第1回 「40m×20m(ヨンジュウ・ニジュウ)」

40m×20m…フットサルのピッチの広さ。国際試合の規格は、縦(タッチライン。競技規則では「長さ」と表現)が38〜42m、横(ゴールライン。競技規則では「幅」と表現)が18〜25m。日本でも公式戦ではこの規格が採用されることが多く、一般的に「ヨンジュウ・ニジュウ」とか、「ニジュウ・ヨンジュウ」の広さなどといわれる。

フットサルはピッチが狭い、といわれるスポーツだ。ところが、40m×20mは、実はとても広いのである。これ、どういうことか。

全国で今も増え続けているフットサルプレーヤーだが、その多くは民間のフットサルコートでプレーしているはずだ。いわゆる人工芝のこの手のピッチは、ほとんどが狭く、40m×20mを満たしていない。

フットサルよりピッチが狭いテニスコートからの改修だったり、元々その広さがないところにピッチを作ったりと、理由はさまざまだろう。仮に40m×20mを取れる広さがあっても、それを何面かに分けて、より多くの人がプレーできるように営業されているのが普通だ。

そういった小さいピッチで普段プレーする、僕も含めた多くの一般エンジョイプレーヤーは、相手との距離が近く、すぐにプレッシャーを受けてしまう、フットサルの狭さ、難しさを感じる日々である。

ところが、やっているうちにちょっと競技志向へ色気が出て、各協会などが仕切る県リーグや公式大会などに出てみると、こちらのピッチは40m×20mで行われている。僕も若いころは、少しこちらの世界に足を突っ込ませてもらった。そうすると、この40m×20mがものすごく広く感じるのである。

「縦パスを2本通さないとシュートまでいかない」。それが、僕が感じた40m×20mの広さだ。狭いピッチなら、自陣にいる後方の選手から、1本のいい縦パスが入ればシュートが打てる。しかし、40m×20mだと、そこからもう1本縦パスを通さないと、ゴール前にボールが運べない感覚。つまり、攻撃にひと手間多く掛かってしまうのだ。

もう一つ。狭いピッチから40m×20mになると、敵味方共に自分との距離感がズレる。例えば、○○な状況ではタッチライン際に構えてボールを受けようとか、おそらく知らず知らずのうちに「ピッチ」に対してポジショニングしているのだろう。普段は短いパスをテンポよくつないでいるところが、味方との距離が急に広がった感じがしてパスが長くなるのだ。思わずパスが弱くなると、インターセプトされる危険も出てくる。

守備時はもっと大変だ。マークする相手が、これまた随分と遠くにいること! 頑張っても、頑張っても、アプローチが追いつかず、個人的には苦しい思い出しかない。

かなりトップクラスの競技志向チームたちも、普段狭いピッチで練習しているとやはりこうしたギャップが起こるようだった。以前は、40m×20mのピッチで練習できる環境を求めて、日々奔走している時期があったものだ。

さて、Fリーグなどの、日本のトッププレーヤーたちのプレーである。

見ていてピッチが狭いと感じる。もちろんレベルにすごい差があるのだけれど、敵味方の距離が近くてガチャガチャした感じ、パス交換のテンポ、一発のスルーパスを狙えるところなど、エンジョイプレーヤーが普段人工芝ピッチでやっているのに、部分的には結構近い感覚があるのではと思うのだ。

そこで、いいたいことが2つ。

まずは、40m×20mのピッチで、日本のトッププレーヤー実は相当にダイナミックな動きを連続させていると予測できること。そんな彼らの、よく鍛えられたフィジカル面をリスペクトしたい気持ちがある。

そして、近い感覚があるのなら、日本のトッププレーヤーたちのプレーは、実はエンジョイプレーヤーに参考になることが、かなりあるのではないかということだ。

Fリーグは残り3節。そんな40m×20mにまつわるあれこれを、確かめにいくのはいかがだろう?

プロフィール
菊地芳樹(きくち・よしき)
1971年7月22日生まれ、神奈川県出身。明治大学卒業後、学研に入社。サッカー雑誌、ゴルフ雑誌の編集記者を経てフリーに。現在は、サッカー雑誌「ストライカーDX」の編集スタッフとして働きつつ、他雑誌にもフットサルを中心に原稿を書いている。フットサルは90年代半ばより興味を持って取材し始め、これまで各媒体に原稿を書き、実用書も多く手がけてきた。フットサルの永続的な普及・発展に貢献したく、初心者からリピーター・マニアへの橋渡し役としての立ち位置を意識しています。
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