すごいことをやってる男

新年あけましておめでとうございます。2010年もフットサル界を盛り上げていきましょう。今年から毎週金曜日更新をしたいと思います。ぜひ、金曜日はキタケンコラムをチェックしていただければ……。それでは、新年1発目のコラムをどうぞ。

昨年、「フットサル日本一の選手は誰だ?」というタイトルで、木暮賢一郎と上澤貴憲の比較記事がフットサル専門誌に載った。「日本一」の明確な基準はないし、個人の主観になるので決めるのは困難だ。実際にその記事も「お互いの役割が違うので比較はできない」という結論で締めくくられていた。

「日本一候補」として比較題材に挙がった木暮と上澤は、どちらも名古屋、府中と日本国内でプレーしている選手だ。国内でプレーしている日本人選手で日本一を比較するのであれば異論はないが、日本人フットサル選手にまで枠を広げると1人の名前が浮上してくる。

スペイン1部リーグのカハ・セゴビアでプレーする高橋健介だ。

高橋は昨季からセゴビアに加入し、スペイン1部の選手となった。しかし、1年目はケガもあってシーズンを通してみれば活躍できたとは言い難かった。迎えた2年目の今季、高橋はセゴビアで主力選手の1人としてコンスタントに出場している。

これはよく考えればすごいことだ。世界最高峰のスペイン1部リーグで日本人選手が試合に出ることなんて数年前まで夢のような話だった。外国人助っ人という扱いになるためチームのメンバーに入るまでの壁もあるし、チーム内競争も激しい。

高橋の場合、ラッキーだったのは世界的不況の影響によってチームの経営状態が落ち込んだことだった。これまでだったら能力の高いブラジル人助っ人が助っ人のほとんどを占めていたが、彼らは当然サラリーも高い。そこで高橋のような日本人選手にもチャンスが出てきたのだ。

2年契約だった高橋にとって今季は勝負の年。「チームメイトが自分を見てくれると感じる」というようにチーム内での信頼を勝ち取ったようだ。スペイン、ブラジル、アルゼンチンといった各国代表選手に交じって高橋が先発出場することも珍しくない。

高橋によれば、2年目に出られるようになったのは「スペインフットサルのイロハを覚えたから」だという。具体的には、トラップでボールを動かす、数的有利を作るためのサポートをする、高い位置では自分の武器で勝負する、ゲームの流れを読んでプレーする……。スペインではそういった点を抑えていないと試合に出るのは難しいのだ。

セゴビアの練習に帯同して試合も観戦したフウガの須賀雄大監督によれば、高橋は「何の違和感もなく溶け込んでいる」そうだ。個の力も、組織力も日本より数段上のスペイン1部で「普通に」プレーすることがどれほどすごいことか!

1年目はスペイン語ができなかったのでフットサルでも日常生活でも苦しんだ。チームメイトとの生活では日本人だからとバカにされることもあった。日本人1人でのスペイン挑戦。日本に戻りたいと何度も思ったが、そこで歯を食いしばり、チャレンジし続けたこそ今がある。

中村俊輔のようなサッカー選手と違って、スペイン1部でプレーしている高橋の活躍が報じられる機会は少ない。こんなことを書いておきながら、実は僕自身も一度も生でスペインでのプレーを見たことがない。それでも、高橋がすごい舞台で、すごいことをやっていることを改めて知ってほしかった。

スペインに高橋健介を見に行く。2010年の大きな目標ができた。

プロフィール
北健一郎
1982年7月6日、北海道旭川市出身。稲葉洸太郎、高橋健介、フウガの中心メンバーたちと同じ“82年組”のライター。いつの日か彼らの仲間に入れてもらうこと夢見ている。
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