不公平な全日本選手権

 フットサル日本一チームを決める「全日本選手権」が3月に開催される。今年で15回目。数々の名勝負を生んできたカップ戦は、Fリーグという日本最高峰リーグができた今も、フットサルプレーヤー、ファンにとって特別な大会である。

 昨年度の第14回大会では、関東代表のフウガ目黒(フウガ東京)が決勝トーナメントに勝ち上がると、Fリーグクラブの浦安、神戸、名古屋に3連勝、日本一に輝いた。普段は関東リーグで戦っているフウガの優勝は大会史上最大級の快挙といっていい。

 だが、しかし、である。今年度の大会にフウガの出場権は確約されていない。優勝したにも関わらず、昨年度と何一つ変わることなく、関東大会を勝ち抜かなければ全国の舞台に上がれるかわからないのだ。

 フウガは1月16日に山梨県・昭和町総合体育館で行われた関東大会の1回戦でデルソーレ中野に、準々決勝でTZKに勝利して準決勝にコマを進めた。31日に行われる準決勝でゾットに勝利すれば全国大会の出場権を獲得できる。

 とはいえ、カップ戦は何が起こるかわからない。31日にフウガがゾットに100%勝てるという保証もない。ちなみに、ゾットとフウガの今年度の対戦成績は1敗1分け。全国覇者のフウガが関東大会でまさかの敗退……というシナリオも十分に考えられる。

 そうなれば全日本選手権の重要な見どころは一つ失われる。しかも、今大会にはFリーグ2連覇中の名古屋もアジアクラブ選手権のために出場しない。そこで前回大会王者が出ないとなれば、ファンの関心が著しく下がるのは目に見えている。

 僕は何も「フウガを贔屓しろ」と言っているわけではない。ただ、フウガに勝てなかったFリーグのクラブが無条件で全国大会に出場できるのに、前回大会優勝チームに出場権が与えられないのは、ちょっと不公平なのではないか。

 今大会でもFリーグクラブは当然優勝候補になる。だが、ハードなリーグ戦をこなした直後に行われることによる体力的疲労や、この大会へのモチベーションを保ちづらいFリーグクラブ側の事情を考えれば、フウガのように地域リーグのチームが王者になることは今後も十分あり得る。

 高校選手権のように全てのチームを地域予選で決める大会であればいいが、無条件で出場できるFリーグチームがある全日本選手権では、地域リーグチームが優勝した場合のみ「前回王者枠」を作るべきではないかと思うのだが、どうだろうか。

プロフィール
北健一郎
1982年7月6日、北海道旭川市出身。稲葉洸太郎、高橋健介、フウガの中心メンバーたちと同じ“82年組”のライター。いつの日か彼らの仲間に入れてもらうこと夢見ている。
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