ミラクルトーイ、神戸に逆転勝利！/関西Lレポート６

　まさに『ミラクルトーイ』という異名を持つチームらしい、関西リーグ初戦だった。
　昇格、初参入のトーイが、土壇場逆転で開幕戦勝利をあげた。

　神戸は久保高知、能村、小池。地域CLファーストセットの３人がチームを抜けた。
　入れ替わりに３.多鹿、左利きの７.大下、10.宮内、13.伊藤、４.難波和樹の弟・14.難波幸樹、兵庫県リーグの芦屋グリースで"磨かれた"選手たちを引き上げた。元中尾監督も「終盤には関西リーグに上げたかった」と語るメンバーたちで実力は折り紙付き。民間大会だが滋賀県のあがりゃんせで行われた大会では、この新メンバーたちの活躍で、神戸がTOYに、７－２と快勝した。
　ちなみに神戸の大きな変化は、プレリーグ時代、鈴村拓也がいた神戸ハーバーランドクラブ時代から神戸をひっぱってきた、中尾監督が抜けたこともある。熱血監督の下、"体育会系"のようなノリで戦ってきたチームが、自分たちでどう試合のリズムや流れを掴んでいくのかにも注目したい。

　試合は前年２位の神戸が常に先手を奪う展開。監督が抜け、主力が抜けたが、大きくチームは崩れていない。むしろ新たに入った選手たちがイキのいいところを見せた。
　開始わずか３分、神戸はコーナーキックから、14.難波幸樹が先制弾。

　前半はスコアが動かず、試合は一進一退のまま進むとトーイは、残り９秒、ペナルティエリア内、11.塩崎の鋭い切り返しがファウルを誘って、PKに。これを藤井兄弟の兄、１.藤井徹がきっちり決めて、１－１の同点として折り返す。

　ファウルカウントで言えば、前半51秒を残してファイブファウルを溜めたのはトーイの方。神戸のファウルは「０」だったが、「１」つめのファウルがPKとなり、失点となるのだから、フットサルは難しい。

　後半も先制は神戸。26分に中央から、16.久保が決めて、２－１。

　トーイは28分、11.塩崎から、藤井兄弟の弟10.藤井猛に送って、藤井猛がヒールで流したボールを９.田中が決めて、２－２。
　トーイの攻撃の中心はFリーグのクラブからも声がかかったことがある11.塩崎。この日、パス出しでは出足の早い神戸のインターセプトのえじきとなるシーンも目立ったが、ドリブルを絡めた突破では"らしい"プレーを連発した。願わくばフィクソの位置で塩崎がゲームを組み立てるのではなく、ひとつポジションが上がった位置で勝負する塩崎のプレーがみたい。

　神戸は30分、トーイのお株を奪うキーパーのロングスローから。４.難波和樹(兄)の左サイドからの折り返しを14.難波幸樹(弟)がボレーであわせる。神戸の電光石火の攻撃、難波兄弟の連結ゴールで三度(みたび)トーイからリードを奪う。

　５分を残して１点を追うトーイはパワープレーを開始。勝利へのこだわりを見せる。

　38分、トーイはカウンターから、右サイド15.塚本がキーパーのニアサイドが空いたのを見逃さずに射抜いて、３－３。同点とすると、約50秒後、またも15.塚本のミドルシュートが決まって(ゴール前10.藤井が触れたかと思われたが、そのまま決まったよう)、４－３。常に後手後手。同点とするのが精一杯かと思われていたトーイが土壇場で試合をひっくり返す。

　自分たちの時間帯では、思い切りの良さ、いきのよさを見せていた神戸だが、一気にトーイに傾いた流れの中ではゴールを奪うことができなかった。
　対するトーイの方も、昇格初戦の関西リーグでいきなりの勝利を目の前に、「前から！」「ハーフでいい！」と守備の声も乱れるほど、平静な状態ではなかった。それでも関西リーグではこうして大きな勝ち点を積み上げていくものなのかもしれない。守りきったトーイが、関西リーグ初戦で、貴重な勝ち点「３」をモノにした。

　それにしても去年頭ひとつ抜けた、１位のジョイ、２位の神戸が参入チームに１分１敗でスタートしたところが、今年の関西リーグの『混戦』を予感させる。今年の関西リーグは８月末までに、半分以上の６節が消化される。序盤戦のチーム状態、勢いが大きくモノを言いそうだ。

　トーイのキーパー21.南はギリギリの逆転劇にも「いつもどおり」が第一声。「ウチはいつもあんな感じで、慣れてます。初めてでうまく行かないことも多くて大変でしたけど」と振り返る。

　同点と逆転の２ゴールを叩き込んだ15.塚本は「神戸にやりたいようにやられて、厳しかった」としながらも「持ち味の攻撃では手ごたえをつかめた」「後半、落ち着き始めてからは、ボールも回りだした」と早くも関西リーグへの手ごたえを口にした。