Fリーグのライバル偵察

 ちょっと前の話になるが、夜中にテレビをつけていたら「bjリーグ・夢の共演」という番組がフジテレビでやっていたので見ていた。bjリーグのオールスターゲームのテレビ放送だった。

「ビージェイリーグ」。日本プロバスケットリーグ。日本には、企業チームが中心のJBLというリーグがあるが、別団体として運営している。2005年11月に6チームでスタートし、来シーズンからは15チームまで増えるとのこと。

 このbjリーグ、Fリーグにとっては何かと共通点が多く、それゆえにフットサル関係者はかなり意識している。共通点を挙げてみよう。どちらもアリーナスポーツであること(しかも1チーム5人)。チーム名に企業名が入らないこと。各チームの年間予算は2億円ぐらいとそれほど高くないこと。

 つまり、Fリーグとbjリーグは同じような場所で、同じような形で、同じぐらいのスケールでやっているリーグということになる。僕自身、bjリーグはテレビで初めて見たぐらいなので、詳しいところはよく知らないのだが、ちょっとショックを受けた。

 今回テレビで放送されていたのは“お祭り”のオールスター戦。だから、普段のリーグ戦だと雰囲気はまた変わるのかもしれないが、パッと見た僕でも楽しめるぐらい演出に工夫を凝らしている。

 ダンクコンテストや3ポイントコンテストといった“余興”のところから、すでにかなり面白い。仙台の選手が伊達正宗のような鎧を着けてシュートを打ったり、2メートルぐらいの外国人選手がゴール前に立たせた人を乗り越えてダンクを決めてみたり。お客さんがノリノリで楽しんでいる姿がテレビには映し出される。

 本番のオールスターゲームはスーパープレーの出し合い、点の取り合い(お互いに本気を出しているわけではないが)。ダンクあり、コンビネーションあり、3ポイントあり。ゴールを決めた外国人選手たちがド派手なパフォーマンスをしてあおりまくる。1時間番組だったが、引きこまれるように見終わってしまった。

 ふーむ。bjリーグ、面白いじゃんか。「隣の芝生は青く見える」というのも少なからずあるとはいえ、Fリーグよりも明らかに盛り上がってる、ように見えてしまう。

 フットサルの場合、現在の主流はシリアス路線。世界のトップレベルで行われているホンモノのフットサルを外国人監督や、スペインリーグでプレーしていた選手が持ち帰り、レベルを高めている。それ自体は素晴らしいことだし、日本が世界に追いつくためには大事なことだと思う。だが、エンターテイメントとしては果たしてどうだろうか?

 僕自身、どっぷりとフットサルに浸かっていると、そういう玄人好みのプレーにだんだん目が行くようになってくるのだが、新しいお客さんにとってはFリーグのフットサルはちょっとわかりづらいような気もする。

 フットサルの難しいところは、エンターテイメントとしての面白さと、競技としてのレベルアップが競技の性質上、両立しづらいところだ。

 例えば、バスケットだったら最大の見せ場のダンクは有効なゴールの手段になるが、フットサルではヒールリフトをしたからゴールに結びつくとは限らない。よって、プレーはシンプルに、シンプルに、言い換えれば、地味に、地味に、という方向に行くことになる。

「これがリアル・フットサルなんです」と胸を張ってやるのも一つの手だが、個人的にはパッと見た人にもわかりやすい要素も欲しいところ。それこそ、湘南のボラなんかは初めて見た人でも「あの人はすごい」とすぐわかるでしょう? 今のFリーグでそういうプレーができるのはボラぐらいしか見当たらないけど、少なくとも1チームに1人は欲しいなぁ……。

 今でこそ玄人的プレーにうなっている人たちも、最初のころはフットサルならではのスーパープレーにうなっていたはず。だからこそ、玄人路線を突っ走るのではなく、常に素人の目線を持ってやってほしい。シンプルで効率的なプレーだけが優先されるようになったら、新しく見に来る人はいるのだろうか。
  
 bjリーグのテレビ中継を眺めながらも、頭の中に浮かんでくるのはフットサルのことばかりなのであった。

プロフィール
北健一郎
1982年7月6日、北海道旭川市出身。稲葉洸太郎、高橋健介、フウガの中心メンバーたちと同じ“82年組”のライター。いつの日か彼らの仲間に入れてもらうこと夢見ている。
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