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ミックスゾーン編

久しぶりのコラムになります。前回の更新は年末でしたので、今年に入って最初のコラムとなります。が、リーグは既にシーズンを終えてしまいました。時が経つのは早いですね。特にシーズン中は、毎週末に試合があるので1ヶ月なんてすぐに過ぎていってしまいます。スミマセン、何だか言い訳がましいので、さっさと本題に入りたいと思います。今回は、このタイミングで書かせていただきますので、今シーズンあったエピソード、ミックスゾーン編をご紹介しようと思います。

Fリーグ2008シーズンは皆さまもご存知の通り、優勝の行方が最終節まで持ち越しとなる混戦となりました。結果は名古屋の2連覇で幕を下ろしたわけですが、個人的に振り返ると感慨深い1年でした。今季はW杯があったことで(ブラジルには行っていないのですが)2007年のFリーグ開幕以降、ずっと休みなしで今シーズンの最終節まで取材をしていましたので、様々なことが一気に押し寄せてきたシーズンのように感じました。途中で気持ちが萎えてしまった時期もありましたが、ある選手と話したことがきっかけとなり、わたしの情熱に再び火をつけることとなりました。これは、アジア選手権で日本代表を取材させていただいたときのエピソードです。

5月某日、わたしは第10回アジア選手権の取材のため、うだるような暑さと、強い香辛料の匂いが漂う街、タイのバンコクにいました。道路のいたる所には屋台が並び、活気のある人々がごった返す街は0時を過ぎても煌々(こうこう)としていて、毎晩ネオンがホテルの窓をうっすらと照らしていました。アジアの土地を訪れるのが初めてだったわたしにとって、これらの環境はすぐに馴染めるものではなく、精神的に少し参っていたのです。ですが、こんな厳しい環境での取材になるとは思ってもいなかったわたしは、気合を入れまくって予選から取材に入っていたため、約10日の間試合会場とホテルの往復を繰り返すこととなったのです。毎日取材の後は疲れきってしまい、観光もしないで(他の取材陣の方々は結構観光してはりましたが)ただ仕事だけをしにタイに行ったような感じでした(泣)。

そんなパワーダウンのわたしと違い、日本代表は予選を勝ち進むと5月15日にW杯への出場が決まりました。この日、わたしはいつものように、試合後にミックスゾーンを通る選手のコメントを取る作業をしていたのですが、この頃のわたしは日本代表の取材をするのが未だ数回目で、実際のところ関西のチーム以外の選手にはなかなか上手くコメントを聞き出せずにいたのです。だから、まさか初めて話す選手から、あんなに素晴らしい話をしてもらえるなんて想像もしていませんでした。


ミックスゾーンでのコメントを一通り取り終え、他の取材陣がプレスルームに戻っていく中、少し遅れてK選手がわたしの目の前を横切りました。わたしはK選手に一度もインタビューをしたことがなく、いつか話してみたい!と願っていたので、思わずK選手を呼び止めてしまったのです。少し急いでいたようにも感じたのですが、その場に止まって笑顔で質問に答え始めてくれました。

数分後、いくつかの質問を終え「ありがとうございました」とわたしが告げると、K選手は「遠いところ、大変なのにありがとう」と言ってくれたのです。続けて、「前回の海外遠征にも淡路島の合宿にも来てくれたし、今回は予選から来てくれて。そういう人がいてくれると嬉しいです」と話してくれました。そして、当時、先輩ライターの方々に追い付きたくて必死だったわたしの心境を察してかは分かりませんが、K選手は自分が代表に入ってからの体験を話し始めました。K選手が初めて代表の試合に出たときは数秒しか出してもらえず悔しい思いをしたこと、周りと上手く連携できず苦悩したこと、そこで腐らずに頑張り続けたこと、その経験の上に今があること。

わたしの知っているK選手は、高い技術と体力を持ち合わせていて、代表の常連組みといった印象が強く、このような過去があったなんて想像もしていませんでした。そして、驚くわたしにK選手はこう言ってくれたのです。「代表をずっと見てきていることはもちろん大切だと思うけど、これから先の代表を見続けることも大事だと思うよ。今回も予選から取材に来てくれているし、過去を知らないからってダメだと思わないで、これからどんどん取材をして頑張ってください」と。

Fリーグが開幕する少し前にフットサルの取材を始めたわたしにとって、日本代表を取材することは、とてつもなく高い壁だと感じていました。現場で辛いなと感じるとき「過去の代表を取材してへんし。自分はまだまだなんやなぁ」という気持ちがわたしの中で大きく膨らんでいたのです。他のライターの方々が選手のコメントを取っていて「このライターさんは選手の信頼を得てはるねんなぁ」と感じる度、自分の未熟な部分に気付いて空しい気持ちになってしまうことも。でもこの日、K選手が語ってくれた自身の体験やフットサルに対する熱意を知って、わたしはこれからの日本のフットサルも、4年後の日本代表も書けるように日々取材を続けていこう、クヨクヨしないで頑張ろう!と心に決めることができたのです。
わたしはメディアの中では若手で(今のところFリーグでは多分最年少??)業界の先輩方から受ける影響は非常に大きく、ポツと言われた一言が良くも悪くも心に響いたりするのですが(笑)きっと選手も同じなんとちゃうかなぁと思います。だから、日本のフットサルを築き上げてきた選手たちと若手選手とが話す機会が増えれば、知識も増えて、モチベーションも上がってFリーグが更に良くなるんとちゃうかなぁ〜と、ネオンで黄色く染まるタイの空を見上げ、一人思ったアジア選手権でした。


次回は、取材でのエピソード・現場編。