北海道観戦記

 エスポラーダ北海道のホームゲームを見に行ってきた。僕は北海道出身。ちなみに、このチームの主力である菅原和紀や佐々木洋文などの「82年組」とは高校時代に対戦経験もあります。ま、あちらは旭川のスターで僕は一介のサブ選手だったので、知り合いになったのはライターになってからですが……。

 で、今回の北海道の試合会場は苫小牧総合体育館というところだった。実を言うと北海道に行ったのはFリーグを見るためではなくて完全なプライベート(ちょっと偉そうな言い方だが)。土曜日に札幌に着いて「Fリーグやってないかな〜」と調べたら、日曜日に札幌から1時間ほどで行ける苫小牧で府中戦があることがわかった。

 北海道はホームタウンは「札幌市」だが、札幌だけでなく苫小牧や小樽などでもホームゲームを行っている。苫小牧で開催するのは今シーズン3回目だ。苫小牧の駅前には何もなかった。これは大丈夫だろうか……。と思いながらも体育館へ。試合会場に着くと入口のチケット売り場にて2500円のA席を購入(今回は取材ではないのです)。

 Fリーグの試合会場では珍しいが、この苫小牧総合体育館は「土足厳禁」。試合会場では内履きが必要になるのだが、僕は突然のことで持っていなかったので靴下で観戦した。みんなどうしてるんだろうと足元を見てみるとほとんどが内履きを履いてる。こんなところに北海道の体育館の普及率の高さを感じたりもした。

 この日の観客数は1382人。僕が着いたときには空いている席を探すのに苦労するほどビッチリと埋まっていた。こんなチャンスもなかなかないので、ゴール裏あたりに陣取ったエスポラーダの応援席のすぐ隣にちょこんと座って、完全応援モードで見ていた。

 9位の府中とエスポラーダの試合は前半で1−2とアウエーの府中がリード。しかし、後半、エスポラーダに“確編”が起こった。開始1分で水上玄太が立て続けに2ゴールを決めて逆転したのだ。3−2でホームのエスポラーダが勝利を飾った。大分が敗れたことによって、4位が確定。アナウンスが流れると場内から大きな拍手が起こった。

 プレスパスをもらっていないので、試合後は選手が出てくる場所で“出待ち“を敢行することにした。しかし、お目当ての選手たちがなかなか出てこないのだ。待つこと30分……。選手たちが出てきたのは別の出口だった。

 ピッチの入口からゴールポストを運んできたのは、それまでピッチの主役だったエスポラーダの選手たちだった。ずっと出てこなかったのは、試合後にピッチの片づけをしていたからだったのだ。ちなみに、設営も自分たちでやっていて、会場内のスタッフはベンチから外れた選手が担当する。

 決して恵まれた環境ではない。だが、菅原はこんなことを話していたことがある。「アウエーチームの控室の前に立つ選手もいる。そういう人のことを考えると全力でプレーしないわけにはいかない」。エスポラーダの選手は全力でプレーする。そんな姿が見る人の胸を打つ。その理由が北海道に行ってみて、ちょっとわかったような気がする。

プロフィール
北健一郎
1982年7月6日、北海道旭川市出身。稲葉洸太郎、高橋健介、フウガの中心メンバーたちと同じ“82年組”のライター。いつの日か彼らの仲間に入れてもらうこと夢見ている。
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