームが先制点を奪う。４分には18.及川のパスをカットした５.松田が決めて２－０。８分にはキーパー21.八木からのロングスローを18.中野がヘッドで合わせて３－０。ドリームが首位フュンフを立ち上がりから圧倒してしまう。

　それでもフットサルは40分のゲーム。一時的に流れを持って行かれても、自分たちの流れに戻せることが強いチームの条件と言えるだろう。フュンフバインはその"強さ"を備えていた。

　12分、フュンフは９.三浦が決めて、１－３。さらに１分後には中央から右に、ボールを舐めて、ニアを射抜く10.山地のゴールで２－３と一点差まで追い上げる。

　しかしドリームも負けてはいない。18分、またもキーパーからのロングスローから、10.坂口がこの日２点目をヘッドで奪い、４－２。２点差に戻して前半を折り返す。ドリームは２節までの不調が嘘のようなチーム状態だ。

　後半、序盤は膠着状態が続き、29分から、ついにフュンフは４.岩川をゴレイロに入れてパワープレー開始。すると32分に試合が動く(公式記録の３点目、４点目の時間はおかしいと思われます)。フュンフは今年新加入の16.中村の活躍が冴えた。１点目は左10.山地が縦に送ったボールを16.中村がゴール前へ。９.三浦がダイレクトで合わせた(ように見えたが、公式記録では16.中村の得点)。さらに30秒後には、左サイド、タッチライン際で16.中村がボールをキープ。ドリーム守備陣が中央への折り返しを予測したか？一瞬の隙をついて放った中村のシュートが決まり、ついに、４－４。フュンフがスコアをイーブンに戻す。

　４－４の同点になってもパワープレーを続け、勝ちに行くフュンフ。ペースは徐々にフュンフに移っていく。38分、フュンフは16.中村のシュート？が、９.三浦に当たってゴールへ。５－４、とうとうフュンフが試合をひっくり返す。

　しかしドリームもしぶとい。残り57秒、左サイドから５.松田が強引に中に切れ込み、後方に戻したボールを14.久保が決めて、５－５の同点に。

　地元京都での関西リーグ。プレゼント企画も行い、サポーターを集めたフュンフは何が何でも勝ちたかった試合だっただろう。残り16秒、こちらも新加入23.吉川の右サイドからのシュートパスをファーで15.北村が合わせた。５－４。値千金の勝ち越しゴール。歓喜に包まれるフュンフベンチと観客席。試合はそのままフュンフが逃げ切り。強いドリームを、強い強いフュンフが打ち負かした。
　フュンフはこれで４戦４勝。無敗と首位をがっちりキープ。負けそうで負けないフュンフバイン。新王者の風格が、徐々に漂い出してきた。

　「自分たちのミスから失点して、試合を壊してしまった。今日は(序盤、)１stセットが良くなかったけど、２ndセットが２点を返してくれた」と胸を撫で下ろしたのは決勝ゴールの15.北村。「パワープレーの守備は練習してたけど、まさかの展開」と苦しい試合を振り返る。応援に駆けつけたサポーターたちについては「今日勝てたのはサポーターのおかげ。スクール生や、保護者の方や、こんなに来てくれた」とこみ上げてくるものを押さえつつ答えてくれた。
　「今日は勝因はない」「ドリーム強かったです」とは、フュンフ木村監督。それでも「後半、運動量で勝てると思った」というフュンフの総合力の勝利と言えそう。２セットを使い分け、どの選手も見劣りしない活躍を見せるフュンフに対し、ドリームのほうは主力と控えの間にはまだ差がある感じ。５－４と逆転された途端、５.松田や18.中野など、休ませていた途中と思われる選手たちを即座にピッチに送り込まざるを得なかった。

　フュンフは新加入選手の活躍も光った。決勝ゴールをアシストした23.吉川は「狙ってました」と言いつつも「あんなにうまく行くとは思わなかった」と顔をほころばせる。「前節はベンチ外だったので、個人的には結果を出したかった」とこの試合にかけていた思いを語る。

　４点目の同点ゴールの16.中村は「シュートは常に狙っている」とコメント。いきなりの優勝争いについては「実感がない」としながらも「期待してもらってるので、存分に持ち味を発揮してチームに貢献したい」と意欲的なコメント。今後の活躍も大いに期待してよさそうだ。

　一方のドリームは「悔しい。近鉄に勝てていい感じだった。３点とっていけると思った」と、５.松田が悔しがる。「山地の２点目、それから４点目もディフェンダーに当たっていた。運もなかった」と嘆く。パワープレーに対しては「守備の連動性がなかった。前がコースを切っても他が行ってなかったり」と反省。「攻撃をもっとぶ厚くしたい」と課題もあげた。「次の神戸に飼っておかないと厳しくなる。やるしかない」11位転落となったドリームの厳しい戦いは続く。

ドリーム５.松田。チームを勢いづけるゴールをあげたが、最終的には"あと一歩"及ばず

京都開催と言うこともあり、プレゼント企画も行ったフュンフ。チームのこうした活動が地域リーグの盛り上がりには欠かせないと思う

粘るドリームは14.久保が、再び５－５の同点弾。らしい"底力"は見せたが･･･

フュンフは15.北村が値千金の勝ち越しゴール。駆けつけたサポーターの前で、派手なゲームを展開しつつも、しっかり勝利を収めてみせた

レポート・写真：北谷仁治

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