第56回「審判問題」

「審判問題」…フットサルでも審判について話題になることがある。だが、それは何か大きなミスジャッジがあったり、それに絡んでゲームがコントロールできなくなったときなどで、大抵は「審判問題」という言葉で語られてしまう。


調べてみたらえぐかった
Fリーグの審判の方たち

昨シーズンのFリーグ。10チーム3回戦制で行われているリーグの、第2クール終盤くらいだったと思う。多くのチーム、選手のパフォーマンスが明らかに落ちたなと感じられた時期があった。ほとんど休みなしに毎週試合を行ってきた連戦の疲れがある上に、まだ先にも試合数が結構あるという状況で、メンタル面の疲労も出る。

そしてこの時期、審判のミスジャッジも頻発した。そのとき、「そうだよな。審判の方たちだって、毎週毎週笛を吹いて、疲れているはずだよな」と思ったものだ。

フットサルの審判団は、ピッチ外のタッチライン沿いを走ってレフェリングする主審と第2審判。両チームベンチの間のオフィシャル席にいて、タイムアウトを受けつけたり両ベンチを監視していたりする第3審判と、タイムキーパーの4人で構成されている。

昨シーズンのFリーグで、激しく走りながら主にピッチ上のプレーを裁く、主審、第2審判を務めた方を調べてみたが、全部で20人いた。27節あるリーグのうち、15試合前後を担当した方たちが半分くらい。それ以上の方も5名ほどいて、最高は20試合だった。

ちなみに、担当する試合の、ほとんどが主審という人と、ほとんどが第2審判という人がいたりする。このあたりの棲み分けはどういうことなのか、機会があったら調べてみようと思う。

最高20試合を担当したのは、永井陽一さんと、大黒裕之さんの2人。例えば永井さんは、第7節から第9節で、ビーコンプラザ(大分)→オーシャンアリーナ(名古屋)→湿原の風アリーナ釧路(北海道)と、えぐい移動があったり、第12節から第20節は、9節連続で審判を担当したりしている。

いや、かなり大変だと思う。

Fリーグの審判はプロではないので、普段は仕事をしながら、週末の試合に向けて心身両面のコンディションを整える作業を、長丁場のシーズンで繰り返していることになるわけだ。このあたりは多くのFリーガーと同じなのである。


ジャッジの精度を上げる
審判法の確立は急務

だからといって、審判がミスをしていいというわけではない。ただ、審判もかなり辛いんだよという事情を汲んで、観戦する寛容さみたいなものを持っていたいものだ。もちろん僕はミスジャッジの影響を被る人間ではないので、当事者からすると甘いとなるのだろう。実際、自分が選手の立場で、普段は冷静に考えていても、ミスジャッジされたり、理不尽なカードを出されたりしたらどんなことになるのか。正直わからない。

Fリーグを中心に取材している僕が、記者会見などで気持ちがどんよりするのが、監督や選手が、審判について不満を述べるときだ。

「審判のせいで負けた」「審判のレベルが上がらないと、リーグのレベルも上がらない」。最近では「ここでレフェリングの話をすると怒られるので……」という嫌らしいせりふもある。

だが、1歩引いた立場の僕は、こういうのはなるべく話半分で聞こうと思っている。だってこういうのは、決まって「行って来い」だからだ。ミスジャッジによって損をすることもあるが、得をすることもある。長いスパンで見れば、プラスマイナスゼロってことがほとんどなのである。

それに当事者たちだって、ミスジャッジで得をしたときは、決まってだんまりなのだから。まあ、「審判に勝たせてもらいました」とはなかなか言わないだろう。でも、素晴らしいレフェリングの試合だったときは、「今日の審判は本当によかった」くらいのコメントは聞かれてもいいと思う。

さて、そんな「審判問題」についても、昨シーズン、バルドラール浦安の岡山孝介監督が話した件は、真剣に聞く必要がある。

「僕は審判のジャッジに文句をいいたいということではありません。ただ、審判のレフェリングの質が向上する取り組み、システムみたいなものは作らないといけないでしょう。Fリーグは真剣に考えるべきだと思います」

実はピッチレベルで写真を撮っているカメラマンの方たちから、こんな話を聞いたことがある。

「どっちのキックインなのか、コーナーキックなのかゴールクリアランスなのか。結構、『逆』だったりして、審判の人たち、見えてないことが多いんですよ。むしろカメラマンの位置からのほうが、正確にジャッジできることも多いんじゃないかな」

スピーディーで展開がめまぐるしく変わり、球際のごちゃごちゃしたボール争いシーンも多いフットサル。今の審判法で果たしていいのかどうか。フットサルは新しいスポーツで、これからいろいろと変化、進化していく可能性がある。より正確なジャッジができる審判法だって、出てきてもおかしくない。いや、出てこないといけないのだ。


プロフィール
菊地芳樹(きくち・よしき)
1971年7月22日生まれ、神奈川県出身。明治大学卒業後、学研に入社。サッカー雑誌、ゴルフ雑誌の編集記者を経てフリーに。現在は、サッカー雑誌「ストライカーDX」の編集スタッフとして働きつつ、他雑誌にもフットサルを中心に原稿を書いている。フットサルは90年代半ばより興味を持って取材し始め、これまで各媒体に原稿を書き、実用書も多く手がけてきた。フットサルの永続的な普及・発展に貢献したく、初心者からリピーター・マニアへの橋渡し役としての立ち位置を意識しています。
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