スローインでフットサルは面白くなる?

 5月15日に発売された「フットサルマガジンピヴォ!」に載っていた記事で、フットサル業界は今騒然となっている。それが、スペイン在住の座間記者がスクープ(?)した、キックインからスローインへのルール変更だ。

 これはスペインサッカー協会フットサル審判ナショナルテクニカルコミッショナー、ペドロ・ガラン氏がインタビューに答えたもので、5月に各大陸の国々が参加して行われるFIFAのセミナーでルール変更が提案され、受理される可能性が高いという。

 スペインサッカー協会の視察に訪れていた日本サッカー協会審判委員長の松崎康弘氏に座間記者が確認したところ、「リーグ開幕1カ月前にルール変更が承認され、通達されればFリーグは8月22日に開幕する今季からスローインルールで行われるだろう」とのこと。

 マ、マジで!?

 スペイン国内での噂はあったみたいですが、日本にいる僕はこのルール変更の噂を耳にすらしたことがなかったので、まさに寝耳に水。3カ月後のFリーグがスローインで行われるのがどうにも想像できないのが今の率直な心境です。

 スペインではFIFAがフットサルのルールを世界的に統一してからも、05−06シーズンまで自国リーグではスローインルールで行っていた。世界大会ではキックイン、リーグ戦ではスローインと使い分けるほどで、つまり、スペイン人は世界中のどこよりもスローインにこだわりがある国。今回の情報が“スペイン発”なのもそのためだろう。

 スローインにするいちばんのメリットは、ゴール数増加だという。ピヴォ!によれば、スペインではスローインからキックインにルールが変わったシーズン、リーグ全体のゴール数が前年度の1924ゴールから1622ゴールへ、約15%減少してしまったというデータがあるそうだ。スペインリーグではゴールが少なくなったことによって、観客が減少し、集客に頭を悩ませているという。

 では、本当にスローインでゴールは増えて、フットサルは面白くなるのだろうか?

 まずは本場スペインをリサーチしようと、自宅にあった、スローインルールで行われた最後のシーズンである、05−06スペインリーグ総集編ビデオをチェック。すると、スローインからのゴールシーンがいくつもあった。

 スローインは頭の上にあるボールを投げるので、基本的には浮き球になる。キックインでもボールをすくって浮かすことはよくあるが、正確さでは手で投げるスローインのほうがはるかに上だ。出し手の意図と受け手の動きが噛み合えば、高確率でゴールに結びつくだろう。

 ゴールパターンで最も多いのは、ダイレクトでのボレーシュート。ズバーンと決まるとすごい気持ちいい。その次がヘディング。これはキックインではあまり見られない。キックインと同じように、近くの味方の足元につけてつなぐパターンもあったし、カットを狙う相手の前でわざとバウンドするようにピッチに叩きつけるパターンも見かけた。バリエーションは意外と豊富で、浮き球のため必然的にゴールシーンは派手になる。

 一方で、こんな不安もある。スローインになることでゲームが大味になってしまうのではないか、というものだ。容易に想像できるのは、スローインになったらゴール前に1人立たせて、そこ目掛けて放り込むシーン。特に、スペインよりも技術レベルで落ちる日本の場合、リスタートからのプレス回避を放棄して、ゴール前に投げまくるシーンが多発する可能性もある。

 フットサルの魅力には、コンパクトなピッチの中でテクニックやパスを駆使して相手のプレスをかわしながらゴールに迫るというものがある。ゴール前のシーンとゴール数が増える代わりに、そういったシーンが減ってしまうことになれば、「面白くなった」といえるかどうかはわからない。

 まあ、とにもかくにも、今はホントにスローインになるのかどうか、続報を待つことにしましょう。


プロフィール
北健一郎
1982年7月6日、北海道旭川市出身。稲葉洸太郎、高橋健介、フウガの中心メンバーたちと同じ“82年組”のライター。いつの日か彼らの仲間に入れてもらうこと夢見ている。
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