フットサル、やりません?

 日本代表の“決定力不足”は深刻な状況だ。

 といっても、これはフットサルではなく、サッカーの話。

 今年6月に行われる南アフリカワールドカップを控える“サムライブルー”(全然浸透してないが……)は、親善試合のベネズエラ戦、東アジア選手権の中国戦でスコアレスドロー。昨日行われた香港戦では3点は取ったものの、流れの中からのゴールはゼロだった。

 ワールドカップ出場国ではない中国や香港には、ある程度余裕で勝つことをファンは期待している。中国戦ではPKを止めなければ負けてもおかしくなかったし、香港戦も「10点は取れた」(闘莉王)というように、勝ったことに満足してはいけないものだった。

 低調な試合ないようにサポーターやファンのイライラはピークに達している。中国戦、香港戦では試合終了後にブーイングが起こるほどで、14日の“日韓戦”の結果次第では、岡田監督の進退問題にも発展しかねない状況だ。

 最大の問題は点が取れないこと。ワールドカップで数少ないチャンスを生かさなければいけないはずなのに、これでは本番で取れるわけがない。

 岡田監督は鹿児島で行っていたトレーニングキャンプで、ゴール前でショートパスをつないでからのフィニッシュを練習を繰り返していたそうだ。実際に、この3試合でも、ゴール前になってくると2、3人が絡んでパスをつないでこうとしていた。

 日本よりもサイズが大きい世界の相手には、サイドからのクロスやロングボールを放り込んでも勝ち目はない。岡田監督が「クロスはニアゾーンで合わせろ」といったり、今回のようにショートパスをつないで崩そうとするのも、世界と戦うことを見据えてのものだろう。

 しかし、これがうまくいかないのだ。FWへのクサビのパスを起点にして、ダイレクトでポンポンとゴールに迫っていくのだが、シュートを打つところでパスがズレたり、ボールが強くてトラップミス、あるいは弱くてDFにカットされたり、そんなシーンが目立つ。盛り上がりかけたスタンドには「あぁ……」というため息が漏れることになる。

 こんなとき、僕は心の中でボソッとつぶやいている。「フットサルやったらいいのになあ」、と。

 サッカーのゴール前の崩し方はフットサルに通ずるところが大きい。相手が引いていて、スペースがない。こういうときのポイントは、マークをちょっとズラしてフリーになること、パスの出し手と受け手のタイミングを合わせること。

 サッカーよりも、狭いスペースでプレーするフットサルのほうがその点を突き詰めている。例えば、クサビのパスからのシュート。これはフットサルでいうところのピヴォ当てが参考になる。

 ピヴォ当てはボールをもらった選手が足裏でキープして、ちょっと動かしたり、反転するフリをしてから落とす。パスを出した選手もフェイクで別の方向に行くと見せかけてから走り出す。それによってフリーを作る。だが、サッカー日本代表はパスを当てる→ダッシュで走り込む→ダイレクトで落とす、と一本調子なので相手からすれば読みやすい。

 フットサル日本代表のミゲル・ロドリゴ監督は「ピヴォにボールが入ったらスピードを落としてゆっくり攻めろ」という。つまり、ゴール前ではスピードアップするのではなく、シフトダウンしたほうがうまくいきやすいということ。だが、日本代表は中盤までゆったりと回して、ゴールに近づけば近づくほどスピードを上げる。100%でプレーしているので、本当に“ジャスト”のタイミングじゃないと合わないのだ。

 サッカー日本代表は、まがりなりにも日本でいちばんサッカーのうまい選手が集まったチームだ。フットサルをやることで、ゴール前のコツをつかめれば、決定力不足は解消されるかもしれない。それこそ、ミゲル監督に「出張フットサルクリニック」をやってもらうのはどうだろうか。たぶん、ミゲル監督だったら快く引き受けてくれる気がするのだが……。

プロフィール
北健一郎
1982年7月6日、北海道旭川市出身。稲葉洸太郎、高橋健介、フウガの中心メンバーたちと同じ“82年組”のライター。いつの日か彼らの仲間に入れてもらうこと夢見ている。
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